cuc_V&V_第54号
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17図24つかの試行錯誤を繰り返し、最終的にはロシアの民芸品の人形マトリョーシカを参考にレベルが上がるとサイズが大きくなるコマを制作した。(図22)タイトル『ヒトスク』は住み良い街づくりを目的としたゲームで、多くの人口を獲得することがこのゲームの勝敗を分ける。タイトルは人口(ヒト)と人が地域間を移動することをイメージさせるスクランブルを用いた造語である。このゲームでは4種類のカードを制作する必要があり、統一感を持たせながらもプレイヤーに別の用途で使用するカードであるという認識を持たせる点で試行錯誤が必要となった。また、収納ボックスにまとめたいという企画担当学生からの要望があり、折りたたむことのできるボードの形状も検討する必要があった。(図23)タイトル『チョイス町』は選挙の仕組みや当選した議員の働きによる住みやすさの変化が理解できるゲームである。議員の得意分野やその働きが発揮される年数を見極め、どの議員に選挙で投票するかを考え、いかに魅力的な街づくりができるか、最終的に魅力度が最も高いチームが勝ちとなるゲームである。このゲームデザインで最も時間を費やしたのはカードデザインである。このゲームで使用するカードは100枚程度あり、統一感を持たせながらも、それぞれの議員の特徴を描き分けることがゲームデザインのクオリティを左右する点であった。最後に(図24)タイトル『どうする社長』はいかに働きやすく安定した企業が経営できるかが勝敗を分け、様々なハプニングが記載されたカードとそれを解決するための資産カードを用い、社長としての経営力や判断力が求められるゲームである。このゲームのデザインはカードの数がやや多かったもののゲームの構成がシンプルだったため、アイテムのデザインはスムーズに進行したが、わかりやすく楽しめそうなタイトルの決定に苦慮した。どのタイトルも内容的にも、デザイン的にもまだ検討の余地を残しているが、地域学とデザインといった別の領域を学ぶゼミが協働できたことは、普段の学びから得た意見や考え方の違いを踏まえた上で視野を広げつつ、それぞれの領域における学びを高めることができ、どちらのゼミ生にとっても有意義な活動だったと考えられる。筆者のゼミが所属する政策情報学部では、各分野の専門的な学びに加えて、他領域のゼミや学外の団体と協働し、学生が関心を持つ専門分野以外の人たちといかにつながることができるか、そのつながり方を学び、さらに専門分野の学びを深めることが重要となる。本報告では、ゼミで取り組んだ学外からの受注案件と学部内での合同プロジェクトを報告したが、これらの活動は消防とデザイン、地域学とデザインといった二項にとどまるものではなく、学生は授業や課外の活動を通して、学部内の様々な領域とつながりを持ち、デザインのみを学ぶ他の教育機関の学生とは違った成果をあげているものと考えられる。また、学部の学生が学ぶ「つながり」という学びは、地域学のようにデザイン領域とは分類に距離がある領域だけではなく、映像やITといった分類の近い領域にも見出すことができ、学部内の様々な領域があらゆる点で連携することで、デザイン領域にとどまらない学びを学生に提供できているものと考える。現在、ゼミで取り組んでいるプロジェクトは地域行政、都市計画、マーケティング、環境、映像、音響、ITといった領域との協働で進めており、これまでの活動で得た知見や反省を踏まえ、単なるデザインワークにとどまらない、人と人がつながることができる場としてのデザインを、ゼミ生と共に提案していきたい。消防人材募集ポスター掲載:市川市消防局サイト(市川市サイト内)https://www.city.ichikawa.lg.jp/catpage/cat_0000 0059.html5まとめ

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