cuc_V&V_第53号
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2153千葉商科大学サービス創造学部 専任講師横山 真弘YOKOYAMA Masahiroプロフィール2014年電気通信大学大学院 情報システム学研究科 博士後期課程 修了博士(工学)2014~2015年中央大学 理工学部 経営システム工学科 助教 2015~2020年職業能力開発総合大学校 特任助教・助教 2020年より、千葉商科大学 サービス創造学部 専任講師共著に、『インダストリアルエンジニアリングの最前線』(2020)『実データで体験するビッグデータ活用マーケティング・サイエンス』(2020)『技能科学入門 ものづくりの技能を科学する 』(2018)『数理統計学入門(改訂版) 』(2016)生産管理の現場における人的なミス発生に着目した研究事例―仕様変更に伴う部品構成表の構成マスタ作成に関する研究―はじめに1製造企業では、設計、製造、購買・調達、保守・サービスのあらゆる場面において、製品がどのような部品構成で作られているのかを階層的に表すBOM(Bill of Materials:部品構成表)が必要になる。例えば、製品設計仕様を満たすための製品構成の情報を管理するために、設計部門ではE-BOM(Engineering-BOM:設計BOM)が作成される。また、製造部門では、E-BOMに製造に関する情報を付加したM-BOM(Manufacturing-BOM)が用いられる。さらには、購買部門では購買・調達業務に関する情報に特化したP-BOM(Purchasing-BOM)、保守部門では保守・サービス業務に特化したS-BOM(Service-BOM)が用いられる。このように製造業では、製品の部品構成に関する情報がBOMという形で横断的に共有されている。しかし、新製品投入や設計変更が頻繁に発生するようになると、BOMの作成に十分な時間をかけることが難しくなる。また、近年では製品の仕様がより複雑化しており、それに伴いBOMの内容もますます複雑なものとなってきている。特に個別生産を扱う製造企業において、仕様が複数存在する際には、仕様の異なる製品の数だけBOMを作成する必要がある。その結果、膨大な数のBOMを複雑な製品構成を考慮しながら作成しなければならず、製造現場ではBOMの作成における誤りがたびたび発生している。BOMの作成における誤りが発生し、それが取り除かれないままで後工程に渡されてしまうと、生産の手戻りや顧客に納入されてからのトラブルが発生し、製造企業にとって大きな損害を受けることになる。そのため、BOMの作成における人的なミス発生の低減に有効な対策立案を目指すことが求められる。本稿では、BOMの作成における人的なミス発生に着目した分析を通じて、作業者の行動の結果(成果)に影響を与える要因を特定し、現場の作業効率を向上させる取り組みを示す。BOMの概要と多仕様化の際の問題点22.1 BOMの構成マスタBOMは、図1のように、品目マスタと構成マスタから構成される。なお、製品および構成する部品や材料は一律に品目と呼ばれ、各品目は品目コードにより識別されている。品目マスタは、品目を一覧で表したデータである。また構成マスタは、品目間の関係を親子関係により表したデータである。図1 BOMのデータの例特 集社会科学におけるデータ分析特 集社会科学におけるデータ分析

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