センター長コラム

ここ3年ほど、ベトナムに出張することが多くなってきている。その理由のひとつは、千葉商科大学の国際交流の一環としてベトナムの大学や企業との付き合いが増えたこと、もうひとつは、ベトナムの活力のおかげで種々の国際会議が開催されるようになったことである。今回のコラムでは、ベトナム国家大学(Vietnam National University)経済学部(University of Economics and Business、以下VNU-UEB)の創立50周年記念式典への出席ならびにVNU-UEBとの研究交流を目的とした会合の印象を述べる。

私がベトナム、ハノイ市を初めて訪問したのは、1990年代に開催された日本の人工知能学会が主催する研究会で、当時、北陸先端科学技術大学院大学で教鞭をとっておられたベトナム人の先生が中心となって企画されたものであった。当時の発表はほとんどが日本の研究者によるものであり、市街も昔ながらのアジアといった雰囲気であった。ところが、2年ほど前、ベトナムの大手であるFPTソフトウェア社を訪れたところ、世界各国で活躍しているベトナム人の人工知能研究者に彼らが所有するFPT大学の学生を派遣し、トップレベルの論文を数多く発表していた。21世紀に入ってからの彼らの活発さに大きな刺激を受けた。それと同時に、アジアの他の国々と同様、経済発展はすさまじく、都心部のにぎやかさと立派さは日本と同様となってきている。

式典の話に移る。まず驚いたのは、式典の規模の大きさである。日本の首相や皇族も訪問したことのあるハノイ市の最大級の施設である国家コンベンションセンター(National Convention Center, NCC)を借り切って、政府の高官や各国の大使が招待され、大きな会場が満席となっていた。また、式典の前日には、VNU-UEBの学生を中心とした大規模な学園祭が開催され、ここでも数千人の観客が楽しんでいた。 その一方、式典は当初2024年11月17日に予定されていたが、実際は18日朝に開催が変更された。政府高官の都合によるものとされたが、このような直前での変更は海外ではしばしば生じる。日本ではあまり見られない変更ではあるが、私自身は、このようなフレキシブルで気軽な対応が非常に気に入っている。我々も見習う必要があるかもしれない。

式典会場の様子
VNU-UEBの関係者とともに