【Alfred Taudes博士のコメント】
It was a great pleasure for me to present the research done at the Research Institute for Cryptoeconomics at WU – Vienna University of Economics and Business. Cryptoeconomics is a new research field created by Satoshi Nakamato, the inventor of Bitcoin. It blends cryptography with game theory and is based on the work of famous Austrian researchers like Kurt Gödel, Oskar Morgenstern and August von Hayek. To illustrate the principles of Cryptoeconomics we present the way how in which liveness, non-revision and consistency is achieved in Bitcoin. Here, cryptography is used as proof of work and proof of ownership. The combination of mining and the incentive to get new bitcoin and transaction fees for the successful miner ensures that the equilibrium strategy of a miner is to honestly mine based on the longest chain. This also holds if more than 50% of the computing power of the network is controlled by a single entity and a double spend attack could be successful. In the second part of the talk, I apply this principle to design blockchain-based federated learning systems. In such systems, the data is stored at the local devices and the nodes of the network exchange parameters to improve their local models. To combat fraudulent behavior nodes must pay tokens as collateral to participate and receive a reward when the other nodes evaluate their parameters favorably. We combine hashing, a slot system and a reward mechanism based on the evaluations stored on-chain to make honest contribution to the distributed AI task the equilibrium strategy.

【日本語訳】
本講演で、我々がWU – ウィーン経済経営大学のクリプトエコノミクス研究所（Research Institute for Cryptoeconomics）で行った研究をお伝えできることを大変嬉しく思います。暗号経済学（Crｙptoeconomics）は、ビットコインの発明者であるサトシ・ナカモトによって創設された新しい研究分野です。この分野は、暗号技術とゲーム理論を融合させたもので、数学者、数理論理学者であるクルト・ゲーデル、ゲーム理論の経済学者オスカー・モルゲンシュテルン、自由主義経済学者のオーガスト・フォン・ハイエクといった著名なオーストリアの研究者の業績にも深い関連があります。 本講演では、第一部として、暗号経済学の原則を説明するために、ビットコインにおけるど動的な動き（Ｌｉｖｅｎｅｓｓ）、改ざん不可能性、一貫性がどのように達成されるかを例示します。ここでは、暗号技術が「プルーフ・オブ・ワーク（PoW）」と「所有権の証明」として使用されます。「プルーフ・オブ・ワーク（PoW）」は、ブロックチェーン技術において使われる分散合意形成の仕組みで、マイニングという手法でブロックチェーンの信頼性が確保されます。「所有権の証明」はビットコイン資産を誰が保持しているかを証明する方法です。そして、マイニングという計算資源を消費する手法と、新しいビットコインや取引手数料を得るインセンティブの組み合わせにより、成功したマイナーが最も長いチェーンに基づいて正直にマイニングすることがナッシュ均衡戦略となります。これは、ネットワーク全体の計算資源の5１%以上が単一のエンティティのもとで制御されている場合や、ダブルスペンド攻撃というアタックが成功する可能性がある場合でも、正直にマイニングすることがナッシュ均衡戦略になるのです。 講演の第二部では、この原則を応用してブロックチェーンを利用した、分散型の連合学習システム（Federated Learning System）を設計する方法について説明します。連合学習とは、独立したノードがデータを共有せずに機械学習モデルを共同で訓練する手法を意味します。。しかし、中央サーバーに依存する従来の手法には、信頼性やセキュリティの問題があります。このようなシステムでは、データはローカルデバイスに保存され、ネットワークのノードがパラメータを交換しつつローカルな学習モデルを改善します。ネットワークに対する不正行為に対抗するために、各ノードは学習に参加するためにトークンを担保として支払わなければならず、他のノードがそのパラメータを好意的に評価した場合に報酬を受け取ります。ハッシュ化、スロットシステム、チェーン上に保存された評価に基づく報酬メカニズムを組み合わせ、分散型AIタスクに対する個々のノードが正直にふるまうことによって、連合学習システムではナッシュ均衡戦略が実現されます。