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コラム

組織ライフサイクルと管理会計—企業盛衰のセオリー

森浩気著(中央経済社2026刊)

「元気ですかーっ!」

われわれ人間と同じように、組織にも、元気な組織、元気ではない組織というものがあります。組織の形態のひとつである企業でいえば、成長著しく従業員が活気に満ち溢れた元気な企業があれば、業績不振で元気がない企業もあるでしょう。また、明確な不振とまではいかなくとも、業績は横ばい、いわば頭打ち状態で停滞ムードに包まれ、いまいち元気とはいえない、という企業もあるかもしれません。

本書で扱う組織ライフサイクルとは、このような企業の状況を、人間になぞらえた理論です。規模や成長性によって変わる組織の状況を、いくつかの組織ライフサイクルステージとして分類します。つまり、企業(組織)を生命体として捉えると、人間と同じようにさまざまなライフステージが存在するのです。元気なライフステージもあれば、元気ではないライフステージもあります。

本書では、このような企業におけるライフサイクルと管理会計の双方向的な関係性を、紐解いていきます。会計の話というと、企業経営のなかの各論のように思われるかもしれません。しかし、戦略に基づく売上や利益の目標達成に向けて組織をマネジメントする、さまざまな仕組み・仕掛けである管理会計の役割を踏まえると、本書を通じて論じているのは、まさに「企業盛衰のセオリー」なのです。

それぞれの章でいくつかの分析を行っていますが、このうち第6章では、6社(3M、アイリスオーヤマ、SONY、東芝、日産自動車、JAL)のケースから、テンション・マネジメントが企業の盛衰を左右することを示しました。テンションは、マネジメントにおいて「成長性と効率性」「収益性と品質確保」といった「競合する要求」が存在するとき、その同時達成を目指すことで生じます。6社のケースから、このテンションをうまくマネジメントできた企業とそうではない企業で、組織ライフサイクルステージが分かれたこと、そしてなぜそのような差が生まれたのかということを、本書では論じています。

「管理会計は組織に従う」し「組織は管理会計に従う」という、企業経営のダイナミズムと管理会計の重要性を、本書から感じていただけるはずです。

森 浩気(もり・こうき)
千葉商科大学商経学部准教授。1989年神奈川県生まれ。2018年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学。2025年同大学院より博士(商学)学位取得。専門は管理会計学。著書に、『組織ライフサイクルと管理会計—企業盛衰のセオリー』(中央経済社)、『花王の経理パーソンになる』(共著・中央経済社)、『日本的管理会計の変容』(共著・中央経済社)ほか。

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