cuc_V&V_第53号
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号の特集は「社会科学におけるデータ分析」をテーマとした。昨年の51号と同様に、他の分野を理解するための手がかりとして、共通の分析手法が異なる分野でどのように扱われているかを紹介してもらおうと企画したものである。51号で焦点を当てたモデル分析とは異なり、データ分析はあらゆる分野で行われているが、期せずして特集以外の記事でもデータに関連する話題がいくつも登場した。 巻頭言では、かつて本研究所の所長も務められた栗林氏がピケティの『21世紀の資本』におけるデータ分析について紹介してくれている。同著は持てる者と持たざる者との格差拡大につながる「r>g」(資本収益率>経済成長率)という不等式が長期にわたって成立していることをデータで示し、世界的なベストセラーとなったものである。 最新ビジネス・レポートでは、本学OBの萩原氏が「ハローキティ」とのコラボレーションについて詳細に解説してくれている。コラボ商品第2弾の誕生に大きな役割を果たしたのは、期待通りの売上を達成できなかった第1弾の商品の色と、「サンリオファンのたまり場」にある商品の色との比較だったという。これは色という質的データを用いた分析がビジネスに活用された事例といえるだろう。 さらにトピックスでは、気鋭の若手研究者である後藤氏が、人間のもつメディア(媒体)としての側面について考察している。A氏が亡くなったとしても、その人のことがB氏の記憶に残っているとすれば、B氏はA氏のデータを記憶し、それを別の誰かに伝えるメディアとしての機能を有することになる。ライフストーリー研究者、映像社会学者としての後藤氏の活動は、その「別の誰か」になるための営みといえるのかもしれない。編集後記千葉商科大学政策情報学部教授 経済研究所長小林 航本6053経済研究所出版物情報■『国府台経済研究』●第29巻第1号「企業が期待するほど若者たちが関心を寄せないサービスについての研究特集号」2019年3月 執筆担当者:吉田優治・今井重男・宮澤薫・松本大吾・西根英一●第30巻第1号「消費スタイルの新潮流:倫理的消費とボランタリー・シンプリシティ特集号」2020年3月 執筆担当者:大平修司・増田明子●第30巻第2号「地域活性化に対するアートの役割について特集号」2020年3月 執筆担当者:吉羽一之・権永詞・楜沢順・赤松直樹●第31巻第1号「オリンピック復興運動に関する社会文化史的考察特集号」2021年3月 執筆担当者:大賀紀代子・師尾晶子・藤野奈津子・荒川敏彦・沖塩有希子・朱珉●第31巻第2号「安全で公平な金融システムの実現に資するFinTechフレームワークの提案特集号」2021年3月 執筆担当者:大矢野潤・鎌田光宣・小林直人・宮田大輔・柏木将宏・長尾雄行・橋本隆子・平井友行■『中小企業支援研究』発行 経済研究所 中小企業研究・支援機構●Vol.6「大廃業時代の中小企業支援のあり方」ほか 2019年3月●Vol.7「中小企業の人手不足とダイバーシティ・マネジメント」ほか 2020年3月●Vol.8「価値共創と資源統合S-Dロジックにおける資源概念と展開パターンの追求」ほか2021年3月●別冊Vol.6 経営者インタビューほか 2019年9月●別冊Vol.7 経営者インタビューほか 2021年9月■『CUC View&Vision』●第47号「特集-SDGs最前線」 2019/Mar.,全82ページ。●第48号「特集-EBPMと行政事業レビュー」 2019/ SEPEP.,全72ページ。●第49号「特集-空き地・空き家対策と住民主体のまちづくり」 2020/MARAR.,全86ページ。●第50号「特集-CUCのオンライン授業」 2020/ Oct.,全116ページ。●第51号「特集-社会科学におけるモデル分析」 2021/Mar.,全58ページ。●第52号「特集-CUCの倫理教育」 2021/ SEPEP.,全62ページ。■『Research Paper Series』●No.73「仮想通貨の一研究 ~ビットコインの会計と税務~」児島記代 2017/Mar.,全34ページ。■経済研究所、中小企業研究・支援機構の最新情報、活動中の研究プロジェクトの概要や研究成果及び刊行物の内容は、Webサイト(https://www.cuc.ac.jp/keiken/)でもご覧いただけます。5353

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