cuc_V&V_第52号
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4852トピックスベストやタバコの産業が直面し、ファーストフード、化石燃料、自動車製造などの産業にも広がりつつある諸問題に関する責任形態)、および社会的起業家の重要な役割などである。わき道にそれるが、私達は第4、第5の波を予想している。それは、より短い間隔で生じ、恐らく社会の関心と重なるような変動になると思われる。こうした上げ潮と引き潮を繰り返しながら、いわゆるさなぎ期経済と呼ぶ社会15が生成・進展することになる。以上が、エルキントンが概観した3つの圧力である。そして、この3つの圧力と連動して環境アセスメント制度が発芽していくことになった。1970年にアメリカでは、国家環境政策法が制定された。日本においても1972年アセスメント制度が閣議の了解とされた。原科は、この日本のアセスメント制度の導入の背景として次の4点を主な要因としてまとめている16。①1960年代に顕著となった公害問題への対処②公害問題の過程で生じた住民運動のうねり③この流れで、四日市公害訴訟の判決で企業の責任が問われたこと④以上の内発的な要因に加え、アメリカでの国家環境政策法が制定されアセスメント制度が始まったこと図表2から確認できるように、日本の環境アセスメントは四半世紀もの時間を要したのであった。しかし原科によればこのような法制化、つまり1972年のア図表2 日本の環境アセスメント関連年表出所:原科(2011)51ページ。15エルキントンは、この社会を「さなぎ期経済」と呼んだ。これは、いずれ企業が「バッタ型」「芋虫型」「チョウ型」及び「ミツバチ型」に類型化されることを意味し、それは持続可能な社会に向けて企業がどのように環境に対し、向き合えるかを問うものである。16原科幸彦『環境アセスメントとは何か』岩波書店、2011年、50ページ。

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