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イベント

1月13日、千葉県鎌ケ谷市で「あなたのまちを100倍魅力的にする!? カードゲームで明るい未来のヒントを見つけよう!」と題するイベントが行われました。

SDGsゲーム

当日は、鎌ケ谷市内で活動する市民団体やまちづくりに興味のある市民が約30名参加。千葉商科大学政策情報学部の朽木量教授と権永詞准教授が講師を務め、SDGsの概要や意義などについての講義を行ったあと、参加者全員でSDGsゲームにチャレンジしました。

「SDGs de 地方創生」ゲームとは?

SDGsゲーム

「SDGs de 地方創生」は、特定非営利活動法人イシュープラスデザインと株式会社プロジェクトデザインが開発したカードゲームです。

参加者全員でひとつの「まち」を豊かにしていくシミュレーションゲームで、今回は、2つのグループに分かれてゲームが行われました。このゲームの公認ファシリテーターである、千葉商科大学の教員2名がゲームの進行を務めました。

まず1つのグループの中で、参加者は行政職員と市民に分かれます。市民には農業や漁業などの一次産業従事者やまち工場の経営者、一市民などさまざまな役が与えられており、「ゲーム終了までに〇万円集める」「SDGsに関わるのプロジェクトを5つ以上達成する」など、一人ひとりの個人ゴールも設けられています。

また、市民には予算が与えられていませんが、人資源が与えられています。プロジェクトを実行するためには人資源と予算が必要なので、参加者が互いに自分の持ち札を交換し、行政職員に予算申請しながらプロジェクトを実行してより良いまちづくりをめざします。

一方、行政職員には人資源は与えられませんが、予算が配られます。市民役から申請があれば予算を渡し、または自分から市民にプロジェクトの実施を提案して、予算を渡すこともします。同時に、行政職員にも個人のゴールが設定されています。

SDGsゲーム

まちの状態は「人口」「経済」「環境」「暮らし」の4つの指標で表されます。例えば、人口メーターは、何らかの人口を増やすための対策をしないと、徐々に減少します。

経済、環境、暮らしも同様に、まちをよくするためのプロジェクトを実施して、メーターをできるだけ増やしていかなければなりません。まちが豊かになるのか、衰退していくのかは、参加者一人ひとりの行動によって変わっていきます。

プロジェクトには、「保育・教育の無償化」「大型ショッピングセンターの建設」など、全部で142あります。ただし、これらを実行した時にどのような効果が生じるのか、参加者には明かされていません。

SDGsゲーム

まちによい影響をもたらすのか、逆にネガティブな影響を与えるのかは、実行するまでわからないのです。時々の状況を鑑みてプレーする必要があります。

おおまかに流れをまとめると、
1.人資源や情報、お金を交換し合い、プロジェクトを実行する
2.プロジェクトの実行を重ね、個人のゴールを達成しつつ、参加者全員で指標メーターを上げていき、まちをよくする

となります。

このゲームの目的は大きく2つあり、1つはSDGsについての知識の啓発。もう1つは、企業やグループなどで実施することで、対話をして分断を避け、コミュニケーションを図ることです。

このゲームの意義について、権准教授は次のように話します。

SDGsゲーム

「SDGs自体がそうであるように、1つの問題はほかの多くの問題とも繋がっていて、何か1つを解決すればその問題がすぐに解消できるというものではありません。複合的に絡み合っている数々の課題について、どう解決していくのか。それを考えるのは、企業でも同じです。ぜひ、会社内や自治体の研修などでこのゲームを行ってみてください。同じ部署内で行っても、個々の色が出て場が多様になり、面白いですよ」

ゲームは、12分間のターンが4回、計48分間で行われます。朽木教授の合図で、ゲームがスタートしました。

「まち」を良くするための行動をシミュレーション

1ターン目は、まだ皆さんルールがあやふやで戸惑っており、プロジェクトを実施しようにもお金が足りない、人資源が足りないなど、不備があって事務局から戻されてしまう人が多くいました。また、行政職員たちも、自分たちの席に座ったままです。

SDGsゲーム
SDGsゲーム

しかし、どちらのチームも2ターン目から活発な動きを見せました。「もったいないレストラン」の設置で環境メーターが+1、インターンシップ制度導入で人口メーターが+1など、プロジェクト達成でまちの4つの指標メーターがどんどん動きます。

SDGsゲーム
SDGsゲーム

ただし、世界遺産登録で経済は+1だけれども暮らしは-1になるなど、まちにいい影響だけでなく、悪影響を及ぼすプロジェクトがあることもわかってきました。

後半の3、4ターン目にもなると、資金が多く必要だったプロジェクトもこなせるようになってきます。両チーム共に、自席に座っている人はおらず、1つの輪のようになって、全員で課題解決に取り組んでいます。

特に、行政職員からの働きかけも大切で、「経済のメーターが下がっているから、このプロジェクトを達成できるように協力して」など、具体的な提案や意見が飛び交っていました。

ここで、ゲーム終了。両チームとも、スタート時よりすべての指標メーターを大きく上げただけでなく、32人中27人が個人ゴールを達成するという、2人の講師も絶賛する素晴らしい結果となりました。

SDGsゲーム

ゲームを通して感じるSDGsの本質

実際に参加した方々に、感想を聞いてみました。

行政職員役を務めた女性は、「普段から行っている市民活動との共通点が多くあり、みんなで課題解決に向けて行動することで、知識と経験がつながっていくのを感じました。何事にもプラス面とマイナス面があるなと常々思っていたので、それがこのゲームではリアルに表現されていました。全員で協力することが本当に大切で、とても楽しかったです」と話してくれました。

小学生の息子と参加したお母さんは、一般市民役を務めました。 「個人ゴールは、1億5,000万円稼ぐこと。最初は、出資ばかりで手元に500万円しか残らない場面もありましたが、その間、人口や暮らしのメーターをたくさん上げることができ、終わったときには4億円持っていたんです。地域に貢献し、協力者を募ること、そして皆さん全員が自分の集金にも協力してくれたことで、目標を達成できただけでなく、全員でそれを喜べました。子どもも一緒に達成の喜びを分かち合えたので、親子向けのイベントがあれば、また参加したいと思います」

同じく、一般市民のIT事業者役を務めた男性は、「いろいろな年代の方と交流できてよかったです。最初はルールがわからず戸惑っていましたが、徐々に理解できてくると、やるべき行動が明確になり、他人のゴール達成のために動くことで自分も達成できるという連鎖ができてきました。最終的には、対話が生まれたことで、うまくいったのかなと思います」 と、やはり対話の大切さを実感したようです。

総括として、朽木教授は改めて、SDGsの課題すべてがつながり合っていること、お互いの課題を理解して話し合うことの重要性を強調しました。

SDGsゲーム

「今日は、鎌ケ谷市で市民活動をされている方やまちづくりに興味をもっている方が、それぞれの活動内容等を知って交流するイベントでした。自分の活動のアピールや興味のある分野も大事ですが、お互いを知って協働を模索することで、対話が生まれてより楽しいイベントづくりができると思います。今日のゲームのように、みんなで協力してゴールすること。今後もそれを意識してもらうことで、単なる一度のゲームで終わらずに、応用することができるのではないでしょうか」

今回は、鎌ケ谷市民の皆さんで行ったゲームでしたが、企業において、社員同士や新入社員研修などで導入すると、交流や対話が生まれて効果的だそうです。最小6人から行うことができるので、皆さんの会社にもファシリテーター(※)を呼んで、一度実施してみてはいかがでしょうか。

※「SDGs de 地方創生」ゲームは、ファシリテーター養成講座を受講し、公認ファシリテーターになることで、本ゲームを用いたワークショップを主催・開催することができる。

この記事に関するSDGs(持続可能な開発目標)

SDGs目標1貧困をなくそうSDGs目標2飢餓をゼロにSDGs目標3すべての人に健康と福祉をSDGs目標4質の高い教育をみんなにSDGs目標5ジェンダー平等を実現しようSDGs目標6安全な水とトイレを世界中にSDGs目標7エネルギーをみんなに そしてクリーンにSDGs目標8働きがいも 経済成長もSDGs目標9産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs目標10人や国の不平等をなくそうSDGs目標11住み続けられるまちづくりをSDGs目標12つくる責任 つかう責任SDGs目標13気候変動に具体的な対策をSDGs目標14海の豊かさを守ろうSDGs目標15陸の豊かさも守ろうSDGs目標16平和と公正をすべての人にSDGs目標17パートナーシップで目標を達成しよう
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