cuc_V&V_第54号
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8アメリカザリガニの捕獲作業 捕獲したアメリカザリガニ写真7写真8 3.2 外来種の駆除3.3 力仕事【水路整備】 義氏(ジュンサイを残そう市民の会会員)から定期的にカウントデータの提供を受け、学生による調査結果と比較する答え合わせをおこなっているほか、解析には提供されたデータを利用している。新米の学生のカウントは思いのほか正解に近く、驚くことが多い。図3に2020年9月から2021年5月にじゅん菜池で確認された田中直義氏のデータに学生のカウント数を加えた主なカモ類種別カウント結果を示す。9月に飛来が始まるカモ類の数は1月~2月にかけて400羽を超える日もあり、高い密度となっていることがわかる。カモのカウント調査はデータの重要性もさることながら、池に生息するその他の生物も丁寧に観察することになり、池の存在によって広がる生態系を実感することにも繋がっている。外来種であるアメリカザリガニは雑食性で、池底の落ち葉、藻類を餌とするほか、沈水植物、浮葉植物を切る習性があることが知られる。じゅん菜池には餌が豊富にあり、アメリカザリガニが大量繁殖してきた。水草を刈り取ることによって、より餌を見つけやすく効率よく採餌できるようになって成長を続けた大きなサイズの個体も多い。これらアメリカザリガニの繁殖は沈水植物であるイノカシラフラスコモおよび浮葉植物であるジュンサイ消滅の主な要因の一つと考えられている。市民の会では池の上流から下流まで複数の捕獲かごを仕掛け、アメリカザリガニの捕獲回収とカウント調査をおこなってきた。ゼミナールにおいても市民の会の活動を手伝う形で毎回、アメリカザリガニの回収とカウント調査をおこなっている(写真7)。担当となった学生はすべての捕獲かごを水揚げして捕獲されたアメリカザリガニを回収した上で大きさ別にカウント、記録する(写真8)。データは市民の会が管理し、ゼミナールと共有してもらっている。学生は2021年末に市民の会から提供されたデータをもとにグラフを作成しその動向の解析をおこなった。2017年には5千匹を超えていた年間捕獲数がプロジェクトを開始した翌年には半減し、捕獲の明らかな効果が認められた。しかし、その後捕獲を継続したにもかかわらず、2018年以降、パンデミックの影響で捕獲活動が減少した2020年を除くと毎年2500匹ほどの捕獲数となっており、生息数の減少が見られない。現状では捕獲圧と繁殖力が均衡していると推定された。アメリカザリガニの生息数をさらに減少させるためには追加の対策が必要である。比較的大サイズのザリガニが多く池に残っていると推定され、市民の会ではザリガニ釣り大会を企画した。ゼミナールにおいても同様の大会を現在企画中である。捕獲かごからは頻繁に水生昆虫、オタマジャクシ、魚類など、アメリカザリガニ以外の生物が回収される。メダカに似た外来種であるカダヤシも頻繁にかごに入り、池に多く生息していることがわかっている。学生はそれらが池に戻してもよい在来種か駆除しなければならない外来種か判別しなければならず、外来種に関するよい学習機会ともなっている。手賀沼における北千葉導水の効果(千葉県、2022等)に見られるように池の水質改善には水の滞留時間を短縮することが単純で効果がある。そこで市民の会の企画・計画により、プロジェクト開始直後には流れをスムーズにすることを目的として池に数か所あるくびれ状部分の水路整備をおこなった。市川市が重機を提供

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