労働観の表象と変遷に関する比較歴史社会学的研究

研究課題

「労働観の表象と変遷に関する比較歴史社会学的研究」

研究目的

本研究プロジェクトは、「働くこと」「労働」をめぐる表象と変遷に着目して、「労働」概念に関する既存の把握に潜むバイアスを洗い出し、経済学・経営学・社会学・歴史学・地域研究等々の学際的・世界史的な比較の視点で「働くこと」を再把握する基盤を形成しようとするものである。

その目的のために、以下の研究を予定している。
初年度では、第一に、「労働」についてさまざまな領域で蓄積されてきた議論・学説を整理する。そのために、研究メンバーによる研究会だけでなく、さまざまな専門領域の知見を得るべく専門家をゲストスピーカーとして招聘し、研究会を開催する。ゲストスピーカについてはできるだけ学内の研究者に協力を要請する予定であるが、場合によっては学外の研究者に協力を依頼することも考えている。少なくとも研究メンバーの専門領域における研究史の整理は、初年度に可能であると考えられる。

第二に、国内調査を実施し、国内諸地方において労働がいかなる仕方で表象されているか(表象されてきたのか)を実見し、文献上の議論を相対化する視点を養う。訪問では、諸地方の労働の現場や、博物館での過去の労働の表象され方や、美術作品における労働の描かれ方など多岐にわたる領域で、働くこと、労働という場を再考する機会を得ることができるだろう。

2年目には、初年度の課題を継続し、さらに知見を広げる。第一に、研究史の整理と視野の拡張のための研究会、第二にイスラム世界の労働という地点からの認識の転換に向けて、トルコでの海外調査(共同研究によって共通認識を獲得する)を実施する。国内調査と同様に、文献上の議論を確認・相対化する視点を得るためには、現場・現物(一次史料)を実見することが不可欠である。とくに日本国内以上に、海外の現場を確認することの意義は大きいと考えられる。なお現在、新型コロナウイルスによる移動の制限があり、今後の状況も見通せないが、2023年度末(2024年)には状況が改善して制限が緩和され、海外調査が可能になっていることを期待しての計画である。ただし状況次第では国内調査や文献調査への変更もありうるが、今後の(学生を含めた)全学的な国際的研究や交流の推進のためにも、まず教員が国外に出て活動する機会を増やすことは重要であろう。

加えて『国府台経済研究』に寄稿するための準備を始める。具体的には、草稿を研究会の場で報告し合い、専門領域の異なる視点から検討を加えていく。

研究員

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