cuc_V&V_第52号
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5552は暖冬の影響で苦しくなっていた。コートやダウンジャケット、その他防寒着が売れない時期が約2年間続き、秋冬の時期に売上を伸ばせないでいた。危機的な状況を迎えていた時に、新型コロナがさらに追い打ちをかけてきた。アパレル業界は、飲食店に続いて2番目にコロナ倒産が多い業種となっている。コロナ倒産1位の飲食店、3位のホテル・旅館は、GoToキャンペーンという国からの経済支援がある中、アパレル業界のみ、政府の景気浮上策から取り残されている。店舗販売を主にしていた企業は、売上が大きく減少し、家賃、人件費等の固定費を払うことが困難となっていった。Eコマース(Electronic Commerce)の構築が甘かった企業は、コロナ後のECサイトの構築が追い付かず売上確保が維持できないまま倒産していった。昨年(2020年)では、過去2,000億円以上売上があった某大手アパレル会社が倒産した。中小アパレル企業、小売店、卸共に販売量は減っていく中で、事業を立て直すことができず、資金不足で倒産していく。アパレル業界が好きな私は、一社でも多くの企業が残って行けるように事業再生投資を行うことに決めた。苦しい企業が集まり、力を合わせチャンスに変える時だと考えている。 不採算店舗の閉鎖不採算店舗、すなわち利益が出ていない赤字のまま運営している店舗である。赤字でも店舗を継続している理由としては、店舗開店時に投じた資金がペイできていない、閉店するための資金が足りない、売上がもう少し上がることを望んで様子を見ている等である。事業再生を行う際に、スキームによるが、不採算店舗については協議した上で退店を考えている。早期に判断しないと、赤字スタートになり、時間が経つにつれて資金が減っていく。そして、黒字店舗の利益を食い尽くしていき会社継続も難しくなっていく。店舗を閉める判断は難しいと思われるが、赤字店舗に対して迅速な改善策がないのであれば、早急に店舗を閉めるべきだと判断していく。ReBRANDブランド力が落ちている企業に共通することだが、過去の栄光にいつまでも囚われていることである。新しいことを常に考えて、世に発信している企業はブランド価値を継続して高めており、このコロナ禍においても売上の業績を増やしている。倒産した会社の従業員は、ブランド力が落ちたことを会社の問題にすることがあるが、実際は現場で商品企画を行っている人間や営業している人間も運営がマンネリ化している人が多いのではないだろうか。経営者も従業員も誰かのせいにしていてはいけないのである。時間だけが経っていく。会社全体でしっかり、原点に立ち返りながら、新しいものに常にチャレンジ、変化させていくことで、ブランド力を維持していけるものだと考えている。もし、その変化の方法が分からない場合は、弊社は外部から専門家を入れてハンズオンにて一緒にデザインやブランド力を高めていく。過剰在庫数十年前までは、大量に生産を行い、販売していく薄利多売の時だった。しかし、近年は、中国生産の生産コスト(原価)は上がり、利益が取れない状況になってきた。タイ、ベトナム、カンボジア、フィリピン等の東南アジアに生産国を移動して利益を確保している企業は多いが、生地等の原料については、東南アジア

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