cuc_V&V_第54号
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38写真6 ポスターセッション(2018年度)写真7 ばしゃ山村海岸にて(2021年度)が良いのかを評価しやすく、お互いのポスターを見比べることで成長することができる。多くの学生は、人前での発表を嫌う傾向があるが、ポスターセッションでの発表は隣にも発表者がいるので緊張感が和らぐためか、概ね全員がしっかりと説明をこなすことができている。奄美研修では、さまざまなアクティブラーニングの要素を導入しており、2泊3日の現地研修に有機的に結びついた事前事後学習により、学生は積極性や計画性、協調性を身に付けることができている。本研修開始直後には、学生の意識も低くグループワークでは一部の学生に負担が集中し、現地調査では研修先に迷惑をかけるような行為が見られるなど問題があった。しかし、回数を重ねるにつれ適宜改善を行った結果、現在では学生が自主的に行動するまでに変化している。大きな改善点としては、学生の自主性に任せるのではなく、研究の形やパターンを明示して教え、それを実践させることにしたことである。学生は、何をどのようにしなくてはいけないのかを明示されたために、行動する目標がわかりそれに向かって活動を行うことができるようになったと思われる。しかし、形を教えることによる成長にも限界があり、規定内のことはできるようになるが、それ以上の成果を出そうとする意識が醸成されにくいといった問題がある。1年次の研修ということを考えれば、研究というものを実際に体験し、研究が楽しいと思って今後の学生生活、勉強を行っていく意識が植え付けられれば、成果としては十分であるとも思われる。アクティブラーニングの要素については、学生は体験することで多くを学ぶことができているが、「日本を知る」という部分についても学生は学びをしている。多くの学生が奄美での文化等を体験し、実際に現地の人々の話を聞くことで地方の現状を理解し、日本という国がもつ多様性について考えるようになるとともに、東京や自らの地元についても考えを深めることができている。特に、奄美では多くの場所を訪れているが、移動中にバスの車窓から見る風景には人がほとんど見られない。訪問先でも観光客以外には現地の人々、特に学生と同世代の人々を見ることが少なく、地方の過疎の問題や少子高齢化ということを実感している。また、豊かな自然の残る奄美大島であるが、自然保護の難しさがあることも学習の中で学んでいる。かつて、ハブ対策のために導入したマングースが野生化して在来生物への脅威となったが、マングースの駆除により一定の成果を見せているが、現在は家庭で飼われていたネコが野生化したノネコが問題となっている。ノネコについては、マングースと違い駆除について否定的な意見や感情的な意見が多くあることを担当者から聞き、自然保護活動の難しさを知ることとなった。学生という立場として若い世代からの建設的な意見も見られた。2018年度には、奄美に関する川柳コンテストを実施したが、島唄をラブソングと例えた詩や八月踊りをクラブと捉えた詩が作られるなど、奄美の文化を別の角度からみていることもあった。また、文化を守っていくためにSNSを活用した提案をするなど、若い感性を活かしたものも見られた。多くの学生が奄美研修を通して多様な学びの手法を経験し、自発的に行動できるようになるなど成長しているが、隠された成長としては国際教養学部生としての意識の醸成が挙げられる。国際教養学部の2年次秋の留学に向けて、自ら学ばなければ成長しないこと、自発的に動かなくては何も得られないことを学び、留学に向けて語学等の学習をすすめていくことにつながっている。国際教養学部としての一体感、全員で勉強するという意識を作ることは大きな成果であると思われる。6学生の成長

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