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コラム

リユースは、ゴミ削減のための3R(スリーアール)~リデュース、リユース、リサイクルの項目の一つ。
リユース(Reuse)とは再利用、モノを捨てずに繰り返し使うことです。

2020年はコロナ禍の下、休校や休業がありました。
ステイホームの期間中、多くの人がしたことが「家の中の片づけ」。
処分について検討する時間があったことで、不要な品を捨てずに買取ショップへ持ち込んだり、フリマアプリで欲しい人に譲ったりする人が増えました。

また、着られなくなってしまったけれど手放したくない、愛着がある洋服を手提げバッグなどにリメイクする人もいるでしょう。

他の人に使ってもらうことも、リメイクして自分で再利用することも、不要なモノをゴミにせずに大切に使う、地球環境にやさしい「リユース」のアクションのひとつです。
今回は、リユースとはどんなものか、注目したいリユースビジネスなどを紹介します。

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コロナ禍の2020年、リユースの新たなブランドが誕生

2020年7月、こんなニュースがありました。

「マザーハウス」が自社商品を回収してリメイクする新シリーズ「RINNE」をスタート

マザーハウス新シリーズRINNE

マザーハウスとは、途上国の可能性をバッグ、ジュエリー、アパレルなどの「モノづくり」を通じて世界中のお客様に届けている企業で、素材調達や雇用を通じて途上国の自立支援に貢献しています。
バック購入者向けに「ケア・修理・回収」を行うアフターサービスに加え、2020年、回収したバックをリメイクして生まれ変わらせるブランド「RINNE」を立ち上げました。

「リメイク」とは、今あるものにもう一度手を加えて作り直すことです。
世界や日本の有名ブランドで、自社製品の修理やメンテナンスを受けるのは一般的ですが、リメイクして再び製品として販売するのは画期的なことです。

マザーハウス回収&リメイク

回収したバックを解体しても、素材は大きさも状態もまちまちで、そこから同社のコンセプトである「長く愛用できるバック」をつくるのは容易なことではありません。しかし、一つ一つ色味や風合いが違うユーズド素材を生かし、「世界に一つしかないバック」を生み出しています。マザーハウスの事例は、企業による「リユースビジネス」の新しいモデルを示しているといえるでしょう。

そして、コロナ禍のさなかに誕生したニュービジネスであるということにも意義深いものがあります。マザーハウス代表の山口絵理子氏は自身のブログで、工場や店舗が閉鎖された期間に

「物をジャンジャン買うよりも、丁寧に使い続けたいと思う方向へ私たちのマインドはシフトしているのではないだろうか。」

と考えたことを記しています。

リユースの種類と拡大するビジネスモデル

マザーハウスのような自社製品をリメイクする先進的なビジネスはまだ少ないですが、一般的な中古品の回収と再販を行う「リユースビジネス」は多数存在します。

以下は、リユースのさまざまな方法を表にしたものです。

マザーハウス回収&リメイク

このように、不用になったけれどまだ使えるモノをどのように処分しようかと考えるとき、選択肢はいろいろあり、お金の取引が発生しない方法と売買する方法とがあります。
処分しようとするモノにとって最適な方法でリユースすることで、資源を有効活用できます。

近年、リユース市場は成長しています。
環境省の2018年「リユース市場規模調査報告書」によると、リユース市場は拡大を続けてきており、2025年には2兆円を超えると見込まれています。

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出典:環境省「リユース市場規模調査報告書」(2018年)

リユース市場が拡大する背景としては、インターネット上のサービスが充実してきたことが大きいと考えられます。
2013年に創業したアプリ「メルカリ」は一躍、リユースマーケットの主要なツールとなりました。他に楽天が提供する「ラクマ」や従来から利用されてきた「ヤフオク」など利用者にとっての選択肢が充実し、サービスの質も向上しています。

リユースとリサイクルの違い、わかりますか?

3Rのうちの2つの項目、「リユース」と「リサイクル」はどう違うのでしょうか。

「リユース」は、再利用すること。今あるモノをそのまま、または、少し形を変える「リメイク」を施して使い続けることをいいます。リメイクしても、リメイク前の姿や形が残っています。
たとえばハギレを集めて作品にする「パッチワーク」では、ひとつひとつのハギレが別の布だったことがわかります。

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一方の「リサイクル」は、資源として再び利用すること。今あるモノを工場などで分解・加工して、新たな製品の原材料とします。だから「リサイクル」の前と後では、モノの姿かたちは全くちがいます。環境に関心の高いアパレルメーカーが販売している「リサイクル・ポリエステル」の服は、化学繊維製品やプラスチック容器を集めて再加工しています。

まだ使える家具や家電を引き取って再販する店が「リサイクルショップ」と称していることがしばしばありますが、これらは正確には「リユースショップ」です。リサイクルという言葉のほうが日本では早く一般化したため、リユースショップを「リサイクルショップ」と呼んでいることも多いようです。習慣とは別に、本来の意味についても理解しておきましょう。

リユースのメリットとデメリット

リユースのメリットとデメリットは何でしょうか。

リユースのメリット

リユースのメリットは大きく分けると、次の3つです。

1.地球環境にプラス効果がある

リユースの大きなメリットは、限りある資源を保全するとともに、CO2排出を削減できることです。
不要になったモノひとつを自分で再利用したり必要とする誰かに届けたりすることで、新たに購入するモノをひとつ減らすことができ、資源の節約になります。
また、不用品がゴミとなってしまうときには焼却などの処分でCO2を排出しますが、これを削減できます。

2.お金を節約できる

個人にとってのメリットは、お金の節約効果です。

  • 自分でリユースすれば、新たにモノを買わずに済む
  • 洋服などの不用品を譲り受けた人は新品を買わずに済む
  • リユースマーケットで販売すれば、収入が得られる
  • リユースマーケットで購入すれば、新品を買うより安く入手できる
3.人とのつながりを深め、リユースならではの価値を生むこともある

有料・無料にかかわらず、大事なモノを誰かに手渡すときには「どうぞ」「ありがとう」の気持ちの交流があります。親から子、孫へと受け継がれるジュエリーや家具などは、持ち主の思いや品物の歴史も一緒に引き継いでいくことで、唯一無二の品となっていきます。アンティークの時計やジーンズなどは、新しい品より高値がついていることもあります。そして100年、200年と受け継がれた品物は、「骨董」としてさらに貴重な品となります。このようにリユースには、人の思いや歴史によって新品にはない付加価値がつくこともあるのです。

リユースのデメリット

リユースのデメリットは以下です。

1.商品の性能やコンディションが劣る

中古のパソコンと最新モデルを思い浮かべればわかるように、中古品と新品とを比べると、新品はキレイなだけでなく、性能面で優れています。また、商品ごとのコンディションのばらつきもあるので、買い手はしっかりと商品をチェックする必要があります。

2.ときにはリユース品がエコでないこともある

冷蔵庫やエアコンの場合、最新のモデルのほうがCO2排出性能に優れ、消費電力も少なくなっています。例えば冷蔵庫の場合、寿命は10~15年(※)といわれています。買取業者などに相談の上で、処分したほうがいい中古家電はリサイクル法に基づいて廃棄しましょう。
※使い方や環境で変動するため所説あります。

3.悪徳業者などのトラブルに注意

エコで家計にもやさしい「リユース」を前面に押し出して売り手を集め、ジュエリーなどを不当に安く引き取ったり、処分費用の名目でお金を請求したりする不法な買取業者や、有料で引き取った不用品を不法投棄する業者もいるので、買取を依頼する場合は注意する必要があります。トラブルに巻き込まれないためには、不用品買取業者を選ぶ際にネットの公式サイトで古物商や一般廃棄物処理業の許可番号を確認し、実績のある会社を選びましょう。自分で選ぶことに不安がある方は、市区町村に不用品引取の方法について相談してみるのも有効です。

リユース容器やリユース部品を導入する企業が増加中

環境への配慮は企業活動にも欠かせません。リユースに取り組む企業の取り組みの一例をご紹介します。

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  • 株式会社ファーストリテイリングコーポレート
    店舗には自社製品を引き取るボックスを設置。回収した服をリユースし、世界の服を必要とする人に届けています。リユースできない服はリサイクル。近年はダウンジャケットのダウンを新たな製品に再生する取り組みも始めています。
  • 花王株式会社
    洗剤、シャンプー、ハンドソープなどが切れた際に、新たにボトル入りを購入するのではなく、容器に詰め替えられるコンパクトな袋型の詰め替え方式の販売を推進しています。
  • イケア・ジャパン株式会社
    家具買取サービスを実施しています。家具の状態に応じた買取金額を「リターンカード」として提供し、回収した家具はメンテナンスしてCircular Hub(サーキュラーハブ)で販売します。
  • キヤノン株式会社
    オフィス向け複合機でリユース率を高めた「Refreshedシリーズ」では環境特化型モデルの部品リユース率は93.8%。その他のモデルでもおよそ80%以上のリユース率となっています。回収した複合機は自社工場で分解し、リユース・リサイクルされます。

自治体もリユースを積極支援

  • 東京都~イベントなどで使用する「リユース容器」を推進
    東京都環境局では「リユース食器」「リユースカップ」の実用化をめざしています。ラグビー日本代表の試合などで実証実験を重ね、2020年の東京オリンピックで導入予定でした。イベントを実施する場合に使用が促進されています。
  • 東京都八王子市~リユースの選択肢を広げる取り組み
    リユースを推進し、市内で利用可能なリユースショップをパンフレットで紹介しています。また、八王子市内の大学と連携し、大学生が卒業時に不要となる家具などをリユースできるよう支援しています。
  • 東京都港区~注目を集める「家具のリサイクル展」
    港区では、リユース可能な家具を引き取って販売する「リサイクル展」を通年で開催しています。「子ども服の交換会」「フードドライブ」なども定期的に開催しています。

このほか、全国各地の自治体でも多くがリユースをテーマとした取り組みである「不用品交換のイベント」「自治体によるリユースショップ」などを展開していますので、ぜひ活用してみましょう。

例えば、千葉商科大学がある千葉県市川市の案内チラシはこちらです。

リユースを含めた3R(リデュース、リユース、リサイクル)でわたしたちができることについては、こちらの記事でご紹介しています。

この記事に関するSDGs(持続可能な開発目標)

SDGs目標12つくる責任 つかう責任SDGs目標13気候変動に具体的な対策をSDGs目標14海の豊かさを守ろう
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