cuc_V&V_第54号
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32プロフィール2000年京都大学大学院理学研究科博士課程中途退学、2003年博士(理学)取得。千葉商科大学政策情報学部専任講師、准教授を経て2015年より現職。専門は地質学、第四紀学、古環境復元。千葉商科大学国際教養学部 教授五反田 克也GOTANDA Katsuya国際教養学部では多くのアクティブラーニングの要素を含んだ授業が設置されている。これは、留学が必須であり、留学先でのコミュニケーション能力を高めることや自ら考えて行動する能力を高めることが重要であるからである。例えば、入学式直後に実施する海外フレッシュマンキャンプでは、入学式前から研修先の国の基本的事項や文化について講義を行い、現地ではさまざまな文化に触れ、自らの英語を駆使しコミュニケーションをとるといったことを実施している。特に現地の大学生との交流では共通語が英語しかない中で、英語で意思疎通をとる難しさや可能性を肌身で感じ、4年間の外国語学習のモチベーション向上を図っている。留学をはじめとしたフィールドワークやアクティブラーニングが多く設置されている国際教養学部では、2015年の学部創設以来、「日本を知る」という学部の理念を実行するために鹿児島県奄美大島での研修を行っている。国際教養学部では、留学を前提としたカリキュラムを設計するにあたり、いきなり国際化ではなく、最初に自分たちの住んでいる日本のことを多方面から理解することを重要視した。それは、海外で活躍するにあたって世界のことを知るだけでは不十分であり、日本のことを知っていることが重要であるだけではなく、留学中に外から日本をみることであらためて日本の良さ、特徴、課題を理解することが重要だと考えているからである。「日本を知る」と言っても、その「日本」とはどこなのかということが大きな問題として立ちはだかる。特に本学部の学生の多くは、千葉県や千葉県隣接の東京都東部や埼玉県南東部の出身者が多く、彼らの語る「日本」とはおのずと東京周辺のことに限られがちである。東京は日本の首都であり、多くの人が集中し文化の発信地としても機能しているが、あくまで「日本」の一地域であり、これだけで「日本」を語るのは大きな問題を含んでいると考えられる。そこで、「日本」という国をより深く理解するために、東京のもつ特徴とはもっとも離れていると思われる離島という地域を選択し、地方の抱える問題、離島という特殊な環境の抱える問題を考え、そこがもつさまざまな特徴を未来にどう繋げていくのかをフィールドワークから学ぶ研修を設置することとした。研修先として鹿児島県の奄美大島を選定した。沖縄県の島々とも違い九州や本州とも違う文化をもち、8つの有人島からなる奄美群島の中で最も大きな島である奄美大島では、固有の生物や独特の生態系から多くの学びを得ることができると考えたからである。2泊3日の研修では、学生はさまざまな施設を見学するだけではなく、自然などを観察し写真に収め、奄美大島の気になるところについて人々に質問をし、自らの問いを解決していくことを実施することとした。研修は2泊3日で実施し、事前講義と事後講義で構成される。実施時期は年度によって変遷しており、2015年度は奄美大島が梅雨の開ける6月末に実施したが、11はじめに奄美研修からみる学生の成長と仕掛け国際教養学部のアクティブラーニングの実例

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