こんにちは。図書館の中村です。
さて、今回ご紹介するのはSDGsに関する本です。 私は千葉商科大学が電力での自然エネルギー100%大学(※大学所有のメガソーラー発電所などの発電量と大学の総エネルギー使用量を同量にするもので、日本国内の大学で初の試みとして挑戦している)を達成した2018年頃から、もっと知識を広げたいと思い、積極的にSDGs関連の本を読むようになりました。
田舎に帰ると趣味のシーカヤックに乗るので、SDGsの14番目の目標「海の豊かさを守ろう」に関心を持っています。以前、南米のコスタリカで鼻にストローの刺さったウミガメが救助されたニュースに衝撃を受けましたが、海の上でペットボトルなどを目にすると、身近なところでも海洋汚染の深刻さを感じます。
SDGs関連の本はここ数年で一気に増えましたね。本学の図書館にも約50冊の所蔵があります。ただ、「たくさんあってどれを読んだら良いか分からない」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、SDGsについて知りたい方にまず読んでほしい3冊をピックアップしました。
1.『60分でわかる! SDGs超入門』バウンド著/功能聡子・佐藤寛監修(技術評論社2019年刊)
最初にご紹介するのは、『SDGs超入門』というキャッチーなタイトル通り、SDGsの手軽な参考書といった感じの本です。17の目標・169のターゲットの意味や関連用語などを、1つのテーマにつき見開き1ページでコンパクトに解説しています。イラストも豊富なので、SDGsについて「まだ何も知らない」「親しみがない」という人でも手に取りやすい本だと思います。
コンテンツのPart6では、政府が開催している『ジャパンSDGsアワード』に入賞した企業の事例や、それによって生じたビジネス面のメリットが簡潔に記載されています。同業他社の方や、これからSDGsに取り組もうとしている企業の方にはページごとの「まとめ」も参考になるでしょう。
タイトルのとおり『60分でわかる!』かは、個人差のあるところと思いますが、時間に余裕のないビジネスパーソンの方におすすめの1冊です。
2.『Q&A SDGs経営』笹谷秀光著(日本経済新聞出版社2019年刊)
次にご紹介するのは、SDGsの専門家である笹谷秀光さんの新著。これまで産官学の3領域で活躍してこられた方で、飲料メーカーの株式会社伊藤園では、SDGsの導入を指揮されていました。その豊富な経験から、SDGsにはわかりやすい想定問答集が必要なのではないかと感じて執筆されたそうです。
例えば、「SDGsが経営マターになるとはどういう意味か?」「SDGsを経営に実装するとはどういうことか?」という問いがQ&A形式でわかりやすく解説されています。さらに、SDGsを企業経営に導入するメリットや具体的な導入プロセスについても実例を踏まえながら紹介されており、まさに至れり尽くせりの内容です。個人的には、「SDGsの怖さに気づこう」「発信型三方よし」など、読者を惹きつける言葉選びにセンスを感じました。まずは目次を眺めて、ご自身の興味のあるページから読んでみてはいかがでしょうか。
この本は経営の視点で書かれているので、会社の意志決定に携わる方や、中堅の方におすすめしたい本です。もちろん、若手で自分の会社の事業目標の達成に意欲的に取り組んでいる方であれば、これから世界の共通言語になるであろうSDGsをきちんと理解しておくことが、自身のスキルアップにもつながると思いますね。
3.『2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望』落合陽一著(SBクリエイティブ2019年刊)
最後にご紹介するのは、前の2冊とは少し毛色の違う本です。著者は研究者・メディアアーティストとして活躍する落合陽一さん。タイトルにある2030年とは、SDGsがゴールに設定している年。いま世界がどうなっているのか、これからどうなっていくのかを、SDGsやデジタルイデオロギーという概念を使いながら論じています。
特に、地政学とテクノロジーを絡めた話が興味深かったですね。ヨーロッパ、アメリカ、中国、新興国がグローバル経済の覇権争いのなかで勢力を増していくなか、日本はどのように振る舞うべきなのか。独自性を武器に、文化とテクノロジーの両輪で付加価値を上げていくスイスのようなアプローチをしていくのが成功の鍵であると述べています。
日本と世界の現状や今起こりつつある変化を俯瞰的にとらえられるので、ビジネスパーソンはもちろん、学生にも読んでほしい本です。自分にできることや、実際の方法などを考えるためのヒントが詰まっていると思いますよ。
SDGsに興味を持たれた方は、まずは目標の1つ1つが何を意味しているかを調べてみてください。内容は多岐にわたっていますので、必ず自分事として捉えることのできる目標があるはずです。買い物の時にエコバックを持っていく、コーヒーを飲むときにフェアトレードのものを選ぶなど、個人が身近なところから取り組めることは、たくさんあります。
今回ご紹介した本が、SDGsや日本の未来を考えるきっかけとなったら嬉しいです。もし読んで感動したもの、気づきを得たものがあったら、ぜひ他の人にも伝えて、SDGsの輪を広げていってほしいですね。
中村圭佐(なかむら・けいすけ)
千葉商科大学職員。図書館司書。長崎県出身。観世流シテ方の能楽師に入門し、謡や仕舞を稽古したことも。2006年から公共・私立大学図書館の運営業務に従事。趣味は、読書、音楽鑑賞、書、ジョギング、シーカヤック。好きな作家は、遠藤周作、池波正太郎。
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