学長コラム

本学の取り組みや教育活動、学生たちの活躍などの最新情報を中心に、時折、原科学長の研究テーマである参加と合意形成、環境アセスメントに関連した話題もお届けします。

※今回のコラムは、学生諸君に向けたメッセージです。

この度、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された方々には、謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。

皆さん、こんにちは。
SDGsという言葉を聞いたことはありますか。これは、「エスディージーズ」と読みます。「エスディージー エス」ではありません。SDGsの最後のsは複数形のs。つまり、SDGが沢山あるということです。SDGsとは、2015年に国連の会議で決めたSustainable Development Goals。日本語では、持続可能な開発目標と訳されています。これはいま、大変に重要な言葉です、今日はこのSDGsについて考えてみましょう。

持続可能な開発目標は、全部で17もあります。まず、人々が生きるための基本的な目標が6つ。1:貧困撲滅、2:飢餓ゼロ、3:健康と福祉、4:質の高い教育、5: ジェンダー平等、6:安全な水とトイレ。次は、豊かさに関する目標が5つ。7:クリーンで安いエネルギー、8:真っ当な働き方と経済成長、9:産業・技術革新・インフ ラ整備、10:人や国の不平等をなくす、11:持続可能な都市・コミュニティ、となっています。さらに、地球環境について、12:つくる責任 つかう責任、13:気候変動対 策、14:海の豊かさ、15:陸の豊かさの4つ。そして、16番目が世界の平和と公正。最後の17番目が、これらの目標達成のためのパートナーシップです。

とても幅広い領域ですね。色々な国や地域で共通する重要な目標ということです。だから、国や自治体だけでなく産業界もこのSDGsを重視しています。また、大学も次第にそうなってきました。

これら17の目標に共通するテーマは「誰一人、取り残さない」。すなわち、全ての人に目を配り、十分な配慮をするということで、武士道の「仁」につながるものです。仁とは、人と人との間のことで、思いやりを持つ、十分な配慮をするということです。だから、SDGsは、武士道精神を重んじる本学の教育目標と同じ方向なのです。そういう関係があるので、実はSDGsにおいて、千葉商科大学はかなり有名です。

例えば、本学は持続可能なエネルギー源である自然エネルギーを推進していますが、これは、SDGsの目標7と13だけでなく、目標8、9、11、12にも深く関わるものです。本学は「自然エネルギー100%大学」を目指し、昨年、電気についてこの目標を達成しました。日本全国780近くある大学の中で第1号なので色々なメディアで報 道され、昨年から今年の初めにかけて国際的な賞も含めて3つもの賞を頂きました。そして、今月(6月)政府が発行した「環境白書」にも本学の自然エネルギー100% 大学が紹介されたほどです。本学は、この活動を他の大学にも広げようとしています。

学長コラム6月

他にもSDGsの活動があります。これは、日本経済新聞の電子版で大変注目されました。2019年度に同紙が取り上げた学生による商品開発40件のうち、本学の「SDGsを目指すレトルトカレー」は一番の閲覧数だったと報道されました。しかも2位の30倍近くもの閲覧数だったのです。日本一の学食、The University DININGでは学生も活動していますが、その学生達が西尾淳サービス創造学部教授をはじめとした教職員と外部専門家の支援を得て、素敵な商品を開発しました。これは、特にSDGの12:つくる責任 つかう責任に関係します。学食における食材の無駄をなくそうと、つくる責任を果たしました。貯蔵がきくので災害時の非常食にも使えます。だから、11:持続可能な都市・コミュニティにも関係する。素晴らしいですね。

これらの活動は、SDGsを目指す学長プロジェクトとして4つのプロジェクトを行ってきた中で生まれたものですが、いずれも学生諸君と教職員が共同して行っているものです。皆さんも是非、参加してください。また、SDGsと武士道は、その本質の部分で深く関係していると書きましたが、この点に興味ある人は新渡戸稲造の「武士道」を読んでみてください。もともと英語で書かれた本なので色々な日本語訳があります。どれでも好きなものを読めば、新しい視野が開けます。