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公開シンポジウム「大廃業時代の中小企業支援のあり方」

2018年12月14日

創立90周年記念事業の一環として、経済研究所主催による公開シンポジウムを12月1日(土)、「大廃業時代の中小企業支援のあり方—事業の承継・引き継ぎ・譲り渡し支援—」をテーマに開催しました。当日は、中小企業診断士や税理士・弁護士、金融機関の担当者等直接に中小企業支援業務に携わる専門家や実務家を中心に70名超の皆さまに聴講いただきました。

<第一部>

基調報告では、本学の中小企業診断士養成コース第一期生の中小企業診断士であり、現在はプッシュ型事業承継支援高度化事業全国事務局プロジェクトマネージャーの魚路剛司氏が「中小企業の事業承継支援の考え方」のテーマで講演。中小企業経営者の年齢構成等の現状や将来推計により、事業承継問題の重要性を解説。また、平成28年12月に10年ぶりに改正された「事業承継ガイドライン」の下での、事業承継ネットワークの構築事業を踏まえた具体的な施策として (1)事業承継補助金 (2)事業承継税制拡充 (3)プッシュ型事業承継支援高度化事業について説明。事業承継支援を事業者の資産・経営状況と事業者の認識などの4つの象限から分類した具体的な支援実態を解説し、課題の抽出や整理を行う上で、喫緊の後継者問題を「自分ごと」として捉えることの重要性を強調されました。

事例報告では、千葉県事業引継ぎ支援センター統括責任者の梅澤道博氏が同センターの事業活動や問題解決に至った具体的な相談事例を紹介されました。近年の千葉県内における後継者の決定状況は約32%で、調査時の対象企業10,643社中約68%の企業で後継者が不在しているという現状を説明。後継者難は単独の企業だけの問題ではなく、地域社会全体に関わる大きな問題であり、支援センターでは、各分野の専門家と連携の下で、ワンストップでの支援を行っていることなどが紹介されました。

調査報告では、日本政策金融公庫総合研究所研究員の井上考二氏が「経営資源の譲り渡し支援—廃業時の課題解決—」のテーマで講演。2017年1月にインターネットによるアンケートを実施し、譲渡企業と非譲渡企業の800数十社から集計した具体的な調査結果を紹介されました。譲り渡しの満足度については、45.1%の経営者が経営資源の譲り渡しに満足しており(「どちらとも言えない」は41.1%)、多くの企業が譲り渡しによるメリットを享受している実態が浮き彫りになりました。調査結果からも譲り渡しは円滑な廃業を促す上でも重要であり、今後、経営者の高齢化が進展して高齢を理由とした廃業の増加が予想される中、情報提供やコンサルティング等により譲り渡しをスムーズに行うための支援の重要性を強調されました。

<第二部>

事業を譲り渡した元経営者としてご登壇いただいた高齢者デイサービス施設の元有限会社かずさ企画代表取締役の監物清一氏には、同社のコンサルティングを担当した株式会社経営承継支援 M&Aコンサルタントの山川亮太氏によるインタビュー形式により具体的な譲り渡しの実情を語っていただきました。山川氏は自身の病気と高齢により廃業に迫られていましたが、後継者不在の中、地元商工会議所で見たパンフレットから県の引継ぎセンターを知り、専門の業者として株式会社経営承継支援を紹介されました。譲渡の手続きは秘密保持を絶対条件に、大量の書類作成、事業評価と譲渡価格、従業員の雇用保証や経営者交替の周知の手順等の様々な課題を乗り越えた山川氏は、結果として、経営者の責任を果たすことができ、肩の荷がおりて楽になったとの譲渡側経営者としての率直な感想が述べられました。

引き続き、鈴木直志経済研究所中小企業研究・支援機構長をモデレータに、報告者が一堂に会してのディスカッションを展開。フロアからの質疑応答では、来場者より活発な質問が寄せられました。参加者からは、「事業承継、廃業のイメージが具体的に把握できて勉強になった」、「国、自治体の取組み内容が説明されて良かった」、「譲り渡し企業による貴重なお話が興味深かった」等多数のコメントが寄せられました。

公開シンポジウム 開催報告

公開シンポジウム 開催報告

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