海外語学研修(イギリス)

ハイランド&アイランド大学(夏期)

スコットランドでの生活を通して学んだ日本との文化の違い

国際教養学部 白井菜月

今回のスコットランドでの研修は、私にとって2回目の海外研修になった。前回は、国際教養学部のカリキュラムでカナダに2カ月間留学をした。その時とはまた違った経験ができ、さらなる自身の成長を感じている。ここでは、今回の海外短期研修を通じて学び得たものとはなにか、コミュニケーション、地域文化・生活、自分自身の価値観の3つに焦点を当て、この経験を将来どう生かしてゆきたいか述べる。

まずは、コミュニケーション、地域文化・生活の両方に言えることで、自分が日本人であることを強く実感し、文化の違いを学んだ印象的なエピソードがある。それは、断り方だ。日本人は、よくも悪くも、はっきり断れない。何か要るかと聞かれれば、大丈夫です。遠回しに、やんわりと断る。ある日、ホストファミリーに、午後のお茶の時間にお菓子はいるかと聞かれ、日本での感覚のように、「I'm OK.」と私は答えた。すると、「それはYesなのかNoなのかどちらなのか」と聞かれた。自分では断っていたつもりだったが、断れていなかったのだ。英語で断るときは、No, Thank you. ということは分かっていても、Noは強い表現に感じて使えない私がいた。この時に、ホストファミリーに、「断るときは、しっかりとNo, thank you. というのだよ」と教えてもらい、このNo, thank you. について少し考えてみた。Noとは言っているものの、Thank youということで、相手がしようとしてくれたことに対して、感謝を伝えられる素敵な言葉だなと感じた。日本では、やんわりと、当たり障りなく断ることがよい傾向にあるが、はっきり断りながら、相手への感謝を忘れない言葉と文化もあり、学ぶことがとても多かった。日本にいれば、今後も、やんわりと断るだろう。当たり前のことだが、やんわりと断っても、相手がしてくれようとしたことに感謝を忘れず、「ありがとう」をしっかり言わなければいけないなと、改めて考えることができた。

次に、地域文化・生活についてだ。私にとって2回目の海外研修であったが、ホームステイははじめてだった。現地の生活を直接感じることができるホームステイには、驚きがたくさんあった。私が特に驚いたのは、洗濯と食器の洗い方だ。まずは、洗濯についてだ。日本では、ほとんどの人が毎日洗濯するであろう。イギリスをはじめとした海外には、そういった習慣はないと知っていたため、服は多めに持って行ったつもりだった。ある日、着る服がなくなりそうになった時に、洗濯の頻度の違いを実感した。「服が無くなりそうなんだけど、洗濯はどうしたらいい」と聞いたところ、「週1回の頻度で、白物と色物を分けて洗濯している。今日は、黒の服を洗ったよ。明日は、白い服を洗うね。」といわれた。洗濯をする頻度や、色落ちを気にする洗濯方法、また、外に干さず乾燥機を使うといった日本とは違ったスタイルに驚かされた。次に、食器の洗い方についてだ。こちらも、事前の知識で、食器洗浄時についた泡を流さず、そのまま乾かすというスタイルであるということを知っていた。朝は、自分で食器を洗っていたため、いつものように洗っていたが、ホストファミリーが、水をたっぷり張ったシンクで、お皿を洗い、泡が付いたままの食器を乾かしていて、調べたことが本当だと分かった時、驚かずにはいられなかった。細かな文化の違いを感じることができるホームステイは、私にとって毎日が新鮮で驚きに満ちた学びのある日々であった。

最後に、自分自身の価値観についてだ。海外研修を通じて、文化や英語を学ぶ上で、異文化に対する理解が最も大切であり、できなかったとしても、その土地の環境に順応するための努力をする必要があると考えている。近年、文化もグローバル化も進んでいるため、日本でも簡単に海外のご飯が食べられたり、インターネットで検索したりすることで簡単に異文化に触れられる時代だ。それでも、現地に行って体験するのとでは、感じ方が全く違う。そのため、今回もこの自分の価値観を大切にして3週間を過ごした。3週間とは不思議なもので、文化を受け入れられない時期と順応する時期がしっかり両方訪れる。先に触れたように、研修中にはさまざまな文化の違いを感じる。今回の研修でも、その文化を、可能な範囲で受容することで、一気に学びが広がることを経験した。日本人として構築された価値観は変化しなくとも、新しい価値観を受け入れることで世界が広がり、自分自身も成長するのだと感じた。

3つのことから、私が学び得た大キーワードは、「異文化を理解すること、受容することは、自身の成長につながる」ということだ。コミュニケーションの面でも、地域文化・生活の面でも、自分自身の価値観の面でも、1回目の海外研修より、文化の違いを感じた研修であった。そう思う理由として、ホームステイを経験したことが要因だと考える。そばにはいつも、スコットランド人のホストファミリーがいて、一緒に生活することで、文化の違いを自分の目で見て、自分で体感したことが私にとってとても大きな経験になった。この大キーワードは、大学を卒業し、就職した時に生かせるのではないかと考えている。私は、全国勤務という条件で、内定をいただいている。現段階では、どこの地域に配属されるか分からない状況だ。国によって、文化や習慣が異なるように、日本国内にも文化や慣習の違いは存在する。海外研修を通して、異文化を体感したことで、自身の成長を感じた。そのため、就職し、移住した先でも、自分が育った地域とは違う文化を感じることができること、自身の成長も見込めることに、大きな期待を感じている。卒業しても、これまで通り行動力と積極性を大切にし、今まで触れてこなかった異文化に飛び込み、色々なことを学んでいきたい。

本レポートでは、今回の研修で学んだこととして、文化の違いを挙げたが、それ以外にもたくさんのことを学んできた。語学力に関しては、通じたときの喜びを感じる日もあれば、自分の思っていることを話せなかったり、聞き取れなかったりと悔しい思いをしたことがあった。しかし、前回のカナダでの研修後も継続して行ってきた英語の学習の成果もあり、たくさんの方とコミュニケーションを取ることができた。自分の英語力に自信がないと、クラスメイトやホストファミリーに話したこともあったが、英語上手だよと、もっと自信持ちなよと励ましてくれたこともあり、めげずに、恥ずかしがらずに話すこともできた。3週間ととても短い期間であったが、温かい人たちに出会い、支えられ、私にとっては、一言で表すことのできない、とても有意義な時間となった。学んだ経験を忘れず、これからの学習や活動の原動力にしたい。