cuc_V&V_第53号
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4953の4つのビジネスを通じ、平和の願いを込めて世界中から戦争がなくなる世界を求め続けていきたいとしている。コラボ商品とその背景ライセンス契約を締結したものの初めてキャラクタービジネスを展開する弊社にとって、いったいどのようなコラボ商品を上市させたら良いか、社内では会議が繰り返された。最初からキャラクターを付けた商品を企画するか、あるいは弊社の現在の流通商品に後加工でキャラクターをプリントするか。検討した結果、初めてキャラクタービジネスを手掛ける弊社にとって、前者の企画から立ち上げることは、あまりにもリスクが大き過ぎると判断した。まず手始めに、弊社の流通商品にキャラクターをプリント、そしてそのキャラクターは「ハローキティ」に決まった。ただし、これまでに学んだ現代におけるコラボ商品の基本理念である「商品自体に会社のコンセプトやこだわりのストーリー性のあるものでなくてはならない」。しかし、弊社にとってこの理念に基づく商品の選択には全く時間を必要としなかった。2015年6月、道路交通法が改正された。雨の日に傘を差しながらの自転車運転が罰則となったのである。これまで多く見られたその危険な行為が死亡事故にも繋がっていることからの改正だった。そこで必需品となったのが自転車用レインコートである。実は、弊社はこの道路交通法の改正以前に、まず条例として出された3年ほど前の時点で、前出のホームヘルパーに対し、現在使用しているレインコートの不都合な点や改善点をアンケートによる調査を行い、それらの思いを反映させた「雨先案内人サイクルレインコート」を発売した。このレインコートは「2017年東京都トライアル発注認定制度」の認定商品となり、その認定を受けることによって、向こう3年間、東京都がこの商品のPR活動を行い販路拡大の支援をしていただけるという制度で、まさにその期間中だった。自転車用レインコートは買い物や子供の送り迎えに利用する若い女性にも需要が多いことから、この商品に「ハローキティ」のプリントを施した「雨先案内人ハローキティレインコート」を、サンリオ社とのコラボ商品第1弾として2019年9月に上市した(写真1)。この商品に施されたプリントのデザインはサンリオ社にお願いをした。ところが、残念なことにこの第1弾の商品は、当初目論んだ売上を達成することができなかった。試行錯誤で初めてキャラクタービジネスに取り組み、その結果を得られなかったいくつかの課題が社内で挙げられた。その1つは販売ターゲットへのアプローチだった。キャラクタービジネスに最も重要視されるのは、当然のことながらそのキャラクターのファンに対していかに商品をPRするかが重要で、弊社のこれまでの顧客やマーケットとは全く異なるハローキティのファンに対して、どれだけそのアプローチができただろうか。さらにもう1つ、それはいくらこだわりとストーリー性があり、実績もある商品をその第1弾として上市させたとはいえ、所詮現行の定番商品である。この商品そのものをどこまでハローキティファンが望んでいたのか疑問が残る。インターネットショッピングサイト「楽天」には、サンリオ社をはじめサンリオ社のキャラクターグッズを取扱う各社の商品ばかりがラインナップされた「サンリオゾーン」という専門サイトがある。いわばサンリオファンのたまり場ともいえるこのサイトを見ると、ハローキティ商品に使われているピンクは、第一弾として弊社が発売した商品本体のピンクとは全く異なる色目だった。つまり、いくらビッグキャラクターでもただ付けて売る時代は終わったというように、弊社はそのキャラクターの持つファン層が望む企画をしなければいけなかったのである。そこで、既に販売している「雨先案内人レインジャケット」という幅広い年齢層に好評な弊社のこのオリジナル商品にピンクの色を1色増色し、そこにハローキティのプリントを施すという企画をした。さらに、そのピンクの色目は、サンリオ社にハローキティにふさわしい色を選定してもらった。この2021年4月から販売を開始したコラボ商品第2弾「雨先案内人ハローキティレインジャケット」(写真2)はズバリ的中。楽天サイトのサンリオゾーンはもちろん、弊社のショッピングサイトからも注文が入るようになった。

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