研究プロジェクト成果報告

研究代表者 趙 軍(商経学部 教授)
共同研究者 朽木 量(政策情報学部 教授)
      朱 全安(特定教授)
      枡岡 大輔(基盤教育機構 准教授)
      内田 茂男(理事長)
      原科 幸彦(学長)

1.研究成果の概要
・未翻刻資料「家学の書」の活字翻刻・資料化について、今年度の最も重要な研究成果としては、『千葉商科大学総合研究センター 遠藤隆吉研究所資料調査報告第1号 家学の書』の刊行である。内田茂男理事長・原科幸彦学長・寺野孝雄総合研究センターセンター長・趙軍研究所長からそれぞれ序言をいただき、遠藤隆吉先生が自筆で書いた「家学の書」を写真付きで翻刻し、また、書き下し文と現代語訳をつけて刊行した。また参考として『巣園集』に収録された「為学之法」の原文・翻刻・書き下し文および現代語訳等をつけて、公刊した。これまで遠藤隆吉研究において、最も学究的な資料整理と資料公開の一環になるのではないかと思われる作業である。本研究報告書の最後には、朽木量研究員が執筆した「解題・論考 『家学の書』と遠藤隆吉の儒学思想の系譜」も掲載し、『家学の書』の由来・内容から江戸時代から明治前期まで前橋における儒学教育の特徴と遠藤隆吉氏の学問的淵源および『家学の書』に現れた遠藤隆吉の心理的表蔵を表したものとして分析を加えたものである。
・読み下しのない『学問概論』の読み下し・現代語訳等の資料化について現在読み下しと現代語訳の作業を継続中である。
・前橋所在の孝経碑ならびに遠藤先生の足跡を調査することについて、2024年3月3日から4日にかけて実施した。参加者は趙軍所長、内田茂男理事長、原科幸彦学長、朽木量、朱全安合計5名、見学と視察先は、前橋総合教育プラザ敷地内の「孝経碑」、森巌寺中西弘造先生墓碑、遠藤隆吉先生旧宅跡見学、前橋公園(旧厩橋城)(旧砲台跡〔遠藤千次郎氏旧跡〕、前橋東照宮〔松平直基公ゆかりの御手杵の槍複、龍海院〔旧前橋中学校・旧酒井雅楽頭家墓所〕、旧桃井小学校などである。帰り道の最後に一行は池袋要町祥雲寺にある遠藤隆吉先生墓所に墓参した。
・遠藤先生著書並びに関連書籍の蒐集について、『巣園自伝』の著書リストに基づき、本学付属図書館、校史室の所蔵図書の目録と照らして、収蔵済みとこれから収蔵すべき図書をリストアップしている。
・遠藤隆吉研究所を立ち上げと活動の開始について、プロジェクト代表者は2023年9月30日、千葉商科大学総合研究センターキックオフシンポジウム「社会科学を総合した未来のデザインに向けて」にて、「遠藤イズム」の醍醐味を発見する旅に出掛けよう!!」をテーマとした基調講演を行い、また、総合研究センターセンター長と各所長参加の座談会に出席し、千葉商科大学総合研究センターの設立について、初代遠藤隆吉研究所所長として、研究所の設立の意義、当面の任務及び将来の展望などを論じ、総合研究センターの運営についても提案をした(千葉商科大学総合研究センター『CUC View&Vision』第56号掲載)。千葉商科大学総合研究センターのホームページにも本研究所の紹介などが公開されている。
・研究成果の公表と学術交流について、研究開始初年度だが、研究代表者と共同研究者一同は、積極的に研究成果の公表と国内外での学術交流を行ってきた(下記リスト参照)。また可能であれば、年度末まで引き続きこの分野の活動を展開したい。

2.著書・論文・学会発表等
【著書・論文(査読なし)】
「遠藤イズム」の醍醐味を発見する旅に出掛けよう!!、趙軍、単著、千葉商科大学総合研究センター『CUC VIEW & VISION』No.56、pp.14-18、2023年9月
座談会、趙軍、共著、千葉商科大学総合研究センター『CUC VIEW & VISION』No.56、pp.27-33、2023年9月
『千葉商科大学総合研究センター 遠藤隆吉研究所資料調査報告第1号 家学の書』(ISSN 2759-2723)、編集:千葉商科大学遠藤隆吉研究所(担当:朽木量)、翻刻・現代語訳等:堀和孝・朽木量、千葉商科大学2024年3月発行