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コラム

地球温暖化は現在も進行しており、地球の平均気温は少しずつ上昇を続けています。さらに気温が上がると夏の猛暑は一層厳しくなり、外に出ることも危険になるかもしれません。

地球温暖化を抑えるためには、私たち一人ひとりが二酸化炭素の排出量を減らす行動をとる必要があります。今すぐに実行できる地球温暖化対策について、考えてみましょう。

地球温暖化の何が問題になっているのか

私たちが最も身近に「地球温暖化」を感じるのは、最近の猛暑ではないでしょうか。2022年6月は、群馬県伊勢崎市で40℃超えと同月の国内最高を観測。6月27日から7月3日の1週間では、熱中症による救急搬送者数や死者数も史上最多(2010年以降同時期比)となるなど、記録的な猛暑に見舞われました。

以下は、気象庁が発表している日本の平均気温の変化です。

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出典:気象庁「日本の季節平均気温」(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/win_jpn.html)

気象庁によると、日本の平均気温は1898年以降では100年当たり約1.2℃の割合で上昇し、特に1990年代以降で高温となる頻度が増えています。また、熱帯夜や猛暑日は増え、大雨の日数も増える一方で、冬日は少なくなっているといいます。

昔より暑くなり、大雨も増えている日本。この原因は、地球温暖化にあると考えられています。世界各地では、日本より深刻な大洪水、熱波、干ばつなども起きています。また、海水面の上昇による海抜の低い土地の水没や、環境の変化による動植物の絶滅も危惧されています。

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地球温暖化と気候変動のメカニズム、地球温暖化の影響などについては、以下の記事でくわしく解説しています。

今後、気温上昇はさらに進むと予測されています。

2019年に環境省が制作した動画「2100年未来の天気予報」では、今後具体的な地球温暖化対策をとらない場合に、世界の平均気温が最大4.8℃上昇するという想定で、日本の天気予報の動画が制作されました。天気予報では、北海道を含めて日本各地の気温は40℃を超え、冬に雪は降らず、北海道が一番の米どころとなる未来が描かれています。

地球温暖化の主な原因は、大気中の二酸化炭素

地球温暖化の主な原因は人の活動によって排出される温室効果ガスで、その大部分が二酸化炭素(CO2)です。大気中のCO2の濃度が高くなることにより、大気圏内に以前より多くの熱が吸収され、地球温暖化が進んでいます。下の図にあるように、産業革命の始まった頃は約280ppmだったCO2の濃度は、2013年に400ppmを超えました。そして、2021年には415.7ppmに達しています。

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出典:温室効果ガスと地球温暖化メカニズム/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

CO2は主に石油や石炭などの化石燃料の燃焼により放出されます。電気やガスを使い、車や飛行機で移動し、使い捨てのプラスチック製品を利用する現代の便利な生活は、多くの化石燃料を必要としています。CO2の排出を減らすため、私たちはこうしたライフスタイルを変える必要に迫られています。

日本の二酸化炭素の部門別排出量はどれくらい?

工場、オフィス、家庭などさまざまな場所からCO2が排出されています。以下は、2021年度日本の部門別CO2排出量(直接排出量および間接排出量)の割合です。

「直接排出量」は、発電に伴うCO2排出をエネルギー転換部門の排出としてカウントしたものです。エネルギー転換部門とは、石炭や石油などの一次エネルギーを電力などの二次エネルギーに転換するところを指し、発電所などが含まれます。発電などによるCO2排出量が全体の4割を占めていることが分かります。

一方「間接排出量」とは、発電に伴うCO2排出を、電力を最終的に使用した部門での排出によるものとして計算した値です。例えば、家庭でエアコンや冷蔵庫を使用するとき、その電力を発電するために排出されたCO2は家庭部門にカウントされています。

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出典:4-04 日本の部門別二酸化炭素排出量(2021年度)/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

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出典:4-04 日本の部門別二酸化炭素排出量(2021年度)/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

このデータから、家庭部門から間接排出される二酸化炭素は15.9%ということが分かります。しかし、「業務その他部門」には店舗やオフィスが含まれ、「産業部門」の工場では消費者が使う製品を生産しています。そう考えると、グラフの大部分が私たちの普段の暮らしを支える活動によって排出される二酸化炭素という見方もできます。

次に、家庭部門のエネルギー消費量の推移を見てみます。

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出典:【第212-2-7】家庭部門におけるエネルギー源別消費の推移/経済産業省資源エネルギー庁(https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2023/html/2-1-2.html)

1965年度ごろまでは、石炭が3分の1以上を占めていましたが、1973年頃にはわずか6%程度になりました。その後、電気のシェアは大幅に増加し、2021年度には50.3%になりました。

先進国が排出する二酸化炭素

世界のCO2排出の状況はどうなっているでしょうか。以下は、国ごとのCO2の総排出量と一人当たり排出量です。

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出典:3-01 世界の二酸化炭素排出量(2020年)/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

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出典:3-02 世界の二酸化炭素排出量に占める主要国の排出割合と各国の一人当たりの排出量の比較(2020年)/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

国別では世界のCO2排出量の約3割が中国、次いでアメリカ、インド、ロシア、日本となっています。これを一人当たりで換算すると、アメリカが最も多く、ロシアと韓国が同率、次いで日本です。一方、インドやアフリカ諸国の一人当たりCO2排出量は極めて少ないことが分かります。

こうした統計は、生産ベースで計測されていることにも留意する必要があります。例えば中国には多くの製造工場があり、そこではCO2が排出されます。しかし最終商品の多くは欧米などに輸出されており、本来は最終消費国にカウントされるべきCO2であるという考え方もあります。

多くのエネルギーを消費してCO2を排出している国や人と、CO2の増加による気候変動で被害を受ける国や人が全く違うということも大きな問題です。例えば2022年の夏に大洪水で国土の1/3が水没するという、甚大な被害を受けたパキスタンのCO2排出量は、累積で0.3%に過ぎないといわれています。また、世界の洪水や干ばつで真っ先に生活が脅かされるのはアジアやアフリカの低所得者や子どもなどの弱い人々です。

日本は、世界の中で多くのCO2を排出している国として、当事者意識を持ってCO2削減に取り組む責任があるといえるでしょう。

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地球温暖化に備える「緩和と適応」。その具体策は?

ここからは、私たちができることについて考えていきます。

地球温暖化による気候変動に対する具体的な対処方法として、「緩和と適応」が重視されています。

「緩和」とは、地球温暖化の原因となるCO2の排出量を減らしていくことです。例えば、森林を増やす、節電をする、再生可能エネルギーを活用する、エコカーを普及させるなどの対策があります。

「適応」とは、今そこにある危機や起こりうる影響から身を守るため、自然や社会のあり方を調整することです。

国や自治体、産業界なども対策を進めていますが、私たち一人ひとりができる対策もあります。日常でできる対策の例として以下が挙げられます。

熱中症対策

天気予報に注意し、熱中症警戒アラートが出ているときは無理な外出、屋外での運動を控えましょう。外出時は帽子や日傘を使用し、こまめな水分補給を心がけます。日頃の健康管理も欠かせません。

適切な冷房の使用

猛暑日に、節電を意識するあまり冷房を使わずに生活して健康被害が生じる人が増えています。熱中症への注意が呼びかけられるようなときは、適切に冷房を使いましょう。

大雨への備え

今まで洪水被害に遭ったことのない地域が被災する例が増えています。最新のハザードマップで自宅の危険性を知り、避難経路を把握すること、家族で避難方法を決めておくことが重要です。また、常に注意報や警報に注意して、避難の判断を早めに行います。近隣の人との声の掛け合い、いざというときの助け合いも大切です。

デング熱などに備える対策

日本の気候が亜熱帯へと近づき、蚊が媒介する「デング熱」など、暑い地域の感染症への対策が必要となっています。蚊などの虫よけ対策を今まで以上に万全にする必要があります。

今日からできる、15の地球温暖化対策

地球温暖化の原因であるCO2の排出を可能な限り減らすために、私たちができることはたくさんあります。

1) 節電、節ガス

日常的な節電・節ガスのためのアクションとして、例えば以下があります。

  • 使用していない部屋の照明や家電のスイッチをこまめに切る
  • 家電の待機電源を切る
  • エアコンやヒーターは温度調節・タイマーで適度に使う
  • 冷蔵庫やエアコンの出力を控えめにする
  • エアコンのフィルター清掃をする
  • 家族の入浴はできるだけ時間を空けない
  • 給湯温度を上げ過ぎない
  • 暑さ寒さに対して可能なら衣類で調節する

ただし、先に述べた「適応」のための冷房使用は節電より優先されます。適度な冷暖房を使用しつつ節電対策をしましょう。

節電に関しては、以下の記事も参考にしてください。

2) 節水

水道水の供給でもCO2が排出されています。節水対策の例として以下があります。

  • 歯磨き時の水の使用量を抑える
  • 節水タイプの蛇口やシャワーヘッドを使う
  • 食器の油汚れをふき取り、食器洗いの時間を短縮する
  • 浴槽の残り湯を洗濯に使用する
  • 洗濯物はまとめて洗う
  • 洗車にはバケツを使う

3) 省エネ家電の選択

LED照明は一般電球と比べて約86%の省エネ効果があります。冷蔵庫、エアコン、テレビなどもこの10年で省エネ性能が4割程度アップしています。古い家電は適切にリサイクルしましょう。

4) CO2排出が少ないエネルギーの選択

戸建住宅であればソーラーパネルを設置することが有効です。集合住宅に住んでいる人が手軽に使えるポータブルなソーラーパネルなどもあります。自宅で契約可能なガス会社・電力会社を比較検討して、CO2排出量を抑えられる会社を選ぶこともできます。

5) 環境負荷が少ない移動手段を使う

日々の移動ではできるだけ徒歩または自転車利用を最優先とし、その次に電車やバスなどの公共交通機関を選択します。遠隔地へ行く場合は、列車とレンタカーを併用する方法も有効です。また、ガソリン車から電気自動車に代えることでも環境負荷が大幅に減らせます。

電気自動車に関しては、以下の記事も参考にしてください。

6) フードロスを出さない

主に先進国で生じるフードロスがCO2発生の大きな要因となっています。フードロス対策の例として以下があります。

  • 家でも外食でも食べ残しをしない
  • 食材を買い過ぎない
  • 野菜の皮やヘタもできるだけ使う
  • 冷凍や冷蔵保存をして食材を食べ切る
  • 食べ切れない食材はフードバンクなどに寄付する

フードロスに関しては、以下の記事も参考にしてください。
もったいないだけじゃない、「フードロス」は世界の大問題。世界の取り組みや「食品ロス削減推進法」などを紹介。

7) 肉食の割合を減らす

野菜や穀物と比べて肉食は生産過程で排出されるCO2が多い食べ物です。日常の食事では栄養バランスを取りながらも野菜や穀物多め、肉は少なめにするとCO2が削減できます。環境負荷が特に高いのは牛肉といわれ、牛はメタンを排出するので、この点からも牛肉は少し控えめがよさそうです。魚介と肉とでは魚のほうがCO2排出を抑えられます。

8) 地産地消・カーボンフットプリントを意識する

地産地消は地元の食材を食べることのほか、地域の再生可能エネルギーを利用することや地元でレジャーを楽しむことも含まれます。カーボンフットプリントとは、ある商品が生産されて運ばれ、消費者の手にわたり、廃棄されるまでに排出されるCO2の総量で、商品の容器や包装が排出するCO2も含まれます。カーボンフットプリントは輸入品では多く、地元の品では少なくなります。

9) プラスチックや過剰包装を避ける

プラスチックは生産工程でCO2を排出するだけでなく、分解されずに海に到達して環境汚染のもとになっています。プラスチック製の商品やプラスチックで包装された商品を購入しないようにすることが有効です。

海洋汚染とプラスチックの関係については、以下の記事も参考にしてください。

10) 3Rやリペア、リメイクを実践してごみを減らす

3Rとはリデュース、リユース、リサイクルのこと。不要になったものは再利用やリサイクル、修理、リメイクなどで活用して、できるだけごみを出さないことが大切です。

3Rに関しては、以下の記事も参考にしてください。

11) リモートワークを増やす

オフィスに通勤して仕事をするよりもリモートワーク、出張や取引先訪問もできるだけオンライン会議やメールのやりとりにすることでCO2排出量を減らせます。

12) 住まいの省エネ対策をする

創エネ・蓄エネ・省エネ、つまり「発電する」「蓄電する」「効率よく使う」という3つの機能を持つ住宅が推奨されています。省エネ住宅を購入、自宅を省エネにリフォームするなどにより、CO2の排出量を減らすことが可能です。

13) 植物や野菜を育てる

植物はCO2を吸収します。自宅に木を植えたり、花や野菜を育てたりすることが有効です。

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14) CO2排出量が少ないレジャーを楽しむ

徒歩や自転車、公共交通機関で近隣へ出かけて楽しむのは、CO2排出量が少ないレジャーといえます。住んでいる地域の周辺で楽しみを見つけてみましょう。

15) CO2削減に取り組む企業や団体、政党を支援する

カーボンニュートラルに取り組む企業の株式を買う、賛同できるNPOに寄付をする、応援したい政治家や政党に投票するというように、他の主体を応援することにも意義があります。

なお、千葉商科大学は地球温暖化対策などの環境保全に貢献するため、日本初の「自然エネルギー100%大学」を目指しています。

この「自然エネルギー100%大学」は、大学所有のメガソーラー発電所などの発電量と大学のエネルギー使用量を同量にするものです。日本国内の大学で初の試みとして挑戦しています。以下の記事もぜひご覧ください。

まとめ

地球温暖化は今この瞬間も進行しています。例えば日本の平均気温は100年で1.2℃上昇しました。何も対策をしなければ、今後気温上昇はさらに進み、北海道でも40℃を超える暑さになるかもしれません。

これ以上の温暖化を避けるためには、CO2の排出量を減らす必要があります。日本のCO2排出量のうち家庭部門から排出されているのは15.9%で、これを減らせるかどうかは私たち一人ひとりの行動にかかっています。
今日からできる、CO2の排出を減らすための行動を一つずつ積み重ねていきましょう。

この記事に関するSDGs(持続可能な開発目標)

SDGs目標11住み続けられるまちづくりをSDGs目標12つくる責任 つかう責任SDGs目標13気候変動に具体的な対策をSDGs目標14海の豊かさを守ろうSDGs目標15陸の豊かさも守ろう
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