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コラム

フェアトレード商品といえば「フェアトレードコーヒー」「フェアトレードチョコレート」がよく知られています。

また、紅茶やスパイス、調味料、「フェアトレードコットン」を使ったナチュラルな服やジュートやラフィアなどの天然素材を使ったバッグといったファッショングッズなど、日常に取り入れたいものがたくさんあります。

さらに、一定の栽培方法の基準をクリアした原料を使った製品をオーガニック商品と呼び、フェアトレード商品と密接な関係にあります。

今回は、さまざまなフェアトレード商品とその選び方、フェアトレードコーヒーやフードが体験できる飲食店についてご紹介していきます。

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フェアトレード、オーガニック商品の上手な選び方

フェアトレード認証を受けている商品は、例えばコットンの場合以下のマークがついています。

フェアトレード認証マーク

オーガニックコットンの認証マークはこちらです。

オーガニックコットン認証マーク

フェアトレードとオーガニック、両方のマークがついている衣料品もあります。

しかし一方で、フェアトレードやオーガニックをうたいながら、マークがついていない商品もあります。このような商品は品質の点で信頼できないものなのでしょうか。

まずオーガニックのほうですが、日本で売られるオーガニックの食品には認証マークが表示されています。これは、世界統一基準があり、それに基づく法律があるためです。

一方「フェアトレード」のほうは、すべてのフェアトレード取引をする商品にフェアトレード認証マークがついている、という状況ではありません。
FI(Fairtrade International)によるフェアトレード認証基準は非常に厳しく項目も多岐にわたるため、仮にフェアトレードの考え方でものづくりをしていても、基準のすべてにあてはまらない場合があります。

このため、「コミュニティトレード」などの呼び名で独自のフェアトレードプログラムを作って運用している企業があります。

自分が気になった商品にフェアトレード認証マークがなかったら、企業のWebサイトでどんな考え方で原料調達・製造をしているか確かめてみましょう。「これなら納得できる」と思える製品だったら、それを購入することが生産地の支援につながります。

フェアトレードやオーガニックは認証基準をクリアしなければ表示できませんが、フェアトレードやオーガニックを含む環境や人、社会にやさしい商品すべてを総称する言葉として「エシカル」があります。製品そのものだけでなく、「パッケージを最小限にしてゴミを減らす」「売り上げの一部を寄付する」などの付加価値がついた商品・サービスも「エシカル」に含まれます。

「エシカル」という言葉は幅広く使われているので、最近は一般にも「エシカル消費」という表現が浸透してきました。
本サイトでもご紹介しています。

上記の記事ではエシカルな商品であることを示す各種のマークも紹介しているので、これらも参考にしてみてください。

また、国産の品、特に自分の住んでいる地域の生産者のものを購入することも環境や社会にやさしいアクションです。 以下のページの「SDGs達成のためのアクションを実践する」の項目などを参考にしてみてください。

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フェアトレードとオーガニック

ここでは、コットンを例に、フェアトレードとオーガニック商品の関連についてご紹介します。
世界の綿花の生産現場には、2つの大きな問題があります。

  1. 労働者の賃金が安く、子どもが労働していることがある
  2. 農薬を大量に使用するため、環境や人への悪影響がある

世界で綿花の生産量が多い国は、1位中国、2位インド、3位アメリカ。

フェアトレードジャパンのサイト内に、以下のような説明があります。

「天然素材の代名詞のようなコットンですが、世界中の農耕面積の約3%足らずの栽培農地面積にもかかわらず、世界で使用される殺虫剤の約16%、農薬全体の約10%がコットン農場で使われているという報告があります(PESTICIDE ACTION NETWORK, 2007)。」

通常の綿花栽培では強い農薬や多量の化学肥料が使われています。
綿花畑では、害虫や雑草を農薬で駆除しながら栽培し、枯葉剤で葉を枯らしてから機械で一気に綿花を収穫するといった方法などがとられてきました。
農薬を使用する綿花栽培を続けていると、生態系に農薬に対する耐性ができたり、土壌がやせたり、人々の健康に悪影響を与えることにつながります。

そして、子どもたちがこのような綿花畑で働いていることも深刻な問題です。
インドの綿花畑がある農村地域では、伝統的に女性の社会的地位が低く、女の子には十分な教育の機会が与えられないという背景もあります。
子どもが学校に行けずに働くことだけでも問題ですが、それに加えて、強い農薬による健康被害も心配されています。

さらに、綿花がコットン製品になるまでには、さまざまな工程が必要です。
収穫した綿花は、製糸→綿織物→染色や加工→縫製というプロセスで多くの国を経て、私たちの手元にとどきます。織物工場や縫製工場にも、低賃金労働という問題があります。

このような綿花栽培やコットン製造の過程で働く人たちに正当な対価を支払い、国境をまたぐビジネス全体を改善するのがフェアトレードです。
国際フェアトレード基準では、綿花栽培における農薬や肥料を制限し、栽培・紡績・染色・縫製など各工程の生産者への正当な賃金を支払うことをチェックします。
こうして生まれた製品は「フェアトレードコットン」と呼ばれます。

また、オーガニックコットンは、2または3年以上農薬と化学肥料を使用しないで自然の土地に戻したうえで、農薬と化学肥料を使わないで育てます。環境に配慮したオーガニックコットンを選ぶことも、フェアトレードにつながります。
フェアトレードプレミアム(作物の代金と別に生産者に支払われる支援金)によりオーガニック栽培へ転換を図ることも奨励されています。

「フェアトレード」は労働者に正当な賃金を支払うこと
「オーガニック」は化学物質なしに自然のままで作物を育てること

それぞれ目的は違いますが、目的を達成するために進んだ結果は同じところにたどり着く、フェアトレードとオーガニックはそんな関係性です。そして、オーガニックもフェアトレードも「持続可能な社会と環境」というゴールを共有しています。

FI(Fairtrade International)の年次レポートによると、コットン生産量におけるフェアトレードの割合は65%。下の図で、青色が従来型の製造、紫色がフェアトレードです。

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出典 Fairtrade International 年次報告 (https://files.fairtrade.net/publications/2018-19_FI_AnnualReport.pdf)

私たちが洋服や小物、タオルなどのコットン製品を買うとき、「フェアトレード」あるいは「オーガニック」の言葉を手がかりに選ぶと、上記のシェアはもっと増え、生産・製造の現場を支援することができます。

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お洒落でグッドプライスで、種類も増えたフェアトレードのファッション

フェアトレードでつくられたファッションというと、「シンプルすぎたり、逆に色や柄が派手すぎたりする服」というイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかしフェアトレード&オーガニックコットンのマーケットの広がりにつれて、普段着から外出着まで、選択肢が増えています。

フェアトレードやオーガニックの洋服や小物はどれもこだわりのアイテムばかりですが、実際にネットショップなどを訪れてみると、価格は一般的なブランドとさほど変わりません。
実際の店舗でもネットでも、さまざまなショップを見て回れば「フェアトレードだから」という意識を抜きにして「このデザイン、この価格なら買いたい」と思えるものが見つかるでしょう。

おすすめのフェアトレード&オーガニックのブランドをいくつかご紹介します。
※FIによるフェアトレード認証を受けていない商品・ブランドもあります。

ピープルツリー

フェアトレードファッションの世界的パイオニアであり、食品や雑貨も揃うフェアトレード専門ブランド。事業すべてがフェアトレードの場合のみ加盟可能な「世界フェアトレード連盟」メンバーであり、コットンはGOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)、食品は有機JAS等のオーガニック認証を取得しています。

シサム工房

1999年に京都で小さなフェアトレードショップを立ち上げ、関西を中心に店舗を拡大してきたシサム工房。 フィリピン、インド、バングラデシュなど世界各地のパートナーと提携し、フェアトレードファッションを製造販売しています。シンプルなものから遊び心のあるデザインのものまで選べて、ユニセックスやメンズのアイテムも豊富なのが特徴。2017年には東京の吉祥寺に出店しています。 ※GOTS認証・OCS認証のオーガニック製品も取り扱いしています。

スクー

株式会社フェアトレードコットン・イニシアティブが運営するフェアトレード&オーガニックコットンのTシャツやポロシャツ、バッグ、タオルなどを販売するオンラインストアです。オリジナルデザインを入れオーダーすることも可能です。

verda(ベルダ)

フェアトレードの精神に基づきネパールで商品開発・輸入しているネパリ・パザーロのオンラインストア「ベルダ」では、ネパールで製造された衣料品を販売。自然素材の風合いを活かした竹100%の「竹布」製品のシルクのような質感は試す価値ありです。

マザーハウス

「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念を掲げ、2006年にバングラデシュからスタートしたマザーハウス。公式サイトやショップでは「生産地を支援」などの文言は控えめで、多くの人に商品のそのものの価値さを認めて買ってほしいという姿勢が表れています。

スルシィ

「かぎ針1本でフィリピンの女性たちの未来を切り拓く!」、とフィリピン・セブに工房を持ち、天然のラフィア椰子の繊維を使ったバッグを販売。手編みならではの、ひとつひとつ違った風合いが魅力です。

人と環境にやさしいファッションをもっと探してみたい方は、エシカルファッションの最新事情と上手な選び方も参考にしてください。

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試してみたい! 肌にも環境にもやさしい「フェアトレードコスメ」

スキンケアで健やかな肌をキープするために、多くの人が悩むコスメ選び。
あれこれ試すうちにたどり着く答えのひとつが、化学物質を使わない、「オーガニック」「無添加」などのコスメです。気になる情報を集めていて「フェアトレード」というキーワードに出会うこともあるでしょう。

コスメの配合に使われるオイル成分については、多くのブランドコスメで植物由来のフェアトレードのオイルやカカオバターなどが採用されています。
※Fairtrade Internationalによるフェアトレード認証を受けていない商品・ブランドもあります。

LUSH(ラッシュ)

100%ベジタリアン対応のナチュラルコスメブランド「ラッシュ」は、核となる倫理的指針「エシカル憲章」があります。その中の指針のひとつ「サプライヤーとの公平な取引」をあげています。商品の原材料は全てリジェネラティブ(再生可能)な方法で調達したもので、商品を使うことによってコミュニティが改善されていくなど、地球をよりみずみずしく豊かにすることにつながると信じています。
ラッシュのエシカル憲章(https://weare.lush.com/jp/lush-life/our-ethics/the-lush-ethical-charter/)

アテニア

アテニアではスキンケア成分のアルガンオイルに、砂漠地方の貧困の改善や現地女性の社会的地位の向上、自立を目的として設立された「タルガニン生産共同組合」の高品質アルガンオイル(フェアトレード認証オーガニック)を使用しています。これによりアルガンツリーの保護にも寄与しています。

Craftlink(クラフトリンク)

バングラデシュとネパールで、身近にある素材や暮らしに息づく伝統文化を大切にした物づくりを通じ、フェアトレードによる生産者の生活向上に取り組む国際協力NGOシャプラニールの活動。つくるひと、つかうひと、お互いを思いやれる関係をクラフト(手しごと)を通じリンクしていくことを目標に販売活動をしています。

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「紅茶」「スパイス」など、他にもある買いやすいフェアトレード商品

フェアトレード認証製品のカテゴリは以下の通りです。

  • コーヒー
  • 紅茶
  • カカオ
  • スパイス・ハーブ
  • 果物 
  • 加工果物
  • ワイン
  • オイルシード・油脂果物
  • 食品その他
  • 切花
  • コットン製品
  • 食品以外その他

今までご紹介した以外の各種フェアトレード商品についてもいくつか挙げていきます。

クリッパー(紅茶・カカオ)

イギリスのフェアトレード紅茶のブランドで、公式サイトによるとイギリス最大のフェアトレードティーの取引会社です。オーガニックのハーブティーやチョコレートドリンクなども販売しています。
※商品の中にはFairtrade Internationalによるフェアトレード認証を受けていないものもあります。

わかちあいプロジェクト(紅茶・カカオ・雑貨・スポーツボール他)

国際フェアトレード認定製品の販売や難民支援活動を行っている国際協力NGOのわかちあいプロジェクトでは、スリランカ、インドをはじめ世界各地のフェアトレード認証紅茶やコーヒー、スパイス、雑貨のほか、「ASPIRO」というオリジナルブランドでサッカーボールやバスケットボール等のフェアトレードボールの販売もしています。

第3世界ショップ(紅茶)

第3世界ショップでは紅茶の本場インドの指定農園のオーガニック(有機栽培)紅茶を使った製品を取り扱っています。農園ではフェアトレードプログラムを実施し、ワーカーと家族の教育や福利厚生などの充実を図っています。オンラインショップでは、福祉施設とのコラボアートを使った限定デザインパッケージのものなど、ギフトに最適な紅茶も購入できます。

エスビー食品(スパイス)

化学的に合成された肥料や農薬の使用を避けることを基本として栽培されたスパイスの中から厳選し、品質と安全・安心・環境にとことんこだわったS&B有機スパイスシリーズは「有機JAS認定」されたスパイスだけでフルラインナップ。シリーズ65品のうち24品がフェアトレード認証製品です。(2022年7月現在)

タナカバナナ(バナナ)

三重県伊賀市で明治初期に創業したタナカバナナは、フェアトレードの商品を積極的に販売することで発展途上国の働く人々を支援したいという考えから、エクアドルなどで栽培されたフェアトレードバナナを流通させています。バナナは身近な商品なので、大手スーパーなどでもフェアトレードの商品が手に入りやすくなりました。

AFRIKA ROSE(アフリカローズ)

ケニア産のバラを専門に扱う生花ブランド。社名のAFRI「K」AのKはKenyaのK。最高品質のバラをアフリカから世界に届ける。それが、アフリカから貧困をなくすことにもつながっていくとの思いで、ケニアで育てたバラをフェアトレードで輸入し、日本で販売しています。広尾本店、六本木店のほか、ギフト用商材が豊富なオンラインショップも展開しています。

フェアトレードフードを提供するカフェ&レストラン

最後に、フェアトレードコーヒーをはじめ、各種のフェアトレードフードを提供している飲食店をご紹介します。カフェ、レストランで楽しく、気軽にフェアトレードフードを体験することができます。遠い生産地に思いを馳せながらゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。

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小川珈琲(京都府)

昭和27年(1952)から珈琲づくりをはじめ、コーヒー豆を全国に販売している京都の小川珈琲は、2003年に国際フェアトレード認証ラベル商品の製造ライセンスを取得し、2004年に「小川珈琲フェアトレードモカ」を販売しました。SDGsの目標達成にも積極的に取り組んでいます。店舗展開の他、オンラインショップでも製品を販売しています。

福猫屋(長野県)

長野県にある築150年の古民家をリノベーションした「オーガニックカフェ福猫屋」で自家焙煎フェアトレード・オーガニックコーヒー、動物性不使用のVegan焼き菓子やベーグルの製造、フェアトレード・オーガニック食品等を販売。ネット販売もしています。

アシリアペ フェアトレード&ブックカフェ(茨城県)

アイヌ語で「新しい火」という意味のアシリアペは、オーガニックの食材を扱っているフェアトレード&ブックカフェです。
常陸太田市の田園地帯のなかのくつろぎ空間で、フェアトレード食材を使ったフード、コーヒーの提供や、天然酵母のパン、こだわりの調味料などを販売しています。

The University DINING(千葉県)

千葉商科大学直営の学生食堂です。2019年からフェアトレードコーヒーを採用。また、定期的にSDGsイベントなどを行っています。どなたでも利用できます。千葉商科大学 学生食堂「The University DINING」

「フェアトレード」はまだ日本で十分に浸透しているとはいえません。
だから、自分の住んでいる地域にはフェアトレードのコーヒーが飲めるカフェがないということもあるでしょう。そんな方はオンラインショップを活用してください。

日本でも少しずつフェアトレード商品が広がりつつあります。
まずは何か1つ、気になるフェアトレード商品に触れてみましょう。

この記事に関するSDGs(持続可能な開発目標)

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