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インタビュー

市川貴大さん

2020年に開催されるスポーツのビッグイベントの競技として新たに採用されたことでも注目が集まるサーフィン。2018年度、アマチュア界ロングボードメンズオープンクラスのトップを決める大会で優勝に輝いたのは、サーフィン歴5年、学生サーファーの市川貴大(いちかわたかひろ)さんでした。
高校1年生の時に始めたサーフィンで、日本のトップに登りつめた市川さんは、千葉商科大学(サービス創造学部3年)に通う大学生です。サーフィンにかける想いやこれまでの歩みについて話を聞きました。

——サーフィンを始めたきっかけは何ですか?

サーフィン歴25年の父親に誘われたことがきっかけで、高校1年生の冬に初めてちゃんとサーフィンをやりました。
小さい頃から家族で海に出かけると、サーフィンをする父親の姿は何度も目にしていましたが、大きな波を見て何となく恐いイメージもあったし、やってみようという気にはなりませんでした。それに、高1まで野球をやっていたんです。

——野球から突然サーフィンに転向したんですか?

はい。小学校の時からずっと野球をやっていて。ピッチャーとしてそこそこの実績は出していましたが、何となく……先が見えたというか。それで、一旦スポーツから離れてみようと。それまで、野球中心の生活だったので自由な時間が欲しくなったんです。
それで、野球を辞めてふらふらしていた僕を見かねて父親が「サーフィンやってみるか」と。

——初めてやってみたサーフィンはどうでしたか?

これは楽しい! と、すぐに夢中に。その1回で完全にサーフィンにはまりましたね。うまく言葉で表現できないですが、この楽しさは波に乗ってみれば分かってもらえると思います。
それに、「自由」を感じました。もちろん、サーフィンを安全に楽しむための海のルールは存在しますが、基本的にはどの波にどんな風に乗るかは本人の自由。創造性が高いスポーツだと思いました。

——サーフィンの魅力にどっぷりはまったのですね?

サーフィンが大好きになって、高校生の頃は週に2回、父親が練習に行く時には毎回一緒に行っていました。父親がサーファーでしたので、ボードなど必要なものは一通り揃っていましたし、千葉在住で、よく行く九十九里の片貝海岸や一ノ宮まで車で1時間程度と立地的にも好都合でした。
大学生になって免許を取ってからは、自分で運転して多いと週に3回は海に行きます。

高校2年生と3年生の夏休みには、海の家に住み込みでアルバイトをして、毎日朝と夕方、サーフィンの練習をするという、どっぷりサーフィン漬けの日々を過ごしたこともあります。今から考えるととても贅沢な時間でしたね。

——そんなサーフィン漬けの日々が始まってから、アマチュア界のトップになるまでの道のりを教えてください。

写真提供:NSA

写真提供:NSA

海に行って波に乗る回数を重ねる度に、「もっともっと」と技術を高めていきました。父親や父親の知り合いから的確なアドバイスをもらえたこともラッキーだったと思います。高校2年生の頃から少しずつ大会にも出始めました。最初は、練習の延長のような感覚でしたが、次第に「出るからには勝ちたい」「強い相手を倒したい」という気持ちが強くなりました。

2017年から「99base(ナインティナインベース)」というサーフブランドがスポンサーになってくれたことも、やる気に火が付くきっかけとなりました。さらに練習を重ね、大会でも好成績を残せるようになってきました。

去年(2018年)のアマチュア日本一を決める大会(※)で優勝できたのは、プロの友人からのアドバイスが大きかったと思います。ボードやウェットスーツの確認などの支度は早く終えて、その日の波の状態をチェックする時間を1分でも多く確保した方がよいと言われました。じっくりと30分以上波を観察して、自分の波の乗り方について作戦を練ります。一方で、試合に向けて集中力やモチベーションを高めることが大切なので、アドバイス通り、平常心を保ち焦らないように気持ちを落ち着けるようにしました。

大会当日、このアドバイスを実践できたので、良いコンディションで出場することができました。
大会では、約20分の時間内に8本程度、波に乗ります。そのうちの2本が審査対象となります。波に乗る位置やスピード、どの波に乗るかなどが審査のポイントとなります。つまりは、誰でも簡単に乗れるような波に乗っても得点は稼げません。常にチャレンジングでいないと。その日も、そびえ立つビルのように感じる高い波がきて、一瞬、恐怖で怯みましたが、気持ちを落ち着けて向かって行ったところ、波との相性がよく、思い通りに乗ることができました。正にこの波のおかげで、最後の1分で逆転し優勝を掴むことができました。

写真提供:NSA

写真提供:NSA

——優勝してどんな気持ちでしたか?

成績が発表された時、まだ海の中だったので、アナウンスがよく聞こえなかったんですよ。その後、自分が優勝したんだと分かりましたが、すぐには実感が湧かなかったですね。友人が喜んでくれて、表彰台に立って……で、ようやく嬉しい気持ちが湧き上がってきました。父親からも「やったな!」という連絡がきて、普段はほめない父親が喜んでくれたのは、本当に嬉しかったですね。

12th ALL JAPAN SURFING GRAND CHAMPION GAMES 2018
写真提供:NSA
12th ALL JAPAN SURFING GRAND CHAMPION GAMES 2018
写真提供:NSA

——今後の展望、将来の夢を教えてください。

プロサーファーをめざしています。4月にバリで開催される大きな大会があるのですが、この大会でプロトライアルにパスすることが目下の目標です。
今まで海外の大会に出場したことがないので、バリの大会以外にも、海外の大会に積極的に出たいと思っています。

それから、サーフィンの魅力を広めたいという想いもありますね。サーフィンて、サーフィンをすること自体が楽しいのもありますが、海に入って一度挨拶をすると誰とでも友達になれるような文化があるんです。そういうコミュニケーションの輪を少しずつ広げていければと思います。

ゆくゆくは、オーダーメイドでサーフボードを製作するボードシェイパーをしながら、海の側でサーフィン三昧の暮らしをしたいです。

その夢の第一歩として、今年の1月にサーフィン仲間と個人事業主「TISK skimboard(ティスク スキムボード)」として起業しました。サーフボードの一種で、海の上ではなく浜の上を走るマリンスポーツをするための「スキムボード」というボードを製作するビジネスを始めました。「スキムボード」は、まだあまり日本での知名度が高くないないので、誰でも手軽に始められるマリンスポーツとして、国内で流行らせたいですね。資金調達のためにクラウドファンディングにも挑戦中です(2019年3月30日終了)。まだ始めたばかりですが、軌道に乗せられるよう頑張ります!

※「12th ALL JAPAN SURFING GRAND CHAMPION GAMES 2018」一般社団法人日本サーフィン連盟(NSA)主催 NSA主催または公認の各大会のポイント集計数上位者は「ALL JAPAN SURFING GRAND CHAMPION GAMES」に参加することができます。「ALL JAPAN SURFING GRAND CHAMPION GAMES」終了後に追加ポイントが付加され、年間年齢別クラス毎の「クラス別ポイントランキング」、統合クラス毎の「統合ポイントランキング」を決定します。

市川さんの成績(アマチュア部門)

  • 総合ポイントランキング
    ロングボード 全国13位
  • クラス別ポイントランキング
    ロングボードメンズオープン 全国5位
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