cuc_V&V_第54号
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23261 AL委員会は、「新入生交流プログラム」「オンライン研究発表会」などを企画運営している。2 筆者は、2020年度からAL委員長を務めている。本稿では、委員長という立場で学部の取り組みを紹介するが、ALを担当する一教員という立場での意見や 見解も含んでいる。3 学生のマッチングについては、シラバスの作成や説明会の実施などで情報を発信しているが、その情報にアクセスできているか、その中身をしっかり理解して応募できているかなど不十分な点が多い。「情報がどこにあるかわからなかった」という声や応募したとしても「想定していた活動と違っていた」というミスマッチが生じ、途中で離脱してしまうこともある。学生の満足度を向上させる効果的なマッチングは、今後の課題である。この点については、「ボランティアマネジメント」の視点が重要になる。資料:筆者作成表2 活動までの流れ人間社会学部では、1年次から正課科目で企業や地域との接点、交流の場をつくり、ソーシャルビジネスについて学び、実践する高次のALを実施している。1年次の研究基礎は、20名ほどの少人数クラスである。前期はレポートの執筆方法、調査方法、SDGsやソーシャルビジネスの基礎を学ぶ。後期はソーシャルビジネスに取り組む企業、NPO、自治体などを取材する。取材後は事業性や社会性、課題、インタビュー内容、感想をまとめてクラス内で発表し、その上位グループは全体発表会に選出される。さらに、編集委員を募り、取材内容を冊子『ソーシャる』にまとめる。2年次以降は、選択必修の実践科目「ボランティア実践」「ソーシャル・デザイン」「フィールドワーク」 「まちおこし実践」がある(春・秋学期開講、定員:40名)。この科目は調査や実践などフィールドで学ぶことが目的で、全員がALを経験することになる。ただし、現在はコロナ禍で活動が制限され、教室内でのグループワークや発表などが多くなっている。例えば、筆者が担当するまちおこし実践では、後述する公募型AL「いちかわごちそうマルシェ」と連携しながら進めている。学生が運営スタッフとしてまちづくりに参加する機会の提供とともに、グループワークを通してコミュニティビジネスを条件にした「まちおこしにつながるマルシェ」の企画提案が最終プレゼンテーションの課題である。ゼミは、2年次から始まる。2年次は、文献輪読とそれにもとづくグループワークやグループディスカッションが基本である。前期は「ソーシャル」と「ビジネス」、後期は出口として設定している5分野に分かれる。3年次には、各教員の指導のもと研究テーマを深めるが、その中でもALとして商品開発やイベント運営、滞在型のフィールドワークなどを実施しているゼミがいくつもある。ALを実践する科目の設置やゼミ単位でのALは、どの大学でも一般的で、本学も各学部でカリキュラムに合わせて準備している。そのため、これまで見てきた取り組みは、学部独自とはいえない。本稿で取り上げるのは、学部開設当初から展開する公募型ALで、正課外の教育プログラムである。これは、他学部にはない学部を特徴付ける取り組みになる。学部に設置されている「AL委員会1」が学部事務課の職員と一緒に企画運営を担い、学生全員に参加を呼びかけ、誰でも応募できる。以下では、公募型ALを中心に取り上げ、その現状と課題を整理し、人間社会学部が取り組むALの方向性について検討する2。表2は、活動までの流れである。毎年10月頃に、担当教員がALの年間実施計画書を予算と合わせて学部事務課に提出し、翌2~3月にシラバスを執筆する。その内容は目的・概要、実施スケジュール、関係団体・関わり方、身につく力、活動成果、学生の声、就職活動で活きてくることなどである。学部事務課がそれらを取りまとめ、CUC PORTALで学生に配信する。4月上旬に実施する新入生向けオリエンテーション期間中に全体説明会を実施し、ALの意義やスケジュール、各ALの活動紹介を行う。ALの紹介は、学生が担当する。この説明会には、2年生以上も参加できる。説明会後、5月上旬にかけて約1ヵ月間、募集を行う。学生は志望理由書を記入し、担当教員に提出する。定員超過の場合は、面接を実施することもある。参加学生が確定すると、5月中に既存メンバーとの顔合わせ、事前学習を実施し、活動を開始する。申し込みは5月上旬で一旦締め切るが、定員に達していない、あるいは定員に達したとしても受け入れ可能な場合は随時対応している3。2022年度の申し込み者数は、117人であった。1年人間社会学部が取り組むALの特徴と位置付け公募型ALの現状と特徴

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