cuc_V&V_第54号
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36写真2 大島紬村にて泥染体験(2020年度)写真3 奄美マングローブパークにてカヌー体験(2017年度)写真4 八月踊り体験(2016年度)原ハブ屋マングローブパーク奄美の文化体験ず、偶然にも美しい模様のハンカチができることもあれば、当初思い描いていたデザインとはまったく違うものができあがったりと学生は楽しみながら取り組んでいる。奄美大島の陸の生態系の頂点にある毒蛇のハブについて解説をしている施設であり、ハブの危険性だけではなく、生態系での役割や奄美の生活の中でのハブについて解説していただける。ハブは沖縄など南西諸島に分布しているが、奄美大島の北にある渡瀬線という生物境界で九州側の「マムシ」と分布が分かれている。また、南西諸島の島々の中でもハブの分布する島とハブが生息していない島があり、この分布の違いは南西諸島の成立過程に要因があると考えられている。奄美大島ではかつて、ハブ退治のためにマングースを導入したが、そのマングースが野生化して島の貴重な動物を捕食してしまうという事態を招いた経験がある。現在ではマングースの捕獲が進み、個体数が減少しているが、島という小さく閉じた環境では安易に外来の生物を移入することは、島の環境そのものを破壊しかねないという大きな教訓を与えている。奄美大島には、沖縄県の西表島に次ぐ日本で2番目の規模のマングローブ林が発達している。島の中心にある住用川の河口付近に広がっており、マングローブパークでは、カヌーによる川からの観察が可能である。マングローブ林は、潮間帯に成立するヒルギ科の植物を中心とした森林で、潮の満ち引きによる環境の変化に対応した生物が生息している。マングローブ林は、陸側からでは潮間帯という特殊な環境が見えず、森の中を通って水面まで向かうのは困難が伴うため、カヌーにより水面側からの観察ができることは重要である。学生はカヌーを漕ぎ観察ポイントまで向かい、植物の形状や動物を観察する。奄美の文化として象徴的なものは八月踊りと島唄である。八月踊りは旧暦の8月に収穫を祝って踊られるもので、みなで輪になって踊り、時には夜通し踊り続けることもある。島唄は奄美の民謡であり、奄美の生活を歌ったものや祝い唄などさまざまなバリエーションがある。八月踊りも島唄も奄美大島の集落によって違うものがあり、踊りや歌によって出身地がわかるという。コロナ禍前には、踊り手と学生が一緒になって踊り交流していたが、コロナ禍以降は踊りを見る体験となっている。本研修では、アクティブラーニングの多くの要素の取り入れており、大学での学びに必要なスキルの導入部分を担っている。自発的な学びへと誘導するための反転授業、グループワーク、フィールドワーク(インタビュー調査)、発表、と学生が大学4年間で学ぶこと、それらの成果発表に必要なスキルを満遍なく配置し、効果的な学習を目指している。反転授業として、事前授業の中で先に課題を提示し、その課題の答え合わせをしながら解説を行っている。奄美に関するWeb上のさまざまな情報元を提示し、その5アクティブラーニングの要素と仕掛け

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