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コラム

「リメイク」というと、何を最初に思い浮かべますか?
着られなくなった子供服や古いワイシャツから別の服や小物を作り、再利用。そんなシーンを思い浮かべる方が多いと思います。

「ミシンがないので無理」「難しそうだし、やってみる時間もない」
そんな風に思っている方もいるかもしれません。

しかし例えば、裏紙をまとめてメモ用紙として使うようなことは誰でもあるでしょう。そこにちょっと工夫を加えて表紙をつけたり、切揃えて箱に入れたりするとぐっと見栄えが良くなり、使い勝手もアップ。そんな工夫も「リメイク」のひとつです。

リメイクによって、楽しくお金を節約できるだけでなく、資源を大切にするための3R(リデュース、リユース、リサイクル)の2番目の項目である「リユース」に貢献できます。

今回は、洋服や小物はもちろん、食器、家具、部屋など、あらゆるモノをリメイクして楽しむアイデアをご紹介します。

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メリットがいっぱいのリメイクは「楽しく、自分らしく」が基本

日本伝統の「着物」は、糸をほどき並べると仕立てる前の「反物(たんもの)」と同じ細長い布に戻ります。これは、着物がリメイクすることを想定して考えられた衣装だからです。

昔の人は、着物が傷んできたり、体に合わなくなったりすると、ほどいて新たな着物や羽織に仕立て直し、さらにそれも古びてきたら再びほどいて布団に、その次は座布団に、最後は小さなハギレや雑巾にして使い切りました。日本らしい「もったいない」の精神から、暮らしの中にリメイクが定着していたといえるでしょう。

そこから時代を経て、限りある資源を大切にするという観点から「リメイク」が再び注目されるようになりました。

リメイクのメリットは、次の3つです。

1. お金が節約できる

ずっと使用するわけではない子どもの服やおもちゃをリメイクしたり、流行のファッションをリメイクで取り入れたり。ゴミ箱やブックカバーなどの生活雑貨もリメイクすれば、新しく購入するよりもずっとお得です。

2. 楽しく自分らしさを表現できる

何かひとつ簡単なリメイクを体験してみると、「次は何をリメイクしようか」とワクワクする気持ちが沸いてきます。少し飽きてしまった服やバッグをアレンジしたり、中古の家具を購入して好きな色に塗り替えることで、自分の好みに合う「一点もの」を作ることができます。そうしたモノづくりの楽しさがリメイクにはあります。

3. ゴミを減らして環境保全に貢献できる

楽しみながらお金が節約できる、これだけでも十分にメリットがありますが、リメイクはさらに、資源を有効に活用しゴミを出さない「地球にやさしい」アクションでもあります。
国連が掲げるSDGsの「12 つくる責任 つかう責任」「13 気候変動に具体的な対策を」などに貢献できます。

SDGs目標12つくる責任 つかう責任 SDGs目標13気候変動に具体的な対策を

「すでにリメイクを実践している」という人もいますが、やってみたことがない人は、「これなら楽しそう」と思えるアイデアを試してみましょう。
「楽しく、自分らしく」がリメイクの基本です。

以下でさまざまなリメイク術をご紹介していきます。すべて自分でやってみることができますが、難しいものについては専門家への依頼も合わせてご紹介しています。大切な洋服やバッグなどをリメイクしたいときにプロに託すことも、モノを大切にする「リユース」の選択肢です。

原形をできるだけ生かすのがコツ! 洋服や布小物のリメイク術

まず最も一般的な「服→服」「服→小物」などのリメイクアイデアをご紹介します。

ワイシャツから子ども服をリメイク

大人のワイシャツはしっかりした生地でできているので、身頃の部分を女の子のワンピースなどにリメイクできます。初心者は夏のノースリーブワンピースなどにリメイクしてみましょう。ボタンのある部分をそのまま活用するのがコツです。

「切るだけ」もありの、Tシャツリメイク

袖や襟、裾などが古びてきますが、絵柄がプリントされている部分はきれいなまま。そんなTシャツは、まず袖や襟部分を切ってタンクトップにして、切りっぱなしの風合いを着こなします。次に、まだしっかりしている身頃部分を長方形に切って巾着袋に仕立てれば、子どもの体操服袋などに使用できます。

丈夫な生地のジーンズは工夫次第で使い道いろいろ

ジーンズの上部をそのままバッグやリュックにすると、ポケットも活用できて便利です。股下部分を切った筒状のパーツは小さめのトートバッグや小物入れに。ポケットだけを切り取って小物入れとして使ったり、他の布素材と組み合わせたりとバリエーション豊富。ジーンズ生地は油汚れや水アカ落としに使えるので、切れ端もムダなく使いましょう。

シンプルな服を自分なりにアレンジ

シンプルなニット、セーターなどにワンポイントでビーズやラインストーンをあしらったり、布テープを縫い付けたり。簡単に付け替えができるので、シーズンごとに楽しめます。

「かけつぎ」「かけはぎ」ほど本格的ではないけれど、穴や破れの補修にチャレンジ

洋服を購入すると小さな袋に入った予備のボタンと布がついてきますが、この布は服に穴やカギ裂きができたときの修理に使用するためについています。日本伝統の布補修技術を「かけつぎ」または「かけはぎ」といいます。
「かけつぎ」「かけはぎ」を専門の職人に依頼すると、元の穴がどこにあったか全くわからない仕上がりになるので、大切な洋服におすすめです。

普段着は自分でやってみましょう。同じ布、または似たような色と素材感のハギレをあてて縫い合わせれば目立たなくなります。ハンドメイドらしくあえて違う布を使ったり、いろいろな色の糸を使ったりしてワンポイントにする方法もあります。

自分で、それとも専門家に依頼? 着物リメイクに挑戦

多くの家庭のタンスの奥に眠っている、着物。上手にリメイクすればセンスのいい一点物のジャケットやスカートに生まれ変わります。自分でやってみたい方は、最初は作り方や型紙の市販本を参考にしてみましょう。ただし、着物の生地は縫いにくいので、初心者は作りやすい袋物などから始めてみるのもいいかもしれません。

また、近年増えている着物リメイク専門業者に依頼する方法もあります。大切な着物をリメイクしたいけれど腕に自信がない、そんなときは相談してみましょう。

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欠けた食器がよみがえる伝統技「金継ぎ」が静かなブーム

お気に入りの食器が割れてしまって悲しい思いをした経験、ありませんか?

実は、割れてしまった器をよみがえらせる日本の伝統技術があります。
それが「金継ぎ(きんつぎ)」です。

金継ぎで修復した器は、割れた跡が美しい風合いとなって独特の存在感と趣きを感じさせます。日本らしい美意識が表現されているとして、今、世界からも注目を集める技術です。

金継ぎでは接着剤として天然素材の漆を使います。
手順を簡単に説明すると、陶器の割れた面に漆を塗って接着し、乾いたら再度継ぎ目に添って漆を塗り、その上に金粉を振りかけ完成させます。

初心者向けには「金継ぎキット」が市販されています。最初は小さな割れ欠けの修復から、自分でチャレンジしてみましょう。ホームセンターなどで「金継ぎ教室」が開催されていることもあります。

また、高価な器、大切な器など、自分でするのが難しい場合は金継ぎ職人に修理を依頼してみるのも手です。どんな姿によみがえって戻ってくるかがとても楽しみになります。

もちろん、一般的な接着剤を使って食器を修理することも可能です。ホームセンターなどで素材に合う接着剤を選び、お気に入りの食器をリメイクできます。

これなら簡単、便利! メモ帳や小物入れなど、雑貨のリメイク

牛乳パック、不要な紙の箱などを使うリメイクは、特にお子さんがいる家庭では、親子で楽しめます。しかし子どもの遊びとあなどるなかれ。ちょっと便利でかわいい小物は、大人の暮らしも豊かにしてくれます。

牛乳パックのリメイク

乾かした牛乳パックを底から適当な高さのところで切ればちょうどペン立てくらいのサイズになりますが、これはそのまま「引き出し内の仕切り」「冷蔵庫の野菜やチューブ入れ」などに使えます。複数組み合わせたり紙を貼ったりすればお部屋に置ける小物入れにも。牛乳パックの形状を生かして作る子ども用「スツール」も人気です。

包装紙・紙袋・紙箱のリメイク

きれいな包装紙はブックカバーや封筒に。お洒落な紙箱はそのまま小物入れなどに活用する人も多いでしょう。紙袋はガムテープなどで補強すればゴミ箱になり、何回か使ったらゴミと一緒に捨てることができます。

裏紙のリメイク

冒頭にも書きましたが、裏紙をメモ帳として使用する時は、同じサイズに切り揃えて片方の端にのりを塗ってよく乾かすと、市販の片綴じメモのように使えます。また、同じサイズに切った紙を紙の箱に筆記用具と一緒に入れて使う方法も便利です。

ダンボールのリメイク

通販などで溜まっていくダンボールは収納用品として活躍させることができます。また、ダンボールハウス作りや工作の際に、子どもの手作りおもちゃの素材としても活用できます。

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インテリアや用途に合わせて家具をリメイク

「使い勝手はいいのだけれど、色味がほかの家具と合わない…」
そんな整理棚やチェストがあったら、思い切って色を塗ってみませんか?
今はDIYブームで便利な道具や素材が市販されているので、ペンキを塗るなど、家具のリメイクもさほど難しくはありません。楽しみながら部屋の居心地もよくなります。

家具を塗装してカラーチェンジ

ニスが剥げてきてしまった古いテーブル、捨てようかと思っているならその前に、塗装にチャレンジしてみましょう。木の風合いを生かすニスによる塗装が基本ですが、好みの色に塗り変えるカラー塗装も、リメイクなら気軽にチャレンジできます。

カラーボックスを組み合わせて作る、オリジナルの家具

しっかりした机を置くスペースはないけれど、パソコンを操作したり書類を書いたりするためのスペースが欲しい、というときに試してみたいのが、カラーボックスを2つ置いた上に天板を渡した簡単なデスク。天板はホームセンターなどで好みのサイズでオーダーできます。暮らしに合わせてデスクの形を変えたり、もう一度リメイクしたりするのも簡単です。

大切な家具の再生は専門職人に依頼

日本には桐のたんすを新品のように再生させる伝統技術があります。家に代々受け継がれたような貴重な家具は、専門職人に修復・再生を依頼してみましょう。

他にもある、楽しくてエコなリメイク術

100円ショップの「リメイクシート」が便利

100円ショップで販売されている「リメイクシート」は家具や壁に貼ることができ、手軽なリメイクの強い味方です。段ボール箱に貼れば収納ボックスが完成。洗面所の壁やガス台周りに貼れば、汚れたら張り替えられる便利さもあります。ドアや壁など広い面にリメイクシートを貼れば、気軽に部屋の雰囲気を変えられます。

家庭の廃油を使って石けん作り

揚げ物をしたあとの油、賞味期限が切れてしまった油などを使って石けんを手づくりすることができます。作り方はネットで調べられますが、化学物質を使うので注意点もあります。住まいの近くで「石けんづくり教室」があったら一度体験してみると安心です。

普段用は自分で、貴重な品はプロに頼んで。アクセサリーをリメイク

片方になってしまったイヤリングやピアス、出番が少なくなったネックレスなどをバラバラにして、今身に着けたいデザインのアクセサリーにリメイクしてみませんか。今はアクセサリーの各種パーツや道具を簡単に入手できるので、リメイクのアイディアも広がります。また、本格的なジュエリーリメイクをしたい場合は専門家に依頼してみましょう。思い出のつまったジュエリーを愛用し続けるための工夫です。

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いつかは上達したい…リメイクの進化系・アップサイクルとは?

「アップサイクル」とは、リサイクルから派生した造語で、「古いものや不要とされたモノを、新品より価値のあるモノに再生する」という意味です。

タイヤチューブや消防ホースを使った丈夫なバッグ、お菓子のパッケージを使ったポーチ、廃棄されたガラスを使ったアクセサリーなどがこれに該当します。どれも元の素材を生かしつつ、別の用途で新たな付加価値が生まれていて、リメイクの理想形といえます。廃材やペットボトルを使った作品を発表するアーティストもいます。例えば、伝統的な手芸である「パッチワーク」も、アップサイクルの一例といえるでしょう。

リメイクに挑戦することで、地球に優しく、自分らしい丁寧な暮らしを実践してみてはいかがでしょうか。

この記事に関するSDGs(持続可能な開発目標)

SDGs目標12つくる責任 つかう責任SDGs目標13気候変動に具体的な対策をSDGs目標14海の豊かさを守ろう
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