取り戻そう古き良き新津鉄道の町

受賞者

新潟県立五泉高等学校
井上由唯さん

地元再発見

新津の町の散策や体験を通じて、歴史ある「新津鉄道」、「新津焼」、「三色だんご」などの伝統工芸品や特産品の学びを深める観光プランを提案する。さまざまな体験機会や、新津の温かい人たちとのコミュニケーションを楽しんでもらい、多くの人々に新津の魅力を広め、新津の伝統を後世に残していくことに貢献する。

地元活性化の方法

  • 再発見[1] 新津鉄道資料館
    「鉄道の町・新津市の鉄道文化を後世に伝承したい」という想いから、日本国有鉄道の職員OBや鉄道ファンなどが中心となって、鉄道を題材とした資料館の設立を求める動きが起こり、1983年10月14日(鉄道記念日)、「新津市鉄道資料館」として開館した。
  • 再発見[2] もえぎ陶房・三色だんご
    もえぎ工房は、江戸時代から続く「新津焼」を守るため、新津焼の制作を行いながら陶芸教室も開いている工房である。また、三色だんごは、大正5年から続く新津発祥の名物であり、現在は御菓子司 羽入でのみ作られている。
  • 再発見[3] 新津鉄道商店街
    今から300年ほど前の享保年間に、新津で定期的に市が催されるようになった。今では、高齢化が進みシャッター商店街と呼ばれるようになってしまったが、今でも地域密着型イベントが年間を通じて開催されており、最近では若者向けのお店を起業する人たちも見受けられる。

観光客は、まず新津駅で「ばんえつ物語号」と記念撮影をする。次に、総合車両製作所新津事業所に行き、車両作成の様子などを見学。その後は「もえぎ陶房」で新津焼の陶芸体験をする。お昼頃には新津商店街に移動し、商店街で昼食をとりながら自由散策を楽しむ。最後は、「御菓子司 羽入」で三色だんご作りを体験して終了。ツアー後には、新津商店街で使用できるクーポン券を配布し、後日、完成した新津焼を取りに来る際に、再度、観光客に新津商店街を訪れてもらえるような仕掛けを行う。

二次審査映像資料

講評または受賞にあたってのポイント

大変作り込まれた資料であり、またプレゼンの完成度も高く、苦労しながら一生懸命取り組まれたのだろうということがよく伝わってきました。新津焼の陶芸体験をプランに取り入れ、観光客が作品完成時に再度、新津に訪れる仕組みになっており、リピーター獲得の戦略まで考えられていることが高く評価できるポイントでした。とてもよく考えられていますが、一方で、内容が盛りだくさんであるために、このプランの売りポイントがどこにあるのかが少しぼやけてしまった印象がありました。プランを練る際は、何を主軸に置くのかを定め、その軸を中心に考えていくと、消費者にわかりやすい完成度の高いビジネスプランに仕上がると思います。全体的には非常によく考えられた提案でした。

日本資本主義の父「渋沢栄一」ゆかりの地で学ぶ青雲の志

受賞者

岡山県立矢掛高等学校
三宅茉莉さん

地元再発見

日本資本主義の父"渋沢栄一"は、NHK大河ドラマ「青天を衝け」で波瀾万丈な人生が放送されている。その渋沢栄一の人生の転機に関わったのが私の地元、井原市である。また、滞在中に親交を深め師事した漢学者・儒学者“阪谷朗廬”については、後に、阪谷朗廬の息子と渋沢栄一の娘が結婚という深いつながりがある。その渋沢栄一と阪谷朗廬のゆかりの地を巡り、「白鹿洞書院掲示」を渋沢栄一の時代からそのままに残る興譲館講堂で受講する、井原市満喫ツアーを企画する。

地元活性化の方法

幕末の漢学者・儒学者・教育者として、また、明治維新期の官吏として知られている阪谷朗廬と、当時、一橋家の家臣であった渋沢栄一は、備中の国西江原村(現在の岡山県井原市)で親交を深め、農兵募集の成功をおさめた。2人が出会った興譲館講堂は現存しており、そこで「白鹿洞書院掲示」の講義を受講することを本プランの中核に据える。初めに、ツアー参加者は井原市文化財センター古代まほろば館で「特別展 渋沢栄一と井原」を見学する。そして、渋沢栄一と阪谷朗廬のゆかりの地である(1)桜渓塾、(2)興譲館、(3)一橋陣屋跡、(4)慈母君壽碑、(5)山成酒造、(6)馬越恭平生家などをレンタサイクルで回る。最後に、参加者は興譲館講堂へ移動し、興譲館高校の副校長による「白鹿洞書院掲示」の講義を受講する。「白鹿洞書院掲示」は、阪谷朗廬が興譲館開学当初から校是としていたものであり、以降、168年間、興譲館の教育の根幹を貫く建学の精神として息づいている。
本プランは、大河ドラマの視聴者や歴史好きの人、地元の歴史を再発見したい人に参加してほしい。また、コロナ禍で修学旅行が中止になり、代替の県内日帰り旅行を実施する小中学生にもお勧めである。

二次審査映像資料

講評または受賞にあたってのポイント

興譲館という地元の歴史的な学問の学びの場を取り上げて、今、脚光を浴びている渋沢栄一との結びつきを発見できたことが素晴らしい。また、レンタサイクルを使用したサイクリングと、興譲館での「白鹿洞書院掲示」の講義を上手く組み合わせてプランが練られていると感じました。地元にこのような学問の土壌があることを誇りに思い、引き続き青雲の志を広めていってほしいです。一点、サイクリングの時に使用するマップを紹介していましたが、マップと合わせて、観光客が訪れてみたくなるような名所の紹介文など、おすすめスポットをアピールできるような仕掛けがあると、観光プランとしてより良いものになると思います。

2021年度 最優秀賞 2021年度 審査員推薦賞