研究プロジェクト成果報告

研究代表者 中村 元彦(会計ファイナンス研究科 教授)
共同研究者 出口 弘(商経学部 教授)
      寺野 隆雄(副学長/基盤教育機構 教授)
      赤木 茅(基盤教育機構 専任講師)
      小池 聖一・パウロ(会計ファイナンス研究科 教授)

1.研究成果の概要
いわゆる第3次AIブームは情報機器の機能向上やネットワーク・クラウド環境の充実も追い風になり、個人や小規模企業でも利用可能なソフトウエアが普及しており、人間の知能をAIが凌駕するシンギュラリティについても意識され始めている。会計の分野でも将来AIに代替される職業として会計・税務業務にスポットが当たり、さらに、直接的な業務にとどまらず、学生における大学の学部選考や就職においても影響を与えていると考えられている。
会計・税務業務に関して、会計記録に着目し、会計記録の作成に重要な役割を持つ会計情報システムにおけるAIの影響について検討を行う。特に、市販の会計パッケージ(クラウド会計)へのAI機能搭載に関して、販売する各社の宣伝や説明資料を見ると、AIの活用により紙の領収書や銀行データ等から自動仕訳などの効率化が実現できることなど、利用者からすると惹きつけられる事項が記載されている。しかし、実際には完全自動の会計処理は現実的ではなく、人間による判断が必要になると考えている。
そこで、AI機能を有している複数の市販パッケージにおける検討を実際に稼働させることによって検証を行い、どのような利便性を保有し、どのような活用が可能であるか、どのような問題が生じるかなどメリットデメリットを明らかにした。さらに、誤処理のリスクを回避するために理解が必要とされる前提条件を明らかにするのとともに、安全にメリットを享受するために不可逆的なAI環境の中でどのようなスキルの学習が必要かを考察した。具体的な内容は下記の通りである。
・AI機能を宣伝している市販財務会計ソフトウエア製品の情報を収集し、その共通点や課題等について検討。
・数種のソフトウエアを選定し、実機テストの実施。
・処理結果に差異が生じる取引パターンについての考察。
・上記のような結果を踏まえ、AI環境下で会計業務をリードする人材に必要なスキルとその教育についての検討。

2.著書・論文・学会発表等
【学会発表等】
中小企業会計学会第12回全国大会(2024年11月16・17日、沖縄大学)を予定しており、発表者候補として調整中である(発表者:中村元彦、小池聖一・パウロによる共同発表)