海外語学研修(オーストラリア)

サザンクロス大学(春期)

研修を通して得たもの

人間社会学部 森万由子

コミュニケーション
日本にいる時、言葉を通して感情表現や意思疎通を図る。しかし、言葉が通じない海外では自分の予定や意思を伝えることすら慣れることが難しかった。はじめてのホームステイで自分の意志だけで行動する旅行とは異なり、家族のように自分の予定や気持ちを共有し合い、言葉でコミュニケーションを取る機会が多く、よい経験となった。最初は、自分の発する言葉に自信がなく、言葉のニュアンスがつかめていないため、失礼な話し方をしていないか心配をしていた。そのため、話すことを躊躇してしまった。しかし、滞在先が同じであった先輩がホストマザーと積極的に話し、その日学校であったことやホストマザーについての質問をしていたのを見て、通じなくても言葉にすることで相手もわかってくれようとしてくれることに気が付いた。それからは私も積極的に自分の思ったことを言葉にしたり、わからないことは正直にわからないと伝え、わかりやすく言い換えてもらうように頼んだりした。

日本とオーストラリアではコミュニケーションにおいて大きな違いがある。それは、感情表現の伝達である。日本では日本語を使う自分ですら他人に感情を伝える機会はあまりない。それに対してオーストラリアは「Thank you」や「Love you」など自分の感じたことをそのまま言葉にして人に伝える。授業中に生徒が反応しなかったときに先生が嫌な気持ちになったこと。ホストマザーに手伝うと声をかけると、「ありがとう。大丈夫。その言葉がとてもうれしい」と言ってくれたこと。他にも記憶に残っている。普段伝えていないため、この研修で伝えられたり、自分が伝えたりすることに違和感があったが、素敵なコミュニケーションであると感じた。日本にいるときよりも言葉は通じなくとも感情の意思疎通はできた。

この研修を通して、自分がなくても言葉にすることが大切であり、感情表現は人とコミュニケーションを取る上で最も必要なものであると学んだ。

文化・生活
この研修を通して、文化や生活様式が全く異なっていることを感じた。また、その違いは私が参考にすべきである。その例を3つ挙げる。
1つ目は、「規則正しい生活」である。日本人は夜遅くまで残業をし、帰宅する時間がとても遅いのに対し、オーストラリアは夕方ごろには仕事を終え、その後の自由時間を大切にしている人が多く見られた。また、現地の人は寝る時間がとても早く、9時ごろには就寝している。また、起床時間も早い。起きてからはベットメイキングをする文化があり、朝一で自分の使った場所を整えることで心も整頓される気持ちになった。

2つ目は、「自分に自信があること」である。基本的に皆何事もポジティブ思考であり、前向きになれる言葉を常に発言していた。日本の学校では、自信がなければ発言しない人が大半であり、間違えることが恥とされがちであるが、オーストラリアでは、自分の考えを伝え、間違っていても発言することを重視し、すべてのことにおいて他人と違うことを恐れないようであった。これは自分を大切にしているからこそ自分に自信が生まれるのであり、オーストラリアの自由な生き方に繋がるのであると感じた。また、自分を大切にするだけでなく、自国も大切にしていると感じた。オーストラリアの歴史について現地の人に質問するとそれだけでなく、プラスアルファで答えてくれた。自国の文化や歴史に詳しいことは、今までそれほど重要であるとは考えていなかったが、先祖などの歴史上の人々を知ることは生き方を学ぶことができるため、とても大切なことであると考えさせられた。日本でも歴史の授業はあったが、校外学習などで訪れた城などで積極的に学ぶ人は少ない。日本人は日本の歴史について無知であり、もっと自国の文化や歴史について学び大切にする必要がある。

3つ目は、「親密な思いやり」である。日本にもおもてなしの文化があり、それはそれで素敵な文化であるが、身を削って他人に親切にしてあげているという義務感のある人が多い。知らない人とは言え、目が合っても挨拶はしない。これは本当におもてなしや親切と言えるのだろうかとずっと感じていた。オーストラリアに行くと、街であった人には挨拶をしたり、元気か尋ねたり、知らない人とも世間話をしていた。また、買い物では、店員が挨拶をするとお客さんも挨拶をする。このように、基本的に他人に興味を示しているようであり、日本と比べ会話する人数の違いに衝撃を受けた。皆友だちのようなオーストラリアの人々の親密さはとても素敵であり、日本でもそうなると良いと感じた。これは自分を大切にしているからこそ他人も大切にすることができるのであり、良い距離感を保ちつつ、親密さを出すことができるのではないか。

自分自身の価値観
この研修は自分の中で大きな決断であった。新型コロナウイルス感染症によって大学でも友だちを作ることが困難であり、会話自体減ってしまっていた中で異国の地で友だちを作ったり、ホームステイで過ごしたりすることはもっと困難で躊躇っていた。しかし、この研修に参加したことで、自分に得られるものが多かった。日本にはないものをオーストラリアに行って学び、逆にオーストラリアになくて日本にあるものなど互いに知ることは生き方をより良くする上で重要である。最も感じたことは、日本は与えられたものを完璧にこなす。それに対してオーストラリアは良い意味で崩して、自由な形にしていた。形にとらわれず、自分なりの生き方であり、素敵であった。

この経験を将来どう生かしていきたいか
人や自然、生き方などさまざまなものを見て学ぶことができた。この研修を通して、海外の人と関わることに抵抗がなくなり、とても楽しいことであると感じた。しかし、自分の英語の知識不足で気持ちを伝えられないという悔しい気持ちを味わった。もっと勉強していれば、もっと多くのことを理解することができたのではないかと思う。これからも外国語の勉強に励み、海外の人と関わり、文化について知りたい。