cuc_V&V_第53号
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2253作成するBOMの数も増加することになる。例えば、CPUとメモリーとハードディスクなどの仕様により構成されるパソコンを考える。多仕様化を考慮しなければ1種類の製品しか存在しないのに対し、CPUを3種類、メモリーを3種類、ハードディスクを3種類に仕様を増やすと、顧客に提供可能な製品の組み合わせ数は27種類となる。それに伴い、作成するBOMの数も27倍となるため、多仕様化によりデータ量は飛躍的に増大する。図3に、ある製品における、仕様変更に伴う製品構成の変化とその対応を示す。親品目である「製品あ」は、「部品A」、「部品B」、「部品C」を子品目としている。ここで、「製品あ」の「部品B」の部分を、「部品D」へ変更した製品を考える。その結果、製品構成の子品目が変化するため、親品目名をそのまま「製品あ」とすることができず、「製品い」などのように親品目名を変えて、区別をする必要がある。このように、親子関係により構成を表現するBOMでは、製品構成の子品目が部分的に変化した際には、それに伴い親品目名を変更しなければならない。図3 仕様変更に伴う構成マスタの変化次に、仕様変更に伴うBOMの構成マスタの作成作業を示す。図4は、ある製品「X001」において、末端品目の「J001」を「J201」に仕様変更することに伴う構成マスタの変化を表している。図4 仕様変更に伴う構成マスタの変化構成マスタにおいては、図2に示されるように、親品目は子品目に分解される。さらに子品目は孫品目に分解される。このように構成マスタの階層を上位から下位にたどると、複雑な構造の製品では、「製品-子部品-孫部品-・・・-単体部品-材料」などのように十数階層の深さになる場合もある。図2 親子関係による製品構成表現品目数が少なく、製品構成も非常に単純である場合には、BOMをわざわざ作成する必要はない。例えば、設計図面を確認することにより、購買・調達部門が用意すべき部品、製造部門が部品を構築していく順番を判断することができてしまう。しかし、近年の製品のほとんどは、品目数が多く、製品構造も非常に複雑化しており、設計図面を確認するだけでは用意すべき部品や部品を構築していく順番を判断することが難しくなっている。そのため、製造現場では、品目の種類と製品構成を整理したBOMを活用することにより、設計部門、製造部門、購買・調達部門、保守・サービス部門の間で製品構成の情報の共有を行っているのである。しかし、製造企業では、新製品投入や設計変更が頻繁に発生するようになると、BOMの作成に十分な時間をかけることが難しくなる。また近年では、個々の顧客に対応するものづくりを目指す取り組みが試行されるようになってきた(Pine 1992)。そのため、製品の仕様がより複雑化する可能性があり、それに伴いBOMの作成もますます複雑なものとなってきている。特に個別生産を扱う場合のように、仕様が複数存在する際には、製品仕様の組み合せの数だけBOMを作成する必要がある。そのため、多仕様製品が考慮される場合には、複雑なBOMのデータを短期間で数多く作成する必要がある。2.2 多仕様化による構成マスタへの影響製品の仕様が複数存在する場合には、仕様の異なる製品数の分のBOMが必要となる。そのため、多仕様製品を考慮して仕様の種類を増やすと、それに従い特 集社会科学におけるデータ分析

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