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Q&A

ミニマリストとは

——ものをなるべく持たずに暮らしている人がいるの?

リビングには椅子と机だけ、寝室にはベッドと寝具だけ…。家の中のあらゆるものの種類と量を減らして、すっきりとした空間で暮らす人がいます。そういう人は「ミニマリスト」と呼ばれていて、言葉の由来は英語の「minimal(ミニマル)=最小限の」からきています。

小学生が大学の先生に質問

彼らの暮らしがイメージできますか?鉛筆を例にとって考えてみましょう。家に置いてある鉛筆は1本。それを最後まで使い切ってから、また次の1本を買う。そんな姿を想像してみるとわかりやすいでしょう。

ものを持たない理由

——おもちゃ、本、洋服…私にはほしいものがたくさんあります。ミニマリストはどうしてものを持ちたくないのですか?

最近は洋服でも、流行を取り入れながら、安くたくさん作ったファストファッションが人気ですね。気軽に流行りのものが手に入れば、流行りが変わったときにまたほしくなります。

持っている服が多くなると、それに合わせる新しい服もほしくなるでしょう。そうして買い続けるうちに、お得さや流行りを追いかけたり、買うか迷ったりすることに疲れてしまう人がいます。

私がたくさんの人に話を聞いた調査では、「買うことに疲れる」という理由でミニマリストになった人が多いということがわかりました。だからこそ彼らは、値段が少々高くても「本当に必要なもの」「丈夫で長持ちするもの」「心から気に入るもの」を選び抜いて買い、大切に使い続けるのです。

小学生が大学の先生に質問

ミニマリストには、生活そのものを楽しんでいる人も多いようです。必要なものだけを選んでいれば、自然と自分は何を大切にしているのかが見えてくるものです。家族とゆっくりおしゃべりしたり、自然の中で体を動かしたり。そういった買いもの以外の「生活」に幸せを感じるようになるのでしょう。

世界から注目される日本の「質素・倹約」

——ミニマリストって世界中にいるの?

アメリカやヨーロッパなど、世界中にいます。彼らの中には、日本の風習や考えをお手本にしている人がいるんですよ。

日本では平安時代から、「むだを省く」「贅沢をしない」という「倹約」の考えを大切にしてきました。江戸時代になるといろいろな将軍が「倹約令」を出して、庶民に質素・倹約を求めました。そしていつの間にか慎ましい暮らしは「美しい」と考えられるようになり、今、海外でも共感する人が増えています。

反対に、最近ではミニマリストをやめる動きもあります。新型コロナウイルスの感染拡大によって、一時的に食べ物や日用品が手に入りづらくなり、ものがないことに心細さを感じるようになったからです。これまで通りなるべくものは減らすけれど、緊急時に備えてある程度の蓄えは必要、という考えに変わった人もいます。

ミニマリストに決まったかたちはありません。それぞれが、自分にとって何が本当に必要なのかしっかりと考えたうえで、ものに頼りすぎない豊かな暮らしを送っているのです。

大平修司(おおひら・しゅうじ)
商経学部教授。専門はマーケティング、消費者行動論。著書に『消費者と社会的課題』(千倉書房)、『ソーシャル・イノベーションの創出と普及』(NTT出版)など。普段から積極的に有機野菜や寄附つき商品、コートやジーンズは本当に気に入ったもの、長く使えるものを選ぶようにしている。

この記事に関するSDGs(持続可能な開発目標)

SDGs目標4質の高い教育をみんなにSDGs目標12つくる責任 つかう責任
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