中国語で入力したい人へ

中国語入力ソフト紹介(一)

 日本語WindowsなどOSの上で、日本語を簡単に入力できますが、中国語のフォントとIMEが入っていないので、そのまま中国語で入力することはできません。しかし、現在中国語学習者の数は急速に増えたので、日本語の環境をそのまま温存して中国語の入力環境を作ってくれるソフトは数多く出てきました。一つの文書の中に、中国語ばかりの文章を書くのはもちろんのこと、中国語と日本語が混在している文章を書くことも夢ではなくなりました。入力の快適さがソフトによって様々だが、ここ数年、めざましい進歩はあったのも事実です。使い慣れた日本語入力環境の上、中国語入力もできれば、あなたはもう立派な国際人!

 語学力がもう少し伸ばしてから外国語入力ソフトを買おうと思っている人が多いみたいが、中国語の場合、それは必ず正解とは言えません。むしろ、フル・ピンインで中国語の漢字を入力する作業は入力の同時にピンインの学習と復習もでき、まさに一石二鳥の勉強方とも言えます。まして、一部のソフトには日中と中日辞書引き機能も組まれており、単純な入力道具を越えたエディテイメントソフトになりつつあっています。

 さて、店頭にたくさん並べている中国語入力ソフトの中に、どれが一番自分に合うのかと迷っているあなたには、少しばかりのアドバイスを提供させていただきましょう。もちろん私はこれらのソフトを一々使ってチェックした上で紹介することが不可能ですが、触れたことのあるソフトに対して、簡単な感想を付け加えた程度でお許しいただきたいと思います。


(一)Windows用

(1)『Chinese Writer V9』(古いバージョンは『Chinese Writer V2』、『Chinese Writer 95』、『Chinese Writer V3』と『Chinese Writer V4』、最新バージョンはV9になりました。たくさんの新しい機能も追加されました。)

 これは日本語環境で中国語入力ソフトを一所懸命作ってきた老舗の一つである高電社の最新製品です。中身は中国語入力、表示、印字システム及び様々な中国語ファイルとのコンバートシステムからなり、入力方法は、ピンイン(フル・ピンインの全ピン方式とキーボードの割り当てにより簡略化された双ピン方式)、日本語単語読み、部首、GBコード、日中辞書引き及び中日辞書引きなどがあり、最も標準的な構成と言っても良いでしょう。中国語漢字の表示は明朝、ゴシック、丸ゴシック、楷書、宋朝、毛筆の6書体のTrueType簡体字フォントが添付され、繁体字で利用したい人には繁体字表示、印字用フォントも標準添付になり、別途購入しなくても良いのです。ワープロソフトだけではなく、表計算やデータベースなどの各種日本語アプリケーション上で中国語入力ができます。IMEという形で日本語Windows上中国語入力を実現したほとんどのソフトはこうになっているが、このソフトの特徴と言えば、定評のある小学館『日中辞典』と『中日辞典』準拠の日中・中日辞書内蔵することです。私の場合、パソコンで作業をしているとき、手元にはいつも何冊の辞書を置くことは普通です。このソフトを利用するときに限って、紙でできている辞書を引く回数は明らかに減少されました。単語を調べる時間も大幅に短縮できると思います。特に新しいバージョンには、日本語Windows上でGB中国語コードとBIG5中国語コードを入力できるIMEも搭載され、いわゆる「中国語トリプルIME」となりました。中国語でるを書きたい人には、とても便利な機能でしょう。書体も一応豊富と言えるし、インターネット閲覧用のブラウザ表示用フォントも付属されていて、買い得感の高いソフトです。ただし、初代の『Chinese Writer』からの問題ですが、肝心の中国語入力用辞書の作りは良くできていません。なぜか知りませんが、よく使う単語は常に候補の最後にやっと現れ、めったに使わない単語や見たこともない単語などはかえって優先候補の地位を占めています。特にこの最新バージョンのソフトの中国語辞書は前より辞書の構成が悪くなり、候補の言葉を出す時間も長くなりました。ある程度使い込んだら、学習機能の蔭で少しずつ改善できますが、かなりの根性が必要でしょう。

〔価 格〕\32,800+消費税、アカデミックパックがあり

〔問合先〕高電社 TEL 06-6628-8880 「中国語関連製品

(2)『楽々中国語V4』(古いバージョンは『cWnn98 R4.0』)

 「中国語初の本格的連文節変換を実現した」入力システムと唄ったこの『楽々中国語』の前身に当たる『cWnn98』は、本当にすごい。基本構成はほかのWindows用中国語IMEと同じく、中国語入力、表示、印字システムとGBコードなどとのコンバータからになっていて、入力方式もピンイン、部首、GBコード、日本語ローマ字読み入力などほとんど標準と言っても良い装備ですが、驚いたことは、その変換の正確さと快適さです。これまで、ATOKシリーズを代表とした日本語IMEがAI変換などいわゆる人工知能技術を取り入れてどんどん発展してきたのを見て、羨ましい限りでした。中国語文節の区切りは日本語よりかなり複雑になっているので、文節間の連携関係を分析した上でたくさんの同音語の中から適切な言葉を選んでくれることは容易ではありません。けれども、『cWnn98』はこの点で良くやりました。カタログの説明では「業界最高水準の95%の変換率」と言っていますが、私の体験では少なくとも80%以上の変換率は実現していたと思います。特に文が長ければ長いほど、変換の正確さは高くなります。時々感動しました。もう一つの特徴と言えば、外国地名や日本人の姓など固有名詞を日本語のままで入力すれば、中国語に翻訳して中国語の漢字で表示してくれる機能はあります。さらに、zとzh、cとch、sとsh及び-nと-ngなど中国語子音と母音の区別をなかなか覚えられない人は、ピンインの揺らぎ入力機能を利用したら、間違えたピンインで入力しても正しい漢字変換ができます(中国語の教師としてはあまり喜ばないけれど)。これはいわゆる「日本人に優しい中国語入力システム」ということです。中国語フォントには、明朝、ゴシック、丸ゴシック、楷書、宋朝、毛筆及び繁体字など合計10種類の TrueTypeフォントが標準添付され、ワープロ、メール作成、ブラウザなどに使えます。

 『楽々中国語』の特徴および新機能は開発社のホームページに参照して欲しい。

〔価 格〕\20,790+消費税、アカデミックパックがあり

〔問合先〕 オムロンソフトウェア TEL:075-352-7211 FAX:075-352-7251


(二)Mac用

 マッキントッシュの上に中国語を入力しようとしたら、たいへんな作業となります。「Chinese Language Kit」という入力ソフトを使ったら、連文節どころか、単文節でもなく、一文字ずつ打たなければならなくなる複雑な操作の連続でした。その作業の重さを軽減するために、各文節最初の一文字を打てから、いろんな後続の漢字が自動的に出てきて、番号で選べる「連想」式の入力システムとなっています。もっと知りたい人は内田慶市・野原康宏著『マックで中国語』(ひつじ書房1996年7月)を参照しても良いでしょう。


(三)フリーソフトウエア

(1)『微軟ピンイン輸入法』

 これは、あのマイクロソフトというアメリカの会社が配布している中国語IMEです。元々中国語版のWindowsに収録されているものですが、日本語版Windows上でも動くとのことです。ダウンロード先及び使用報告などの情報について、「漢字文献情報処理研究会」のダウンロード用ホームページに参照してください。

 中国語の入力に関して、もっと詳しく知りたい人は、(1)月刊『しにか』1997年4月号の特集「中国語電脳事情」、(2)『コンピュータで中国語WIN&Mac』(大修館書店1999年5月)、(2)『電脳中国学』(好文出版1999年)を薦めます。神田神保町の中国語関係の本やさんに行けばまだ手に入れると思います。


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