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開催レポート

公開シンポジウム「変化の時代を生き抜くFinTech活用—銀行、中小企業、ベンダーの事例から学ぶ—」開催報告

2018年7月16日

経済研究所では、学長プロジェクト「会計学の新展開」との共催により、7月7日(土)、1101教室において、「変化の時代を生き抜くFinTech活用—銀行、中小企業、ベンダーの事例から学ぶ—」のテーマにより公開シンポジウムを開催しました。当日は、約80名の参加者を得て、成功裡にプログラムを終えました。概要は以下の通り。

開催に先立ち、原科学長が昨年来本学の課題に掲げている「学長プロジェクト」の取組みを紹介。続いて、橋本隆子副学長(経済研究所長)より、テーマの狙いについて、FinTechの潮流と重要性から、如何にFinTechを理解してビジネスに活用していくかを考えていただく契機としたい旨を説明しました。

<第一部>

先ず問題提起として、本学会計ファイナンス研究科教授で公認会計士としても活躍する中村元彦氏が「明るい未来の会計・税務に向けて」のテーマで講演。FinTechの基本的な解説と国家戦略の一環として導入している海外(エストニア)の事例を紹介すると共に、メリットや問題点などを紹介。わが国の会計・税務の業務に携わる会計人は、FinTechの活用による業務の効率化、簡素化といった変化を前向きな攻めの方策に転換する第一歩と捉えることで、明るい未来が広がるという見解で結びました。

次に千葉銀行経営企画部フィンテック事業化推進室兼T&Iイノベーションセンターの関谷俊昭氏が「オープンAPIへの取組みについて」のテーマで講演。同行はデジタルバンキング戦略として、2020年を目標に社会全体の「デジタル化」に対応する「デジタルバンキング」へのシフト実現を掲げており、TSUBASAアライアンス(千葉銀行がFinTechをはじめ先進的なIT技術を調査・研究するために発足した営業地域の異なる地銀ネットワークで、現在7行が加盟)により、API、AI、ビッグデータの活用等、先進技術を活用した新たなビジネスモデルを積極的に検討するなど、社会の急速な技術進展に伴い、顧客利便性や顧客満足度向上等を目的に、他社・異業種サービスとの連携による更なる付加価値を見出す動きも活発化しているなど、金融機関の現状を報告していただきました。

続いて会計ソフトのベンダーを代表して、弥生株式会社代表取締役社長の岡本浩一郎氏が「FinTechが変える会計の今とこれから」のテーマで講演。同社は、1987年に「弥生シリーズ」の会計ソフトが誕生して以来30年以上の開発と実績を重ね、現在では業界のトップリーダーとして、デスクトップアプリのシェア約66%という圧倒的な人気を誇っています。会計業務の生産性向上と会計データの高付加価値化の反面、課題も存在するものの証憑の整理から記帳、試算表作成までを自動化する開発も進展しており、監査業務では、新日本監査法人が企業会計の異常値をAIが検出するシステムを開発するなど、監査業務、与信業務、経営管理業務などが進化している現状を報告していただきました。
以上、本学の専門家や各業界を代表する方々の講演により、第一部を閉幕。15分間の休憩を挟んで第二部をスタートしました。

<第二部>

先ず、会計職業人を代表して、税理士法人行本事務所 代表社員税理士で株式会社YKプランニング代表取締役の行本康文氏が登壇。かつての会計事務所のビジネスモデルについて、伝票の起票から始まり、元帳転記、元帳集計、試算表作成、決算書作成といった算盤と簿記の達人が業務を担っていた時代が30年以上続いたこと。その後、マンパワーがコンピュータに置き換わることとなり、そこに新たなビジネスモデルとして多くの会計ソフトが誕生。しかし、会計事務所では多くの会計ソフトがあることで、業務の効率化が阻害されたことから会計データを一元化する財務維新が勃発。現在では、クラウド会計・経理サービスを提供するFinTech企業は、中小企業と金融機関を繋ぐビジネスを積極的に展開しようとしており、 FinTechの登場により従来型の経済活動は激動の時代を迎えていることなどをご報告いただきました。

続いて橋本隆子副学長が、「情報科学」の研究者の立場から、「AIは仕事を奪うか」のテーマで、AIと人間の理解の違いを解説。2030年頃には、日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等により代替が可能で、代替可能性が高い100種の職業の中に「会計監査員」が含まれているとの分析結果((株)野村総研の研究より)が紹介されました。会計業務には会計ツールの基礎知識と共に経験といった側面も必要であり、新しい変化を受入れつつAIが不得手な分野を新たなビジネスチャンスと捉えながら、技術を進めていくことが重要であるとする見解で結びました。

次に、中村教授をモデレータに、報告者が一堂に会してのディスカッションを展開。(1)ビッグデータの守秘義務等制約に対する工夫や課題、(2)監査業務が変わることに対する現場の抵抗、(3)FinTechから見た明るい将来像、の3点について、各登壇者よりコメントをいただきました。
フロアからの質疑応答では、銀行員や税理士、会計士、プログラマーなど、会計の実務やシステム開発に携わる方々より活発な質問が寄せられ、本テーマに対する関心の高さを窺わせる内容となりました。

最後に、桝岡源一郎副学長(学長プロジェクト「会計学の新展開」リーダー)より、登壇者に対する感謝と個々の報告に対する感想が述べられ、シンポジウムを閉幕しました。

経済研究所公開シンポジウム

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