IRとは、Institutional Researchの略称で、本学園における教育・研究・社会貢献活動および経営戦略の立案、意思決定等をサポートするために行われる作業を総称したものです。特に教学IRとは、教学に関するIR情報の分析、報告活動等を通じて、学生募集、入学試験、教育課程、卒業生対応等における教学改革方針の策定や、その施策等に関する意思決定をサポートするために行われる作業を指します。

教学IRの体制

本学では、「学校法人千葉学園IR方針及び取扱いに関する規程」、「教学IR委員会規程」を定め、以下の体制のもとで教学IRを行っています。

体制図

教学IRの遂行のため、学長を委員長とする教学IR委員会を設置しています。また、教学IR委員会の下に教学IRワーキンググループを組織し、法人部門の経営企画部経営企画室と大学部門の学務部教務課と連携しながら、日常的な運営を行っています。
この体制のもとで、教学IRワーキンググループを中心に、学内システムに構築してきた教務、入試、学生生活、就職等のデータと各学部や事務局が個別に保有しているデータを体系的・経年的に収集することで、学生の入学前の情報から卒業までの一貫したデータを整備し、学生の入学前から卒業まで、さまざまな角度からの分析・検討を行っています。

教学IRをきっかけとした教学改善の事例紹介

  1. 離籍率改善へのアプローチ
    本学では、離籍率の改善が大きな課題となっていました。そのため、第1期中期経営計画の中で、離籍率2%以下を目標として教学IRを遂行し、施策を行ってきました。
    1. (1)入学前情報の分析による入試改革
      評定平均値、高校時代の欠席数、入試区分、入試の得点などの多面的な分析を通して改善点を特定し、さまざまな施策につなげてきました。具体的には、出願条件の見直し、試験科目の見直しによる入試制度改革、それぞれの入試区分(総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜など)の評価方法および配点の見直しなどを行いました。
    2. (2)離籍者分析による離籍防止施策策定
      学期ごとの総修得単位数およびGPAに注目し、入学前の情報と各科目の成績、付属図書館などの施設利用、部活動などへの参加状況や学内のイベント参加状況など、さまざまな観点からの多面的な分析を通して改善点を特定し、さまざまな施策につなげてきました。その中で最も効果が大きかった施策は、ある特定の科目の欠席状況を個別にモニタリングし、欠席が続く学生には早期に連絡を取り、出席の促進や面談等を行ったことです。また、1セメスター、2セメスター終了時の修得単位数に基準を設定し、その単位数以下の学生には長期休暇中に面談を行い、また適宜履修相談等も併用し、離籍につながる要素の早期改善を図ってきました。
  2. 学生満足度調査分析による学生満足度向上への取組み
    離籍率の改善とともに、学生満足度向上にも取り組んでいます。2020年度以降、教学IRによる各種情報と学生満足度調査の結果を複数の観点から分析し、現状考察から満足度向上のターゲットとする分野、満足度レベルにより学生層の特徴等、今後の施策立案や本学のブランド力向上の為のインプットとなる情報を見出すことを目的とし、実施しています。
    これらの分析から、ターゲットを重点改善領域、重点維持領域、維持領域、改善領域の4つに分け、改善の優先度を軸にカテゴライズを行いました。今後、この分析を経年的に行うことで、カリキュラムの見直しや組織改革、キャンパス整備計画などの各種の施策にどのように生かすかについて、検討を進めています。

その他

その他、本学が主催し、和洋女子大学、昭和学院短期大学、東京経営短期大学との協働により大学コンソーシアム市川の中期計画にある学生満足度向上への一助となることを目的として、共同IRを実施しています。2024年度は大学コンソーシアム市川中期計画(2019年度~2023年度)のアウトカム目標である「プラットフォーム参加大学等の卒業時の平均満足度が5段階評価3.5以上」の達成状況とその要因を分析し、横断的な比較・検討を行っています。また、和洋女子大学、昭和学院短期大学、東京経営短期大学との共催により、各校の教務担当者を対象とする研修会を開催しています。