cuc_V&V_第54号
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16図20図21図22図23現れである。この検討会を実施したことで、企画担当の学生は、ゲームを初めてプレイするプレイヤーに、ゲームの内容や進め方、楽しみ方を伝えることの難しさを認識することができ、デザインを担当する学生はデザインに取り組む前にユーザーの立場に立つことの重要性を学ぶことができた。初回の検討会を踏まえ、企画や構成が再検討された修正版を用いて、ゼミではそれぞれのタイトルに対して、3から4名のグループを作り、デザイン制作を進めた。最終的に必要となる制作物を検討する中で、当初の予想と反したものはプレイボードのサイズである。掲載しなければならない文字情報、コマやチップのサイズから割り出した配置場所を踏まえると、どのタイトルもかなり大きなボードとなってしまい、セッティングや収納に適さないことが予想された。その他にも検討会では企画担当の学生から口頭での説明があったが、実際、ゲームをプレイする際、企画者はその場に立ち会うことはなく、ルールブックにて、内容や遊び方、勝敗について伝える必要があったが、延々とルールブックを読まなければプレイできないゲームはゲームを始める前に面倒だと思われてしまうため、その文章化とレイアウトデザインには企画担当の学生の考えや意見を踏まえたさらなる検討が必要となった。前述の事例報告と同様に、このプロジェクトもコロナ禍の影響を受け、制作が遅延することとなったが、試作品が2021年12月に完成し、試作品を用いたテストプレイとデザインの検討を行った(図20)。これらの工程を経て、本プロジェクトは成果物をもって、2022年3月のオープンキャンパス(千葉商科大学)で展示、発表することができた。制作したゲームの内容とアイテムデザインについて、(図21)タイトル『ジャパンデミック』はコロナ禍で感染対策防止には何が有効かを知るため、何をすれば感染が広がるかという視点で自身のウイルスの感染地域を他のプレイヤーのウイルスの感染地域よりも広くできるかが勝敗となるゲームである。このゲームでは双六要素を盛り込んだボードと感染の広がりを示すボードを制作する必要があり、プレイ場所(机など)を踏まえたサイズの検討が難航した。また、感染レベルによって形が変化するコマがあれば、各プレイヤーの現状レベルがわかりやすいという提案から、既存の子供用ブロックや小さな木材を積み上げるなど、いく

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