今どき大学生のマナー観を調査~サービス創造学部3年押尾樹さんが大学生意識調査プロジェクトに参加

サービス創造学部

2018年2月7日

記者発表会12月8日、サービス創造学部3年押尾樹さん(鹿島学園高校出身)を含む首都圏6大学で広告・マーケティングを学ぶ学生29名が参加した「大学生意識調査プロジェクト(FUTURE2017)」は、「大学生のマナー」に関する意識調査の結果について、記者発表会を開催しました。「大学生意識調査プロジェクト」は、公益社団法人東京広告協会が主催。同協会の指導、サポートのもと、学生が実践的なマーケティング・リサーチの手法を学び、信頼性のある情報を伝える実務スキルを身に付けることを目的に、調査の企画、実施、分析など一連の作業をすべて学生の手で行い、結果を調査報告書としてまとめ公表しています。

会議の様子押尾さんは、松本大吾准教授のゼミナールで、マーケティング・コミュニケーションを学んでいます。松本ゼミでは、その理論と実務の両面から考察することを目的に、多様な課題への取り組みに加え、ビジネスコンテストなどへの参加を積極的に行っており、「大学生意識調査プロジェクト」もその活動の1つです。23回目を迎えた今回のプロジェクトは4月に発足し、調査テーマを「大学生のマナー」に決めました。調査票の作成から、各大学での調査の実施・回収を春学期に終えると、夏休みも集計作業や分析のための合宿を行い、調査報告書の作成に取り組んできました。

調査の結果、世の中のマナーが悪化していると考える大学生が多いこと、なかでも携帯電話、インターネット、SNSに関するマナーの悪化を感じている一方で、そのイメージを作っているのも大学生だと考えていることが分かりました。そして、一般的なマナー違反と言われる行為についての認知は高いものの、「ついやってしまうこと」は「歩きスマホ」が最多で、「満員電車内でスマホをいじること」「許可なく飲食店の料理を撮影すること」といった「スマホ周り」の行為も大学生は「あり」とする傾向がありました。大学生には世間一般とは異なる独自のマナー観を持っていると言えます。

そこから見えてきた大学生がマナーを守る基準は何かという点では、2つの特徴がありました。1つ目は世間の目より友人、知人の目というもの。SNS上では、日常生活や行動が容易に友人、知人のコミュニティに拡散されてしまう。そのような状況で過ごす大学生は、仲間と上手に付き合うためにマナーを守る意識が働いていることでした。2つ目はマナーにも合理性を求めていることが挙げられました。例えば、授業中に関連する内容を調べるためにスマホやPCを使用したり、板書やスライドをスマホで撮影することも、無駄を省くという点から合理的に解釈していると考えられました。

このプロジェクトでは、10年前にも「大学生のマナー」を扱っていますが、当時と大きく異なるのはスマートフォンやSNSの普及です。マナー先進国として定着しつつある日本でも、「歩きスマホ」といった新たなマナー問題が生じています。インターネットやパソコンが当たり前の環境で育ってきた現在の大学生がどのようなマナー意識を持ち、行動しているのか、今回の調査で明らかになりました。

この大学生ならではのマナー観は「忖度と損得」と名付けられました。友人、知人との関係を崩さないように周りを慮る感情=「忖度」と、お金や時間の無駄をなくし、自分が損をせず、かつ、効率的に暮らそうとする意識=「損得」の2つが大学生独自のマナー基準を形成していると結論づけています。

  • 千葉商科大学、青山学院大学、駒澤大学、上智大学、専修大学、日本大学

大学生意識調査プロジェクト(FUTURE2017)に参加して

押尾さん10年前の大学生のマナー意識は、友人、知人といる時はマナーを意識しなくなるという結果でしたが、今回の調査では友人、知人に対して最もマナーを意識すると変化していることが興味深いと思ったことです。また、「マナーが悪いと思う人」を大学生だと認識していながら、自分はマナーを守っていると思う人が約9割もいることに驚きました。同じ大学生でありながら、自分と世の中の大学生を区別し、マナーの悪化を客観的に捉えていることが分かりました。 例えば、電車の中で大学生グループの会話から「空気読めよー」と大きな声が聞こえてくることがあります。友人に対して「空気を読む」というマナーを促しても、公共の場で大きな声で話すことに配慮しない、これが今どきの大学生の特徴だと思います。マナーは相手に対する思いやりですが、忖度の相手が大学生が友人という狭い範囲に収まりすぎているのではないでしょうか。

スマホを中心としたデジタルの進化は、大学生のマナーに対する考え、行動に変化をもたらしていますが、今回の活動を通じて、私は「マナー」と「合理的」という言葉は本来交わることがない存在だと気づきました。私もまだ大学という狭い世界にいますが、これから社会に出ていく上で、友人や知人に限らず周囲に配慮できるように、忖度の範囲を広げて行動ができるように心がけていきたいと思います。

サービス創造学部 押尾 樹