学長コラム

本学の取り組みや教育活動、学生たちの活躍などの最新情報を中心に、時折、原科学長の研究テーマである参加と合意形成、環境アセスメントに関連した話題もお届けします。

原科幸彦学長

皆さま、こんにちは。
持続可能な社会づくりに全学で対応するため、4つのテーマで取り組む「学長プロジェクトプラン」ですが、今回は3つ目のテーマ「安全・安心な都市・地域づくり」について紹介します。

このプロジェクトは、誰もが安心して住めるまちづくり、災害時にも安全に過ごせるまちづくりに取り組んでいくものですが、具体的には以下の取り組みからその実現をめざしていきます。

まず、地域防災への目に見える貢献をすること。東日本大震災を機に、各地域で防災意識の高まりとともに、災害対策の強化が進んでいますが、平常時から災害という緊急事態に備え、地域を守る社会づくりを進めていくことが必要です。そこで、本学は所在地の市川市国府台地区の恵まれた地理的条件を生かした防災拠点づくりに取り組んでいきます。

人口約48万人の市川市は、首都圏の中でも大都市の1つです。南側は東京湾に面した重工業地帯、北側の国府台は緑豊かな丘陵地にあり、教育機関、病院、スポーツセンターなどがあります。本学のある国府台地区は海抜21.8mで、津波が押し寄せる心配も少なく、また、地盤が固く地震にも強いため、自然災害に対して安全であると考えられています。そのため、本学は市川市の一時避難場所に指定されています。全ての公共施設がそれぞれに地震災害に備えていますが、現時点では、施設間が連携しているとは言えません。そこで、この地区で最大規模の大学である本学が中心となり、近隣の大学や病院などを含む「国府台コンソーシアム」(仮称)を構築することによって、施設間の連携を深めるとともに、医療・介護・福祉などでも協力し合い、地域に貢献していきたいと考えています。

また、いつ起きるか分からない災害への備えとして、日ごろから地域コミュニティとの良好な関係を築いておくことも重要だと思います。例えば、本学はできる限りキャンパスの開放に努めています。オシャレな学食として知られるThe University DININGは、一般利用が可能で、学生のお昼休み以外の時間帯には、ここを訪れる地域の方々をたくさん見かけます。5月には、The University DININGが「地域に開かれた」まちの食堂として、学生のみならず広く地域・社会に貢献していることが評価され、日本不動産学会業績賞を受賞しました。本学と近隣の住民を繋ぎ、地域に貢献する施設の成功事例となっています。

このほかにも、地域資源を活用したまちの魅力づくり、交通事故を低減する安全な地域交通システムの形成を支援することも、このプロジェクトで行っていきます。地域交通システムは、国府台地区から市川市全体への適用、さらには、未来の日本の地域、都市、そして、世界各地で活用されるようなモデル事業への発展をめざしていきます。