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コラム

SDGsの目標のひとつに、以下があります。

SDGs目標12

12 つくる責任 つかう責任

この目標には11項目の具体的なターゲットが設定されています。その3番目はこちらです。

12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。

世界の貧困地域で飢餓が発生している一方で、先進国では食べられる食品が大量に廃棄されているという現状を解消する必要があります。
今回は、世界と日本の食品ロス事情とその対策について解説します。

食品ロスとは? 日本と世界の食品ロスの現状について

食品ロスとは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。 特に先進国では多くの食品ロスが発生しています。原材料の生産にも調理にもエネルギーを使って食べられる状態になったにもかかわらず捨てられてしまう食材は、廃棄にも費用がかかるので、二重三重に資源の無駄遣いが生じてしまいます。

日本の食品ロスの現状はどうなっているのでしょうか。
2016年のデータに基づく農林水産省の試算によると、食品ロスは643万t
このうち、家庭からの廃棄物が291万t、食品メーカー・小売店・飲食店などが出す事業系廃棄物が352万tという内訳です。食品ロスの半分に近い45%が家庭ごみであることがわかります。

食品廃棄物等の発生量(2018)

参考:「食品廃棄物等の発生量(平成28年度推計)」農林水産省

しかし643万tという数字だけでは食品ロスがどれほど多いのか実感しにくいので、1人当たりに換算してみます。日本人1人当たりに換算すると、年間約50kg。毎日茶碗一杯のご飯くらいの量の食べ物を捨てている計算になります。ちなみに、2016年の年間1人当たりの米消費量は54.4kg。日本で消費される米の総量に迫るほどの量の食品ロスが生じているのです。

また、購入した食品に占める「食品廃棄率」も気になるところです。農林水産省の調査によると、各世帯の食品ロス率は3.7%(2014年)。他に、外食の食品ロス率(2015年)も以下のように算出されています。

食堂・レストラン…3.6%
宴会の食べ残し…14.2%
結婚披露宴…12.2%

上記より、家庭以上に外食での食品ロス率が高いことがわかります。

食品ロスをなくそう

他に、食品・飲料メーカー 、農水産物生産者、食品卸業者でも食品ロスが発生します。

消費者庁の資料によると、日本の食料自給率はカロリーベースで38%。6割の食料を輸入していながら、多量の食品ロスを発生させているのは持続可能とはいえません。
また、日本では7人に1人という子どもの貧困が問題となっていますが、このような子どもたちのためにも廃棄されている食料を有効に活用すべきと考えられます。

世界の食品ロスの現状はFAO(国際連合食糧農業機関)が報告しています。「世界の食料ロスと食料廃棄(2011)」によると、「人の消費のために生産された食料のざっと3分の1が世界中で失われ、捨てられており、その量は1年当たり約13億トン」です。

報告書では地域ごとの食品ロスの比較も示されています。グラフから、このすべての地域で食料生産から小売までの段階で一定の食品ロスが発生していることと、サハラ以南アフリカと南・東南アジアでは消費段階での食料ロスは他地域より少ないことがわかります。

「開発途上地域では、農業生産過程で生じるロスがフードサプライチェーン全体のロス総量の大半を占める。収穫後と流通段階でのロスもまた甚だしく」との説明もあります。開発途上地域では保存・貯蔵する設備が足りずに食料が劣化してしまうことも食品ロスの一因です。

食品ロスをなくそう

参考:「各地域における消費および消費前の段階での1人当たり食料のロスと廃棄量」社団法人国際農林業協働協会

穀物価格の上昇は世界の食料事情に大きな影響を与えます。大豆、米などの穀物において、価格が上昇すると、同じ穀物を輸入に頼っている途上国は購入することが難しくなります。結果として最も貧しい人には食物が届かなくなってしまいます。日本を含む輸入量の多い国の食品ロス削減は、世界の食料事情改善のためにも必要であると考えられています。

SDGs目標2

SDGsには【2 飢餓をゼロに】という目標があり、現在も8億人以上が飢餓に苦しんでいると報告されています。この目標達成のためにも、食品ロス削減は急務です。

食品ロスはなぜ生じているのか~日本の実情

食品ロスはなぜ生じてしまうのでしょうか。日本の実情を少し詳しくみていきます。

食品ロスをなくそう

1.生産地における規格外品の廃棄

野菜や果物は見た目がきれいで整ったものだけが出荷されます。しかし多少の傷があったり変形した農産品は食べられるにもかかわらず廃棄されます。一部の規格外品は加工食品となりますが、やはり一定量は廃棄されてしまいます。

2.需給ギャップによる廃棄

生産量に対して需要が少ない場合、保存のきかない食品は廃棄されます。
農畜産物の場合、生産調整が自由にできません。たとえば生乳は需要を上回る生産量があっても廃棄されます。(参考:牛乳・乳製品をめぐる状況」農林水産省)
生産過剰を原因とする食品ロスは小売の現場でも、クリスマスケーキや節分の恵方巻のような季節商品などで発生しています。

3.消費期限、賞味期限切れ

消費期限・賞味期限切れによる廃棄はサプライチェーン、小売の現場および家庭内で発生します。

4.3分の1ルールによる廃棄

日本の小売店や百貨店には「3分の1ルール」という商慣習がありました。これは、
(1)製造日から賞味期限までの日数の3分の1以内の日程で納品する
(2)製造日から賞味期限までの日数の3分の2を過ぎたら返品する
というものです。もともとは消費者のために常に新しい物を店頭に置こうという企業姿勢から始まった慣習と思われますが、食品ロスを減らす、なくすという観点では改善が必要です。ごく最近になって多くの流通業者がこのルールを改正しています。
(参考:「食品ロス削減に向けた納品期限緩和の取組の進捗と今後の展開について」農林水産省)

5.食べ残しの常態化

食べ残しは家庭内と飲食店で発生します。
下記の図は消費者庁の啓発用ポスターです。
食べられる食品を捨てた理由の1位が「食べ残し」で57%を占めています。

食品ロスをなくそう

参考:「消費者としてできることをやってみる:啓発用ポスター」消費者庁

家庭では食べ残しをしない人でも、外食ではどうでしょうか。宴会料理などでは多くの食べ残しが発生します。今までの習慣を見直して、食べ切るよう改めていくべきでしょう。近年問題となっている「飲食店のドタキャン」も食品ロスの原因となります。

食品ロス削減への取り組み

2019年5月に食品ロス削減推進法が制定され、同年10月より施行されました。その前文において、「世界には食料不足に直面する人が存在する中で、多くの食料を輸入している国として食品ロス削減に真摯に取り組む」と宣言されています。
このような国の動きと前後して、企業の食品ロス対策や食品を有効活用するソーシャルビジネス(社会問題を解決するビジネス)が始まっています。

食品ロスをなくそう
ファミリーマートの「完全予約制」など、コンビニ各社は食品ロス対策を発表

ファミリーマートは2019年夏の土用丑の日の鰻の完全予約制の実績に続き、12月にはクリスマスケーキの完全予約制を実施。ローソンやセブン-イレブンも予約販売に力を入れています。同じく2019年、ファミリーマートではデイリー食品の販売時間の2時間延長、セブン-イレブンやローソンは期限が近い商品のポイント付与をスタートさせました。

イオン、食品メーカーと連携して「10×20×30食品廃棄物削減イニシアティブ」の日本プロジェクトを始動

「10×20×30」とは、世界の大手小売業10社が、20社のサプライヤーとともに、2030年までに食品廃棄物半減に取り組む」というプロジェクト。連携する20社は株式会社伊藤園、キューピー株式会社、敷島製パン株式会社、株式会社ニチレイフーズ他。

ケンタッキー・フライド・チキン「子ども食堂」等への食材提供支援を開始

日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社は、NPO法人フードバンク横浜を通じて調理済み食材を寄贈する取り組みを2019年11月より開始しました。日本KFCはSDGs達成を目指す一環として今後取り組みを推進しています。

日本初のフードバンク「セカンドハーベストジャパン」

農家、食品メーカー、小売店、個人などからまだ食べられるのに廃棄される食品を引き取り、食料を必要とする人に届けるのが「フードバンク」です。セカンドハーベストジャパンは2002年に設立された日本のフードバンクの草分け的存在で、啓蒙活動にも取り組んでいます。子ども食堂「KidsCafe」も経営 しています。

自治体などにも広がる「フードドライブ」

フードドライブとは、家に余っている食べ物を持ち寄って集め、必要な人に寄付すること。近年は多くの自治体でフードドライブが実施され、フードドライブボックスのような形で常設化されたところがあります。他に企業やスーパー、寺社などでもフードドライブが行われています。個人でも参加できる活動として広がりを見せています。

KURADASHI

社会貢献型ネット通販サイト。クラダシが通常廃棄されていた食品等を買い取り、割安価格で販売。売上金の一部が社会活動団体へ寄付されます。商品ごとに支援先団体の情報が閲覧できるので、自分がどんな団体や活動を支援したいのかという視点から購入商品を選ぶことが可能です。

TABETE

飲食店の廃棄されそうになる食材を「食べ手」につなぐ「フードシェアリング」サービス。飲食店や惣菜店でどうしても発生してしまう食品ロスを削減し、SDGsの目標【12 つくる責任 使う責任】の達成に貢献する事業です。類似のサービスにReduceGoがあります。

クックパッド 消費者庁のキッチン

消費者庁がクックパッドにページを開設し、食品を無駄なく使いきるための「エコレシピ」「使いきりレシピ」を紹介しています。

食品ロス削減のために、私たちができること

食品ロスの約半分は家庭から。 日々の食生活を見直して食品ロスを削減することで、SDGs達成に貢献できます。一人ひとりができる食品ロス対策は「食べ物を捨てない」以外にもいくつかの方法があるので、できることを見つけて実践してみましょう。

1.食材を使い切り、食べ切る

途中まで使った野菜、作り置きした惣菜、使いかけの調味料などが冷蔵庫内で劣化してやむなく捨ててしまうことがないよう、使い切り、食べ切りを実践しましょう。野菜は茹でたりカットしたりして冷凍、残り物は別の料理にリメイクして早めに食べ切るなど、コツはいろいろありますが、自分や家族に合った方法を見つけることが有効です。

2.無駄なく必要な分だけ食べ物を買う

「買いすぎない」ことが大切です。「美味しそうだから」「次にいつ買い物に来るか分からないから」などの理由で食材を多めに購入して余ってしまうことがあります。消費できる量をシミュレーションしてから買い物しましょう。

食品ロスをなくそう

3.適切に保存する

できるだけ食品を長持ちさせるよう、食品の表示をよく見て正しく保存しましょう。

4.期限表示について理解し、適切に食べ切る

「賞味期限」はおいしく食べられる期限であり、この期日を過ぎた食品がすぐに食べられなくなるわけではありません。一方「消費期限」は安全に食べられる期限なので、期日をすぎたら食べないのが原則です。食品を購入したら早めに期日の表示を確認して、期限内に食べ切るようにしましょう。(参考:「消費期限と賞味期限」農林水産省)

5.期限の近いものから購入する

賞味期限・消費期限までの日数が最も長い、つまり最も新しく製造されたものを多くの消費者が購入すると、結果的に古い商品が売れ残り、食品ロスとなってしまうことが指摘されています。少なくともすぐに食べ切る可能性が高い食品については期限が近いものを購入するようにすると、食品ロス削減に貢献できます。

6.わけあり食品を購入する

前述で紹介した取り組みやサービスを利用するなどして、形や見た目の劣る野菜、パッケージに傷がある加工食品、賞味期限が近い食品などを積極的に購入すると、食品ロス削減に貢献できます。

7.3010運動を推進する

3010運動は、宴会時の食べ残しを減らすためのキャンペーンで、乾杯後30分間は席を立たずに料理を楽しみ、お開き10分前になったら、自分の席に戻って、再度料理を楽しむことを呼びかけて、食品ロスを削減する運動です。職場や知人との宴会などで気軽に始められます。

食品ロスをなくそう

8.飲食店で食べきれないときは「持ち帰り」を相談してみる

外食するとき、食べ切れる量を注文することがまず大切ですが、提供された料理が予想より多くて食べ切れなかったときには店に持ち帰りを相談してみましょう。食べ残しを持ち帰り用にパックしたものを「ドギーバッグ」と呼んでいます。かつては品質を保証できないという理由で持ち帰り不可というケースが多かったのですが、持ち帰った食品の管理は消費者の責任ということを確認の上、持ち帰れる店が増えています。

9.余分な食品は寄付をする

贈答品文化がある日本では頂き物の食品が食べ切れないこともあります。食べ切れない食品は賞味期限が切れないうちに知人とシェアしたり、フードバンク、フードドライブなどを活用したりして寄付をしましょう。

10.食品ロス削減に取り組む企業や団体を応援する

食品ロス削減に積極的な食品メーカー、スーパー、小売店から購入することも食品ロスを考える行動になります。買い物をする際にどこで何を選ぶかが消費者としてのメッセージとなります。

参考

  • 農林水産省「食品ロス統計調査」 https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/syokuhin_loss/
  • 消費者庁「食品ロス削減関係参考資料(平成30年6月21日版)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/pdf/efforts_180628_0001.pdf

この記事に関するSDGs(持続可能な開発目標)

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