The University DININGを舞台に学生の感性や行動力、発想力などを育むワークショップや地域に開かれた学食をめざしたイベントなどを企画・実施している組織「DINING SERVICE DESIGN LAB」。
今後もより良い企画や運営ができるよう、岐阜県美濃市へフィールドワークに行ってきました。
美濃市は、美しい町並みと豊かな伝統文化を生かし、持続可能な地域づくりに取り組む先進地域です。この地を訪れて、多彩な地域活性化の取り組みを体感してきました。
本レポートでは、その中でも特に印象的だった事例をご紹介します。
美濃市は、美濃和紙の産地として知られ、歴史的建造物が町並み保存地区として選定されています。
「うだつの上がる町並み」を歩きながら、伝統的な町並みと現代の地域活性化の融合を目の当たりにしました。
NIPPONIA美濃商家町
「訪れた人がその土地を知ってもらえるように」という旅の形を提案する古民家ホテル。歴史的建造物を宿泊施設として再生されています。
昔ながらの趣を残しながら快適さも兼ね備え、館内には壁紙やインテリアなど美濃和紙を活用した内装が施されています。
宿泊客には朝食のみ提供、夕食は町中を歩きながら地元の飲食店で食事をとってもらうことで、地域全体への貢献を感じさせます。
まちごとシェアオフィス「WASITA MINO」
「ゆたかな暮らしの中で働く」という働き方を、自然、伝統、人の繋がりが息づく美濃市で実現するという取り組みです。築150年以上の伝統的な長屋を改修し、1階はコワーキングスペース、2階はサテライトオフィスがあります。
WASITA MINOの会員証でもある「まちごとワークタンブラー」を使えば徒歩10分圏内にある町中のカフェ8店舗でドリンクが1杯無料になり、そのカフェもワークスペースになります。街全体がオフィスになるという仕組みもユニークです。
和紙にまみれるワラビーランド
美濃和紙は1300年の歴史をもち、日本三大和紙といわれています。ワラビーランドは和紙職人が集まっていた美濃市蕨生の山間部に位置し、手すき体験をはじめとしたさまざまなプログラムに参加したり、和紙に囲まれた宿泊施設に泊まれたりと、自然と伝統文化、和紙の魅力を体感できる場所になっています。アート性を大事にした新たな可能性を生む事業として注目されています。
岐阜県立森林文化アカデミー
岐阜県は8割が森林という特長があり、その資源を生かすには森林・木材分野を活用できる人材育成が必要です。その実践的な教育機関の拠点として設立されました。
自然と人との新しい関わり方を探り、持続可能な循環型社会の形成に寄与できる人材を育成することがアカデミーの目標となっており、この地元資源を生かした教育プログラムが印象的でした。
キャンパス内の建造物は、木材をふんだんに使用した温かみのあるデザインが特長で、これらの建物は、学生が実践的な学びを深める場として機能していました。また、校内には森林総合教育センター「morinos(モリノス)」が併設されていて、すべての人と森をつなぐ「森の入口」として、森と暮らす楽しさや森林文化の豊かさを次世代に伝える役割を担っていました。毎月多彩なイベントを開催し、子供たちの教育にも力を入れています。
最後に……
美濃市の取り組みのフィールドワークは、地域資源を生かし地域社会と連携したビジネスモデルや持続可能な社会への取り組みなど学びが多くあり、教育プログラムとしても参考になるものばかりでした。
The University DININGとしても、この視察を生かし、今後もさらに学生の感性や行動力、発想力などを育むようなワークショップの開催、地域に開かれた学食を目指した活動など新たなプログラムを模索していきます。