2017.01.27 UP

利用者のニーズを捉え、満足度の向上をめざす

学生ベンチャー食堂「満腹ダイニング」

2016年9月、学生ベンチャー食堂に、商経学部経営学科の陳子豪さんが経営する「満腹ダイニング」がオープンしました。ボリューム満点の丼メニューが人気で、お店の評判も上々です。
起業をめざしていた陳さんは、学生100名以上にアンケート調査を実施。その結果に基づき、利用者のニーズに応える事業計画を策定し、学生ベンチャー食堂の新規経営者に選出されました。

待ち望んだ起業のチャンス

学生ベンチャー食堂は、実学教育を理念とする千葉商科大学が、起業意欲を持つ学生への支援として、キャンパス内で飲食店経営のチャンスを提供する取り組みの食堂です。
大学は、学生や教職員への「食」の提供という生活に関わる重要な事業を任せることから、出店を希望する学生の事業計画書を、「開業の動機・目的」「メニュー・価格」「事業形態」「運営体制」「安全衛生管理」「事業収支計画」「事業の継続性」の各項目で評価を行い、総合的に優れた事業を選考します。
2016年5月、この食堂の新規出店の募集に陳さんが応募しました。
陳さんは起業の夢を持ち、その夢を叶えるために大学で経営を学ぼうと考えていた高校生の時、本学の学生ベンチャー食堂を知りました。在学中に出店の機会があればチャレンジしたいという思いを胸に、商経学部経営学科に入学。2年生の春、待ち望んだそのチャンスが訪れました。

学業と経営を両立する事業計画

募集を知った陳さんは、学食は「利用する学生の声を取り入れること」が大事だと考え、116名の学生にアンケートを実施。学生ベンチャー食堂の利用頻度をはじめ、学生が昼食に利用する場所や手段、昼食に重視する要素などを詳しく調査した結果を事業計画の策定に活用しました。学生のニーズを最大限に反映した飲食店の開業をめざそうと考えたのです。
学業と経営の両立を重要なコンセプトとする学生ベンチャー食堂への応募にあたり、陳さんは学業に支障をきたさないよう、出店後の履修スケジュールも熟慮し、授業に出席する間のアルバイトの手配まで入念に準備しました。完成した陳さんの事業計画書は、アンケートの結果を取り入れた安価でボリュームのある丼を中心としたメニュー構成、昼食時間帯以降の営業など、学生のニーズを捉えただけでなく、学生ベンチャー食堂全体の認知度の向上と店舗への誘導を促す広告・プロモーションの方法なども示されました。綿密な計画と準備、そして、出店への強い意欲は大学から高い評価を受け、陳さんは新規経営者として、9月下旬のオープンに向けて動き出しました。

  • 学生ベンチャー食堂
  • 選考結果発表

ボリューム、安さ、美味しさ、提供時間にこだわる

出店までには、食品衛生責任者資格や営業許可の取得、個人事業の開業届出の提出などが必要です。これらの手続きをはじめ、店舗の内装工事、什器類の手配などを自ら行う一方、開店時のメニュー作りにも取り組みました。普段から自分で料理をすることが多かった陳さんですが、飲食店経営の経験を持つ両親から調理法や味付けにアドバイスをもらい、ボリュームや安さだけでなく、美味しさと提供時間の速さにもこだわりました。限られたスペースでの営業となるため、商品の陳列や提供方法にも工夫を凝らし、店舗の外でお弁当を販売することも決めました。
学生のお腹を満たしたい、その思いから名付けた店名は「満腹ダイニング」。満腹になれるメニューで人気店をめざし、学生ベンチャー食堂全体の活性化にもつなげたいという強い意志を持ってオープンに漕ぎつけました。

  • オープニングセレモニー
  • 開店初日の様子

事業の拡大をめざして

陳さんのお店には、開店初日から多くの学生や教職員が訪れ、賑わいを見せています。断トツの人気を誇る豚肉スタミナ丼のほか、毎日5~6種の丼や定食を提供。開店当初は丼だけでしたが、利用者の意見から定食スタイルを取り入れたり、単品のから揚げもカップから串で提供する方法に変更したり、試行錯誤を繰り返しながらも、順調な営業を続けています。
一方で、多忙な時間帯に学生アルバイトをいかに確保できるかなど、経営には課題も見えてきました。飲食店でのアルバイトを経験した陳さんも、経営者としての立場や細やかな気遣いの大切さにも気づき始めています。
開店から短期間で自身の成長を感じているという陳さん。経営をやってみるだけでなく、授業で理論を学び、実践に生かすことでより良くなることも実感し、自ら学ぶ意欲が高まってきました。「やってみたいと思ったら、小さなこと、自分ができることから始めればいい。考えるより行動することが大切」と話す陳さんは、事業を拡大し学外への出店を次なる目標に、「満腹ダイニング」の経営から実社会で役立つ知識を増やしていきます。

  • 人気No.1の豚肉スタミナ丼
  • 満腹ダイニングを利用した学生たち
  • 厨房に立つ陳さん

陳さんとスタッフ

学生の声

陳さん

営業時間外も朝から夜まで仕込みをしたり、休日も自分で食材などの仕入れに行きますが、事業計画の段階から履修のスケジュールも考えていたので、学業との両立もできています。将来の起業に備え、1年生の時から経営に関する科目を積極的に履修してきましたが、実際に経営を始めてみると、もっと学ばなければいけないし、自ら学ぼうという気持ちが強くなりました。簿記、マーケティングなどの知識はもちろん、お客さまの立場からも考えられるように、消費者行動についても勉強したいと思っています。売り上げの動向を分析しながら、新しいメニューを考えたり、より良い経営ができるように頑張ります。

商経学部経営学科 陳 子豪(立志舎高校出身)

蕭さん

陳さんのお店でアルバイトをしています。私だけでなく陳さんの友人の多くが積極的に店を手伝い、楽しく働いています。知り合った1年生の時に、陳さんから店を持ちたいという夢を聞き、そのために努力してきたことを知っています。だからこそ、私たちにも応援したい気持ちが強くあります。経営者自身があれほど仕事をするのかと思うほど、誰よりも働いているのではないでしょうか。私もお店に関わり、美味しいと言ってもらえることが嬉しいです。

商経学部経済学科 蕭 志豪(木更津総合高校出身)