学長コラム

本学の取り組みや教育活動、学生たちの活躍などの最新情報を中心に、時折、原科学長の研究テーマである参加と合意形成、環境アセスメントに関連した話題もお届けします。

皆さま、こんにちは。
本学は11月13日(月)、日本記者クラブで会見を行い、日本初の「自然エネルギー100%大学」をめざすことを表明しました。全世界が取り組む地球温暖化対策への貢献として、2018年度末までに本学が所有するメガソーラー発電所等の発電量と市川キャンパスの消費電力を同量とし、さらに、2020年度末までにはガスを含む全消費エネルギーを同量とする環境目標を設定しました。

国連の持続可能な開発目標(SDGs)に対応

本学の環境目標は、2015年9月の国連サミットで採択された17の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」のうち、13番目に掲げられた「気候変動」への対策に対応しています。SDGsは、2030年までにあらゆる形態の貧困に終止符を打つため、すべての国とすべての人による行動を必要とし、各国は目標達成に向けた枠組みを確立することを期待されています。中でも気候変動に関しては、人間の活動に起因する温室効果ガスの排出が気候変動を助長しながら、増大し続けており、その対策を講じなければ地球の気温上昇が続き、深刻な問題が生じる懸念があることは皆さんもご承知のことでしょう。SDGsの採択は、その後のパリ協定に大きな影響を与えたのは言うまでもありません。パリ協定は、世界の平均気温上昇を2℃未満に抑えること、可能であれば1.5℃に抑える努力を追求することに言及しており、これに対して日本は、2030年までに温室効果ガスを2013年度比26%削減という目標を定めました。それを実現するのが、再生可能エネルギーの導入促進と徹底した省エネの推進であり、本学もこの目標の達成に貢献すべく取り組んでいきます。

大学初「自然エネルギー100%宣言団体」登録

本学は千葉県野田市の所有地にメガソーラー発電所を建設し、2014年4月から東京電力に売電する「太陽光発電事業」を開始しました。本学が「自然エネルギー100%大学」をめざして第一歩を踏み出したのは、この発電所において2014年度の発電実績が市川キャンパスで消費された電力の77%に相当することが分かったことによるものです。日本は東日本大震災の経験を機にエネルギー政策の転換が不可欠となり、気候変動の抑制に限らず、災害時におけるエネルギーの確保という点からも自然エネルギーに関心が高まっています。そこで、本学は太陽光パネルの増設による創エネとともに、照明のLED化や学生と教職員による徹底した省エネ行動で消費電力の削減に努めながら、2018年度末までに自然エネルギーによる発電量と消費電力を同量とすることをめざし、その2年後には、太陽熱冷暖房の設置等により全消費エネルギーについても同様の目標を達成することを記者会見で発表しました。国際社会の共通課題である環境への配慮に加え、本学の取り組みは、自ら使用するエネルギーを自ら創出する事例を社会に提示するものとなります。このような大学はまだ国内に例を見ません。また、同日には自然エネルギー100%の実現を提唱する世界的イニシアチブ「自然エネルギー100%プラットフォーム」において、大学だけでなく国内の教育機関としては初めて「自然エネルギー100%宣言団体」に登録されました。

地域分散型エネルギー社会の推進

また、本学の「自然エネルギー100%大学」の実現を支援するのが、CUCエネルギー株式会社です。本学が取り組むエネルギーの地産地消をモデルに、地域分散型エネルギー社会の推進に貢献することをめざし、設立されました。本学に対しては省エネ設備のリース等を行っており、ハードウェア、ソフトウェアの両面からエネルギーの管理、最適化をサポートしていますが、今後は本学での成果を事業化し、地産地消のエネルギービジネスにも展開することで、地域経済の活性化にも繋げていきたいと考えています。
「自然エネルギー100%大学」に向けて、本学の知を結集し、総力をあげて取り組むとともに、エネルギー管理のシステムに加え、私たち一人ひとりが省エネの行動を起こす、環境を配慮する意識を育んでいきます。

自然エネルギー100%大学記者会見

関連リンク