研究プロジェクト

 本研究プロジェクト期間は2年間であり、この期間で社会環境戦略の実現に向ける企業システムの一端を明らかにすることをねらいとしている。社会環境戦略は3年以上の中期計画であるが、本研究ではこうした計画の実現に向ける年次の企業システム(環境マネジメント・コントロール・システム)の実態をふまえて、分析を行っている。

1.Management Control Association(MCA)での学会発表

 Management Control Association(MCA)はマネジメント・コントロール研究を牽引する欧州を代表する学会の1つである。今年度はアイルランドのメイヌース大学で年次大会が開催され、そこで学会報告を行った。事例企業のオムロン株式会社は、時間軸での因果関係(経営理念、長期経営計画、中期経営計画、短期経営計画)を重視したシステム設計と活用を展開している。これらの仕組みと方法を具体的に明らかにすることを通じて、他企業の実践にも実務的な示唆を与えるねらいもあった。

2.その他の活動

 2年間を通しての大きなテーマである、サステナビリティ・マネジメントにおけるモチベーションの特性に関する基礎研究や、企業インタビューを新規に行った。安藤(2023b)で述べた通り、サステナビリティ・マネジメントの特徴は、(1)外部環境軸、(2)時間軸、(3)組織構造軸における拡張と強化にある。こうした特徴が顕著な実践を分析することを通して、今後も理論を構築・展開していく予定である。