海外語学研修(ニュージーランド)

ワイカト大学(夏期)

ニュージーランドでの生活を通して

人間社会学部 住谷歩夢

私は2週間のワイカト大学英語語学研修を通して有意義で特別な時間を過ごすことができた。

生活について
今回私を受け入れてくれた家族は、ホストマザーと男の子3人の計4人家族だ。ホームステイの感想を端的に表すと"自由に暮らすことができた"ということだ。鍵を貰えたことに加え、シャワー・洗濯は自分のタイミングで良いと言われた。それに加え、ホストマザーは頻繁に「何をして欲しいか」などのコミュニケーションを取ってくれたため、ストレスのない生活を過ごすことができた。
また多くの人に「ホームシックになっているか」と聞かれたが、兄弟が毎日のようにテーブルゲームやスカッシュ(インドアラケットスポーツ)、散歩に誘ってくれたため寂しさは感じず楽しい日々を過ごすことが出来た。ホストファミリーと会話を頻繁にとったことにより、プログラム当初に比べて耳が英語に慣れたと感じた。

ワイカト大学について
今回のプログラムに三重大学の学生が参加することは事前に知っていたが、大阪の学生と新潟の学生も参加していて、他県の学生と交流することが出来た。クラスが2つに分けられ私のクラスは学生同士で会話を多く取る授業形態だった。授業の他にも放課後にワイカト大学の学生と交流する機会が滞在中に何度かあり、現地の学生の友達を作ることが出来た。振り返るとこの時間が私の中で1番楽しい国際交流の時間だった。
大学の敷地は一般開放されておりさまざまな人が大学の施設を利用していた。本来ならばこの光景は日本でも見られるが、大学に進学したと同時にCOVID-19の影響で大学に通えなくなった私に取っては新鮮な光景だった。大学内にはカフェやフードコート、日本食屋、薬局、古着屋があり、老若男女を問わず多くの人がいた。特にKingitanga Dayというマオリのイベントの日は多くの人が大学を訪れ、とても賑やかだった。

違いについて
2週間という短期間で感じた現地の人々の価値観や自分の中で変化した感情がある。ホームステイ先の家族や大学の先生など多くの人と会話する機会があったが多くの人が会話にジョークや素敵な言い回しを交えたユーモアのある会話をしてくれた。日本人からは感じることがない独特の雰囲気や余裕を感じることができた。余裕を感じた場面は他にもある。道路を横断しようと待っている際日本に比べて車が止まってくれる確率が高いと感じることができ、時間に追われながら生活する日本人に比べて余裕があると感じた。日本人は5分前行動が当たり前の習慣になっているが、ニュージーランドではそれを感じる場面が一度もなく、休憩時間を過ぎても戻ってこない先生や楽しそうに会話をしながら作業する店員など、時間に縛られずに生活する人々を目の当たりにして時間への価値観が大きく異なることを知った。日本で育った私からすると違和感を覚えることだらけの2週間だったが、カルチャーショックと同時に羨ましいと感じた。

歴史的背景
ニュージーランドはイギリスの植民地時代のヨーロッパ文化の名残とマオリの文化が共存している。イギリスの植民地だった頃の名残を感じた場面は、フィッシュ&チップスやオーブン料理、イギリス発祥のスポーツであるスカッシュ、そして発音だ。ニュージーランド英語、通称キーウィ・イングリッシュはイギリス英語とよく似ているが独自の発音になっていると事前に学んでいた。今回のプログラムでイギリス英語とニュージーランド英語の発音の違いを明確に感じることはできなかったが、ニュアンスとして感じることはできたため、このような箇所を押さえてさまざまな国の人と交流することも面白い勉強になると感じた。
次にマオリの文化だ。マオリの文化として1番印象的だったものは顔に特徴的なタトゥーを入れている人がいた事だ。女性は顎に、男性は頭全体にタトゥーを入れている事が多い。タトゥーを入れる部位によって階級を表すとされていて現代の身分証によく似ている。また柄によって決意や健康など意味がある事を知った。初めてみた際は恐怖心を感じたが、詳しい理由を聞いた後は、恐怖心が無くなり格好いい文化だと感じた。

大学での学びと絡めて
人間社会学部で学んだ事をニュージーランドで感じた事が何度もあった。バスは車椅子の方が停めるスペースが確保されている事、バスと同様に映画館にも車椅子の方が見るスペースがある事などユニバーサルデザインがあらゆる所に見られた。また環状交差点が町のあちこちに存在した。環状交差点のメリットとして停電時も混乱を招かない事や環状交差点に入る前に速度を落とすため大きな事故を未然に防ぐ事ができるため日本に比べて災害に強いと感じた。
次にLGBTQ+について、デボンポートの丘の頂上でLGBTのカップルをみた際多くの人がいる中で悠然と過ごしている事に驚き日本との差を感じた。近年SDGsに力を入れ始め、メディアなどでも取り上げられるようになった日本が目指す環境が目の前に広がっていると感じ感動した。

終わりに
今回のプログラムは2週間と短期間であったが、短期間だからこそ毎日を充実させることが出来たと考える。これまでの当たり前が一歩外に踏み出すと、当たり前ではなくなること、事前にインターネットで調べていても現地で体験するとカルチャーショックを受けたことなど、実際に訪れて五感で感じなければ分からないことだらけだった。人によって海外に対して不安要素はあるかもしれないが、勇気を出して行動することで刺激を受けることが数多くあるため、私はさまざまな文化にこれからも触れていきたい。