海外語学研修(イギリス)

ハイランド&アイランド大学(夏期)

スコットランド留学における自己成長

国際教養学部 三浦華香

今回のこの留学を通して、私の中でまず最も変化したと感じる価値観は「自己主張の大切さ」です。
ホームステイの間、夕食の時間は毎日ホストマザーと会話をしながら食事をしていました。最初の週は、ただホストマザーが話すばかりで私は相槌ばかりを打っていました。時々日本のことを聞いてくれたり、質問されたり意見を聞かれたりすることもありましたが、答えるのにかなり時間がかかり、沈黙し、結局食事中はマザーの話を聞くだけで終わってしまいました。食事の量も食べきれないほど多かったですが、「せっかく作ってもらったものだから」と相手の気を悪くしてしまうことを恐れ、無理をして食べ切り、その翌日は体調不良になってしまいました。

これは語学の授業でも同じでした。私のクラスでは毎日英語で意見を尋ねられたり、プレゼンテーションをしたりしました。その時も周りの人は自分から手を挙げて発言していましたし、分からないことがあれば積極的に質問していました。日本では授業中あまり生徒の発言や質問がないため、新鮮に感じました。私は間違えることは恥ずかしいことだと考えてしまっていたため、指名されるのを待ったり、わからないことを放置したりを繰り返していました。典型的な「指示待ち人間」です。これらが原因で、最初の週は授業がとても辛いものになりました。

私は元々自己主張が苦手なこともあり、自分の意見を表に出すのはなかなか勇気がいることでした。「NOと言えない日本人」というワードが一時期流行ったとおり、日本人は断れない・お人好し・自分の意見をハッキリ言わないなどのイメージを持たれることが多いですが、自分が少なからずそこに当てはまっていたように思います。日本にいるときは周囲が「なんとなく察して」くれることに甘えていました。しかしスコットランドにいる間は、基本的に自分自身で言わなければ相手には理解してもらえませんでした。

この経験を通して言わなければ伝わらない、自分から行動しないと何も変わらないことを強く実感させられました。「謙虚」と「消極的」の違いがはっきり分かりました。「謙虚」とは決して「他人に意見をしない」という姿ではなく、自分をおごらず素直に他から学ぶ気持ちを忘れない姿勢のことです。対して、「消極的」とは自ら進んで行動・発言をせず何事にも受け身、時に否定的になってしまうことです。恥ずかしながら、私は後者だったように思います。

そのため二週目からは、英語が分からなくても、どうにか「伝える」努力をするようになりました。これは私にとってかなり苦行でした。ただでさえ日本語であっても「伝える」行為を怠ってきていた上に、スコッティイングリッシュは想像以上に聞き取りにくく、恥ずかしさもありました。三週目には自分から発言することができるようになり、自分に自信を持てるようになりました。
自分の意見を強く持ちそれを発信していくことは決して悪いことではなく、言うべき時はしっかり自分の意見を伝えることが大事だと分かりました。

また、海外で生活することでスコットランドの良さに触れつつ、自分が住む日本を新たな視点から見ることができました。
スコットランドの町並みはとても歴史的で、家や店などが昔の外装のままであったり、街の中にお城があったりと、当時の街並みの保全に力を入れていることがよく分かりました。日本で歴史を感じられる場所は少ないですが、スコットランドでは田舎はもちろん都会に行ってもそれを感じることができます。新旧が共存している街並みを通して、新しいものだけが良いのではなく、古いものも大切にしようと思う心を得ることができました。これもまた、私の価値観の大きな変化と言えます。

日本の素晴らしさを実感する場面もありました。外出の際にバスや電車を使うことが多くありましたが、日本のものとは違い、電光掲示板や車内アナウンスがなかったり、時間通り来なかったりしたため、かなり混乱しました。日本の交通機関の正確さを実感しました。

このように日本の良さに改めて気づけたことで、私に新たな価値観を与えてくれ、物事を多角的に見ることのできるとても良い機会でした。普段から物事をいろいろな側面から見ようと心がけているものの、やはり肌で触れることは私にとって大きな変化をもたらしました。

このような素晴らしい機会を与えてくれた大学、ホストファミリー、現地の新たな友人たちへの感謝の心を忘れずに、今回の留学で得たものをこれからの人生に役立てていきたいです。