cuc_V&V_第54号
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37写真5 海洋展示館にてインタビュー(2021年度)グループワークフィールドワーク発表情報を参考にして奄美に関する問いに答えさせている。学生は問いに対する答えを探すため、多くの情報元をみることとなり、結果として自らが探したい情報以外の情報も目にすることになり、より広範な情報を手に入れることが可能である。また、授業における答え合わせ時に図表や写真を用いて丁寧に解説するとともに、現地研修中に訪問する場所との関係について触れることで、現地での学習へのモチベーションを上げることが可能である。現代の社会人にはコミュニケーションスキルが強く求められる傾向がある。本学部では2年次に留学があるため、留学先で効果的に学習を行うためには現地の人々とのコミュニケーションが欠かせないこともあり、コミュニケーションスキルの向上を図る取り組みを行っている。特にグループワークは就職活動時にも求められることが多いが、一般的に学生はグループワークをする機会も少なく、その方法についても教わることが少ない。そこで、国際教養学部では、1年次3Qにグループワーク入門という授業を設定している。奄美研修でもグループワークの要素を取り入れているが、導入的な要素を強くしている。これは、グループワークとはどのようなものなのか、どのように運営するのかといった基本的なことを学び、グループワークの円滑な進め方を体験することを重要視しているためである。奄美研修のグループワークは、グループワークとは何かという講義部分から始まり、実際にグループに分かれて問いに答えを出すというクイズのような形式でメンバー間のアイスブレイクを行っている。講義では、グループワークとは話し合いではなく、グループでよりよい答えやアイデアを出す作業であり、全員の参加が必須であると教えている。これは、グループワークによる調査などを実施すると、毎回のようにサボる人や発言をしない学生が出現するためである。また、司会の配置やタイムキーパーの役割などグループワークを円滑に進める方法についても教えている。実際のグループワークは1グループ4人程度で実施している。グループワークは、人数が多くなると運営が難しくなり手を抜く人も出てくるためである。また、このグループは現地での行動も同じとなる。グループで奄美大島で訪問する場所の何について調べるのかをそれぞれの関心のあるものを列挙しながら議論し、もっとも興味深いものを選択する。テーマに沿って現地で調査する項目、インタビューする場所や対象について計画を立案する。現地では、グループで協力しながら効率的に調査活動を行い、観察や写真撮影、インタビュー等を実施する。グループでの作業を徹底させているため、現在では手を抜く学生は少なくなり、多くの学生がグループワークを楽しむことができている。現地研修では、多くの施設でフィールドワークをする機会が用意されている。これは奄美の方々の協力があって成り立っているものである。学生たちは、積極的に行動しインタビューを実施するなど自発的な活動がみられるようになった。解説を聞く時などもメモをとる姿をみるようになった。また、天候などによりスケジュールが変更になる、調査予定の場所に対象となる人がいないなど、当初の計画の通りに調査が進まない場合にも、柔軟に計画を変更して調査を行うことができるようにも考えている。授業開始当初には、手を抜く学生もみられたり、調査も最低限のことしかしないグループがあったりしたが、現在はほとんどのグループが意識を高く持ち行動している。国際教養学部では、学生の発表の機会を多く設けているが、奄美研修の成果発表が最初の機会となっており、学生にとっては緊張する場面でもある。ポスターセッションでは、グループでA0サイズのポスターを作成し、1週間の掲示期間を設けている。90分のコアタイムでは、教員を中心とする見学者との質疑応答が行われ、学生は自らの学びを振り返ることで理解を深めている。教員は全ポスターについて、ポスターのデザイン性や発表の精度について評価を行い、優秀なグループを表彰している。ポスターセッションは、スライドを用いた口頭発表と違い研究の全体像をつかみやすく、学生間でもどのポスター

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