海外ビジネス見学ツアー(シンガポール)

人間社会学部 小野天也

今回の海外ビジネス見学ツアーを通して、私はこれから決める進路やこれからの学生生活を変化させるためのヒントを手に入れることができました。

私は19年間生きてきた中で海外渡航の経験がなく、今回のシンガポールが初となる海外渡航になりました。これまでの私は、日本から出たことがないはずなのに、日本より安全な国はないはずだという固定観念を持っていました。しかし、実際シンガポールで過ごしてみると、治安もよく、景観も日本と負けず劣らずの素晴らしい国だったというのが感想です。滞在中は、徒歩での移動も多かったため、シンガポールの街並みをより深く肌で感じることができたと思います。特に印象に残ったのは、さまざまな国の人種が違和感なく過ごしていたことです。日本では、最近になってグローバル化が進み、外国人をよく街で見かけるようになりました。しかし、日本で過ごす日本人と外国人には、明らかな目に見えない壁が存在しているように感じます。シンガポールでは、マレー系から中華系、インド系など人種ごとの分け隔てがなく過ごせていたように感じます。今回訪問したどの企業先でも、様々な人種の人たちと仕事をしていました。

今回、私たちが訪問した会社は会計コンサルタント会社、航空会社、旅行会社、生命保険会社の4社で、すべて日系でした。

会計コンサルタント会社の訪問では、シンガポール発展の背景や、日本との比較についてのお話を聞きました。その中で「順応性が求められる」という話が印象に残りました。環境は日々進化していくものであり、その環境についていくことができるかどうかで生き残りが決まるため、順応性が求められると知りました。この能力は、私自身が伸ばしたいと考えていた能力でもあります。そのため、今回の海外ビジネス見学ツアーのようなプログラムや、アクティブラーニングに積極的にチャレンジし、順応性(対応力)を鍛えたいと感じました。その後の3社への訪問でもこの順応性を感じることができました。次に訪問した航空会社でも、顧客の対象を人口が増えているアジアへ焦点を当てたり、スマートフォン社会に対応したスマートフォン中心の広報活動をしたりと、順応力を発揮させた事業を展開していました。

また、そこでのお話で、「働くことの意味は社会に貢献すること」という言葉が一番印象に残っています。私は将来の職業などの具体的な進路先が見えず悩んでいました。そしてその根底には、「そもそも働くことってなんだろう?」という疑問がついていたことが大きな悩みでした。そのため、社会貢献のお話を聞いて、社会には責務があり、誰かのため(社会)に貢献すれば、対価はその後からついてくるということが認識できました。これによって、これからの進路決定がやりやすいと感じました。旅行会社でのお話で印象に残ったものは、MICEと呼ばれる法人営業についてでした。個人旅行から企業や学校などの団体旅行へとビジネスターゲットを変化させ、具体的なPR活動としてイベント型商談の場を設けることなどを行い、順応性を発揮させていました。お話を通して印象に残ったものは、その旅行会社で仕事をする上での能力についてです。その会社は大手旅行会社ということもあり、進路先として少し興味を持っていました。業務は基本的に営業が中心で、営業力(プレゼンテーション力)が求められると教わりました。私自身が強みとして持っている能力はプレゼンテーション能力だと考えています。しかし、大学に入ってからはあまり発揮できる機会が少なく、伸び悩んでいる能力でもあります。今回のお話を通して、その旅行会社を目指したいといった思いも生まれました。そのため、プレゼンテーションの機会を増やし、アクティブ・ラーニングなどを通して再び鍛えたいと決意しました。

生命保険会社では、海外進出に際して相互会社から株式会社へと変化させることで、顧客のお金を事業に充てるのでなく、株主からの資金を事業に充てるといった保険会社ならではの視点で、事業に取り組んでいることを知りました。主な事業内容としては、保険そのものが浸透していないアジアの国々に保険を定着させるということでした。この会社で聞いたお話では、「貪欲さ」ということが印象に残りました。社員の方の中に、自分の能力に見合った賃金を上司に要求する方がいるといったお話など、現在の日本では考えられないようなシンガポールのビジネスマンの貪欲さに驚かされました。大学生活を通しても、貪欲にチャンスに食らいつく人と、周りに足並みをそろえてしまう人では大きな差が出てくると感じました。今の私は、周りに足並みをそろえてしまう人になってきていると感じています。そのため、もっと貪欲にチャンスに食らいつきたいと感じました。さらに、それだけではなく大きな野望、野心を持って多くのことにチャレンジしようと強く決意しました。

今回の海外渡航は、私の19年間にとって視点や意識を変えるものになりました。航空会社の担当の方から教わった、アインシュタインの「常識とは18歳までに身に着けた偏見である」という言葉は、まさにその通りだと実感しました。そのため、もっと多くの国を訪れたいという欲が出てきました。多くの国で多くの価値観に触れると同時に、英語のある環境でもっと過ごしたいとも感じました。その過程で客観的で平等な視点で物事を見ることができる大人になりたいと考えました。