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会計学の新展開

PJ1のメンバーである中村元彦会計ファイナンス研究科教授の著書『IT会計帳簿論 —IT会計帳簿が変える経営と監査の未来—』(白桃書房、2018年2月出版)が第32回(2018年度)一般社団法人日本内部監査協会「青木賞」を受賞しました。この賞は故・青木茂男博士(早稲田大学 名誉教授)の内部監査研究業績を記念し、1987年に創設されたもので、監査に直接または間接に関連する学者・実務家等の研究業績について、優れた著書・論文としてまとめられたものに授与しています。

本書は、ITによって作成され電子媒体に保存されている会計帳簿、すなわちIT会計帳簿について、その理論を構築することを目的としています。内部統制、監査、経営、教育の4つの観点から検討を行うとともに、IT会計帳簿の有用性を高めるための提言を行い、IT会計帳簿の信頼性を確保すること及び保有する会計情報を活用することを狙いとしています。
IT会計帳簿は入力したデータの利用による分析機能、会計情報作成の早期化など伝統的会計帳簿(紙媒体によって作成され保存されている会計帳簿)では実現できなかった新たな付加価値を獲得しています。反面、IT会計帳簿は、伝統的会計帳簿と異なり、処理がブラックボックス化してしまうという欠点があり、不正・誤謬の対応が必要となります。このため、内部統制の観点を中心にこの対応を検討しています。
また、理論に加えて、IT会計帳簿のツールである会計ソフトの主要な4製品を取り上げ、機能の変遷などを分析するなど、実務の面からの検討を行っています。

今回の受賞は「いたずらに新しい主張に迎合することなく、地道にITによって影響される帳簿組織への影響の分析に取り組んでいる」「監査の基礎概念の分析的検討にも注力されており、内部監査の展開にも貢献するところが大きいと信じられる」といった評価を受けました。
中村教授は受賞を受けて「1987年に創設された伝統ある賞で、大変光栄に感じています。また、多くの先生方にご指導いただいたことが本書として結実したものと感謝しています。」と感想を話しました。

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