View & Vision No55
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※関東地区※1962年12月3日~2023年1月29日現在※オリンピック・ワールドカップサッカーなどは、大会ごとに、最高のもの1番組を抽出。※紅白歌合戦は最高のもの1番組をそれぞれ抽出。※15分以上の番組を対象。※ビデオリサーチHPより作成ⅴ ビデオリサーチ『全局高世帯視聴率番組50(関東地区)』ⅵ CyberAgentプレスリリース『数字で振り返る「ABEMA」の「FIFA ワールドカップ カタール 2022」』  https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=28368表1 全局高世帯視聴率番組 ベスト10ビ視聴率ランキングだが、ベスト10のうち7つまでがスポーツコンテンツであることがわかる。ちなみに、2021年7月23日に行われた東京2020オリンピック開会式の視聴率は歴代16位に相当する56.8%を記録ⅴ、テレビ離れが叫ばれて久しい現在にあっても、ワールドカップやオリンピックのような国際的なメガスポーツイベントは国民が広く一体となって興奮や感動を共有しうるコンテンツであるといえよう。海外でテレビを視聴していて、仮に現地の言語を全く理解できなかったとしても、スポーツ中継であれば大抵の内容は理解できるはずだ。スポーツは、老若男女、世代や性別の壁を超え、また言語や文化などの垣根を超えて愉しむことができるソフトなのである。メガスポーツイベントや海外の主要スポーツリーグの放映権が高く取引されている背景には、こうしたスポーツの特長も大いに影響している。一方で先述の通り、動画配信サービス「ABEMA」によるFIFAワールドカップの全試合放送が成功を収めたことで、新たなスポーツの視聴形態が確立し始めたといえよう。視聴者や視聴形態の分析が容易なことは動画配信サービスの特長である。なお、デバイス別視聴割合は、スマートフォン視聴が43%と高かった一方で、大画面でのテレビ視聴も24%と躍進した(パソコン24%、タブレット9%)。地上波放送を視聴できるテレビ本体がある環境であってもデジタル配信コンテンツを観るという層がかなりの割合で存在するなど、視聴態様にも変化が起こり始めていることが改めて理解できるⅵ。スポーツビジネス発展のキープレーヤーとして、一般大衆やスポンサーなどの関心を集めるためのメディアの存在は不可欠だが、日本国内においてはスポーツイベントそのものと主要メディアが深く結びついているケースは多い。高校野球は、その代表例である。全国高等学校野球選手権(夏の甲子園)は朝日新聞が、選抜高等学校野球大会(春のセンバツ)は毎日新聞が、日本高校野球連盟とともに主催する大会であり、NHKが地上波で全試合生中継する。競技の質としては決してトップレベルというわけではないが、毎年恒例のイベントとして中継され、多数のメディアに大きく取り上げられ注目を集める。夏の甲子園は、真夏の猛暑下、タイトなスケジュールで実施されるトーナメント大会、すなわち全国約4,000校の頂点を決めるための壮大なノックアウトゲームだ。1度負ければ終わりのため、全国約半数の高校野球部は1試合も勝てずに大会を去ることになる。また、とくに地区予選であれば、大きな力量差のある高校同士が試合をしなくてはいけないケースもあり、強い打球を捕球し損ねたり、速い投球を避けきれなかったりすれば、大きなケガにつながるリスクも孕んでいる。トーナメント形式は、負ければ終わりというヒリヒリ感を味わえるよさもあり、それが悪いというつもりは決してないが、ワールドカップ同様負ければ終わりゆえに、大会に耳目が集まれば集まるほど、「勝利至上主義」に傾倒しやすくなりがちな構造とい322)コンテンツホルダーとしてのメディア

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