高等教育機関の教育・研究に対する非政府部門の資金贈与に関する研究

研究課題

高等教育機関の教育・研究に対する非政府部門の資金贈与に関する研究

研究目的

日本の高等教育における資金贈与の状況について調べ、その現況を高い率の寄付金による高等教育を運営される欧米の大学(イギリス、アメリカ)、アジアの大学(シンガポール、香港、台湾)の状況と比較分析を行い、日本の非政府部門(企業、公益団体など)が高等教育機関(大学等)の教育・研究に贈与する資金の実際とその歴史的、文化的要因を究明することが本プロジェクトの研究目的である。加えて、本学は第2次中期経営計画が始まり、その中で大学教育・研究のための寄付金集めは重要な目標の一つとなっており、本研究はそれに資するものである。

これまで、日本の非政府部門の公益事業に対する資金贈与についての研究は、理科系、医学系の他、芸術、技芸に関するもの、或いは奨学金についてのものが大半であり、人文系、社会科学系に関する資金贈与の研究、とりわけ、高等教育機関の教育・研究についてのものはほとんど見当たらない。

本研究は日本の高等教育機関への資金贈与の実際を明瞭にするために、欧米とシンガポール、香港、台湾における非政府部門の大学教育・研究への資金贈与の状況を調査して、日本の非政府部門の大学教育・研究への資金贈与との比較を行い、現状を把握し、歴史的、文化的視点による考察を通してその相違の深層を究明する。併せて、既存の寄付に関わるデータ、非政府部門の寄付行為に関する行動をアンケートやインタビューを通して分析を行ない、定性的にも定量的にも評価を行なう。

研究の初年度には、高等教育機関の教育・研究に資金贈与している非政府部門について要点を絞ってアンケート調査、聞き取り調査、資料分析を行い、状況の把握と資金贈与の理念、目的と贈与対象を選択する際の基準、期待の有無などを明瞭にする。併せて、アジアの事例として香港、台湾の大学についての現地調査を行う。続いて第2年度には、欧米の事例としてイギリスの大学、アジアの事例としてシンガポールの大学についての現地調査を行い、その上、日本での調査結果との比較研究を行う。並びに全研究期間において、国内外の研究対象についての歴史的、文化的背景を考究し、総合的に高等教育機関への贈与の本質を読み解き、世界的に広い範囲で進む大学教育の市場化の中、大学教育・研究の存続と発展に寄与するヒントを提示する。

研究員

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