cuc_V&V_第54号
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27資料:筆者作成注1:※は、市川市をフィールドにしたALである。注2:ほぼ全てのALが毎年継続している。2022年度は、「城南信用金庫presents産学連携商品開発企画」のみ1年間限定のプロジェクトになる。4 学生のALへの関わり方は、多様である。例えば、筆者が担当するいちかわごちそうマルシェの学生チームには、50名ほどが所属している。そのうち、全体の統括や運営、企画を担う「コアメンバー」が10〜15名ほど、その他は当日のみスタッフとして参加する「フォロワー」である。フォロワーの中でも、高頻度で参加する学生もいれば、たまにしか参加しない学生もいる。どのような形で活動に関わるかは、学生自身の判断に委ねている。学生もアルバイトなど様々な事情を抱えているため、活動を義務付けることはせず、気軽に参加できるように間口を広くしている。同時に、「もっと関わりたい」という学生には統括などを担い、自発性にもとづくより深い関わり方ができるように環境を整えている。5 千葉商科大学ホームページ「人間社会学部 主体的な学び」(https://www.cuc.ac.jp/dpt_grad_sch/ningenshakai/activelearning/index.html)最終閲覧日:2022年6月8日6 現在のALは教員が企画し、学生と一緒に取り組んでいるが、学生からALの提案を募り、実行するという形もこれから検討する必要がある。7 地域志向活動助成金制度は、地域を志向した教育研究、社会貢献に資する活動を支援することを目的にしている。本学の教員や学生との連携が条件の1つで ある。助成件数は最大6件で、専門が近い教員がアドバイザーになる。人間社会学部からは毎年2〜3名の教員がアドバイザーに選定されている。千葉商科大学ホームページ「地域志向活動助成金制度」(https://www.cuc.ac.jp/social_contribution/kenkyujosei/index.html)最終閲覧日:2022年6月1日表3 2022年度における公募型ALの一覧(1)ALという学びをどうつくるのか生が中心だが、コロナ禍で活動できなかった2~3年生からの申し込みも例年に比べて多かった4。表3は、2022年度における公募型ALの一覧である5。出口として設定した5分野に対応したALを準備し、2022年度からは新たに「国際」も加わった。ALは、全て教員の提案によってプロジェクトが企画されている6。AL委員会に所属する教員だけではなく、誰でも提案できる。そのほとんどが教員の専門分野や個人的なつながりから始まる。授業のゲスト講師として招いたのをきっかけに、何か新しい展開が生まれることもある。「フードバンク学生チーム」の発足は『ソーシャる』の取材、「やわたの森キッズ」は「地域志向活動助成金制度7」がきっかけであった。このような活動は、「常時活動型」「イベント型」「フィールドワーク型」に分けられる。常時活動型は、学生が日常的に活動を行う。例えば、筆者が担当するいちかわごちそうマルシェは第2・4土曜日の月2回、フードバンク学生チームは社会福祉法人市川市社会福祉協議会などから寄付を受けた食品や日用品を配布する「CUCパントリー」を月1回、定期的に開催している。イベント型は、常時活動型とは異なり、年1回開催されるイベントに向けて準備を進め、当日のスタッフとして活動を行う。具体的な活動は、イベント実施日の前後に集中することが多い。フィールドワーク型は、特定の地域を訪れ、視察、ヒアリング調査などを実施し、その成果を報告書に取りまとめる。こうした調査をもとに、地域の課題を解決する具体的な活動に発展することもある。公募型ALの特徴は、次の3点である。1つ目は、表3を見てもわかるとおり、常時活動型が大半を占めていることである。学生がALを通じて日頃から現場に出て、活躍している。2つ目は、多様な主体との協働による展開である。どのALも具体的なフィールドを持っている。これは、「学びの空間の広がり」である。自分という個人が教室内、学内で学生や教員とつながるだけではなく、企業、NPO、自治体など持続可能な地域や社会をつくる担い手と連携し、プロジェクトをつくっている。3つ目は、キャンパスがある市川市をフィールドにした活動の広がりである。16のうち11のプロジェクト、約7割にのぼる。人間社会学部のALは、地域に根差し、地域とともに歩みを進め、さらに地域を動かす原動力になっている。これは「CBL(Community Based Learning)」、すなわち「地域連携型教育プログラム」の実践といえる。冒頭で整理したとおり、ALの目的は学生の主体的な学びを育てることである。そのため、公募型ALでは、学生と教員に次の3点を強調して伝えている。1つ目は、通年で活動に関わり、運営していくことである。教員もそのような発展性のある活動を学生と一緒につくり上げていく必要がある。ALは単なるイベントの手伝い、ボランティアではなく、学生自身がプロジェクト全体の担い手になることで主体性が発揮される。4「学びのプロセス」とその体系化

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