cuc_V&V_第54号
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25プロフィール博士(農学)。日本農業経営大学校を経て現職。専門:地域社会学,食と農の社会学。主著:『日本の食と農の未来』(光文社新書,2021年),共著:『都市農業の変化と援農ボランティアの役割』(筑波書房,2022年),『有機農業大全』(コモンズ,2019年)など。NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)理事。資料:成田(2016)を参考に筆者作成表1 大学における教授法の類型化千葉商科大学人間社会学部 准教授小口 広太OGUCHI Kota本学では、「やってみる、という学び方」を教育方針とし、アクティブラーニング(以下、「AL」)を推進している。2014年4月に開設された人間社会学部でも、「人にやさしい社会をつくる」をテーマに掲げ、「人をうごかす。社会をつくる。」をコンセプトに、「持続可能な社会の担い手」の育成を目指している。学部教育の大きな特徴は、地域と社会が抱える課題、「SDGs(持続可能な開発目標)」への理解とその解決方法である「ソーシャルビジネス」について、企業、NPO、自治体などと協働しながら主体的に学ぶALをひとつの柱に位置付けていることである。授業で学んだ知識を具体的なフィールドで実践し、経験から実感のある学びをつくり上げている。また、人間社会学部では学びを就職、キャリア形成につなげるため、「サービス」「まち」「医療・福祉」 「ファイナンス」「観光」という5分野を出口として設定し、カリキュラムを展開している。表1は、大学における教授法の類型化である。2012年8月の中央教育審議会答申「新たな未来を築くた めの大学教育の質的転換に向けて」をきっかけに、ALが政策的に推進されることになった。ALは従来のように教員が教壇に立ち、一方的に話し、学生が聴くだけの受動的な学習ではなく、学生が授業に参加し、双方向的な関係性の中で展開する能動的な学習を指す。ALの種類は、教室内でのグループディスカッション、ディベート、グループワークから体験や現地調査など学外のフィールドを中心に活動する実践まで幅広い。その中で、学習者主導による「高次のAL」として位置付けられる実践に「PBL」がある。PBLは「Project Based Learning(プロジェクト型学習)」、あるいは「Problem Based Learning(課題解決型学習)」と呼ばれている。PBLとは、専門的な知識を応用しながらフィールドワークや体験学習、実習などで企業や地域との連携活動を実践し、実社会と知識のつながりを学び、与えられた課題の解決や自ら定めた問題を探究する学習方法である。主導者である学習者は、活動を通じて課題の探究とその解決方法、プロジェクトマネジメント、コミュニケーション、プレゼンテーションなどを学び、教員はチームビルディングをサポートし、アドバイスやヒントを必要に応じて提供する。1はじめに正課外・公募型アクティブラーニング人間社会学部が取り組む

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